BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 葉桜がもう一度、※ほんのり二次BL ( No.2 )
日時: 2016/04/25 00:03
名前: 桜華 ◆7dYCrf72oU (ID: ???)  

「なんだ、そのやけに古い本……」

とある初夏の昼下がり。

普段通り教室で膨大な仕事を捌いていく彼の元に、よう家康、と陽気な声を掛けて一人の少年が前の席にどしりと座った。

「ちっと図書室で面白そうな本見っけてよー、たまにゃあ本読むのも悪くねぇなって」

「……で、その本を」

少年が抱える本は薄汚れていて虫食いも酷く、家康と呼ばれた彼の言ったようにやけに古い。

「家康も毎日かたっ苦しいことしてねぇで、たまには休もうぜ?疲れんだろ?」

「んー……そうだな!元親!」

「へへっ、そう来ると思ったぜ!」

少年改め元親は、そう言ってぱらぱらとカビ臭いページを捲り、適当なページを開いた。

表紙がとても古そうだった為に、その本の内容は古文に近く、正直言って読めない。

「……読めるか?」

「……古文は少し分かる程度だし……読めない」

「……返すか」

そう一言だけ言ってガタリと音を立てて立ち上がった元親を、家康は呼び止めていた。

「ちょっと待ってくれ、読んでみる」

「えっ」

「このまま返すのも勿体ない気がしてな。頑張って読んでみようかと」

「……すげぇな、家康……。あいよ」

そう片手で手渡された本は少し力を加えればボロボロと壊れてしまいそうでもあった。


同日の夜、その本を持ち帰った家康は仕事を何時もより早めに終わらせ、元親がしていたようにその本のページをぱらぱらと捲った。

しかしながら同じ日本語と言えど古文、内容がろくに分からず、やはりこのまま返そうかと思いかけた矢先、
家康はとあるページが他のページよりも更に古ぼけていることに気がついた。

「……ん?何だろう、カビか?読めないな」

そのページを開き、家康はそこの文章の解読に挑む。

「これはかつて…が……術である…?この頁を見た者……へー、面白そうだな」

方法は意外にも簡単で、ただこのページを開いて夜の風に当てておけばよい、というもの。

「……やってみるか」

どうせ失敗することは目に見えているが、面白半分で家康はそのページを開き、窓を開いて風に当てながら眠りについた。