BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

yuri ( No.4 )
日時: 2016/06/16 18:31
名前: 桜庭 優 (ID: Qos362AQ)

「はい、紳ちゃん、あ〜〜〜ん」
「ちょっと、乃愛、もう良いって!」
「紳ちゃん、今の乃愛ちゃんに何を言っても無駄ですよ」

声がした方を向くとさくらちゃんが苦笑いを浮かべながら紳ちゃんを見つめていました。

「こうなった乃愛ちゃんは、誰にも止める事は出来ません。
ですから紳ちゃんは、諦めてください」
「それは、私も理解してるよ。
乃愛、好きにしてくれ……」

紳ちゃんは、ため息を吐くと乃愛が向けた卵焼きを食べました。

「うん、そうするね」

乃愛は、にこにこしながら今度はプチトマトをお箸で掴むと紳ちゃんに向けました。
紳ちゃんは、自分に向けられたプチトマトを食べました。
さくらちゃんは、少しだけ考え込むように俯いてから紳ちゃんの方を向きました。

「紳ちゃん、私のも食べ下さい」

さくらちゃんは、にこにこしながら箸で唐揚げを掴み紳ちゃんに向けました。

「ちょっと、桜、お前もか!?」
「まさか乃愛ちゃんのが食べれて私のは、食べれないって事はありませんよね」

さくらちゃんは、これでもかってくらいにこやかに微笑みながらプレッシャーをかけました。

「うっ……桜のもちゃんと食べるからそんな顔するなよ……」-
「うん、わかれば良いのですよ」

紳ちゃんは、さくらちゃんのお箸で向けた唐揚げを食べました。
紳ちゃんは、交互で乃愛とさくらちゃんに食べさせれました。
紳ちゃんとさくらちゃんと乃愛のやり取りは、紳ちゃんのお腹が一杯になるまで続きました。

「ごめん、乃愛、さくら、これ以上は、食べられないよ」

紳ちゃんは、乃愛とさくらの方に両手を向けて拒否しました。

「本当に紳ちゃんは、小食だよね」

乃愛は、お箸で昆布巻を掴むと自分の口に入れました。

「乃愛が大食いなんだよ……」

紳ちゃんは、ため息を吐きました。

「だって紳ちゃんの作る料理美味しいもん」

乃愛は、弁当に残っている最後のおかずの唐揚げをお箸で掴むと食べました。

「う〜〜〜〜ん、美味しかった。
ご馳走様、紳ちゃん」

乃愛は、両手を合せてご馳走様をしました。

「ご馳走様です、紳ちゃん」

乃愛がご馳走様をしたのを見て、さくらちゃんも両手を合せてご馳走様をしました。

「お粗末様でした」

紳ちゃんは、乃愛とさくらちゃんに向かって薄く微笑むと弁当箱とお皿とお箸を鞄に直しながら話しました。

「そう言えば、乃愛、さくら、今日の放課後の事だけれども、先に帰ってくれないかな」
「どうかしたの、紳ちゃん?」

弁当箱を鞄に直す手を止めて乃愛の方を向きました。

「先生に学校の進路の事で相談があるんだよ」

紳ちゃんは、バツ悪そうに話すとそれを誤魔化すみたいにまた弁当を片付け始めました。

「それならその相談が終わるのをさくらちゃんと待ってるね」

乃愛は、さくらちゃんの腕に自分の腕を絡ませながら紳ちゃんを上目使いで見つめました。

「その……ごめんなさい、乃愛ちゃん。
用事がありますから今日は、早く帰らないといけません」

さくらちゃんは、すまなそうに話しながら軽く乃愛の手を触りました。

「え〜〜〜〜、さくらちゃん、今日は、早く帰るの?
それならちよちゃんの所で時間をつぶしていようかな……」

乃愛は、さくらちゃんを離すと自分の頬を触りながら考え込むように少しだけ上を見つめました。
紳ちゃんは、弁当箱を鞄に直し終わると乃愛をじっと見つめました。

「紳ちゃん、そんなに見つめてどうしたの?」
「……あんまり先生に近づかない方がいいよ」

紳ちゃんは、少しだけ考え込むとゆっくりと話し始めました。

「何でなの?」

乃愛は、紳ちゃんにゆっくりと近づきました。

「先生が気に入った女の子に悪戯をしてるって噂があるのよ……」

紳ちゃんは、言いにくそうに横を向きながら自分の髪を触りながら話しました。

「もう紳ちゃん、何を言うのよ。
先生がそんな事をするわけないよ」

乃愛は、口元を押さえてくすくす笑いました。

「でもただの噂話って感じではないんだよ。
それに私は、乃愛が心配なんだよ……」

紳ちゃんは、真剣な表情で乃愛を見つめました。

「いくら紳ちゃんでも、噂話だけでちよちゃんを悪く言うのは、許さないわよ」

乃愛は、怖い顔で睨むと突然手を叩く音が聞こえてきました。
音が聞こえた方を向くとさくらちゃんが自分の両手を合わせてにこにこしながら乃愛と紳ちゃんを見渡しました。