BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

ふたりでいること 【Episode 14】 ( No.18 )
日時: 2016/12/31 03:28
名前: はるたに (ID: DSoXLpvQ)

     【Episode 14】





 霧ッ乃中学校合唱部は、実はつい最近、創立された部なのだ。
 7年前まで、霧ッ乃中に合唱部はなかった。
 たまたま転勤してきた、合唱指導Sの先生が、合唱部を立ち上げ、部員を募ったのである。もともと、合唱の界隈では名の知られた先生だっただけあって、集まった生徒はそこそこいた。
 創部3年目には全国大会出場を果たし、創部4年目には、合唱の強豪として、全国で知られるほどになっていた。

 ——だが、霧ッ乃中合唱部は、いわゆる『定期演奏会』は、行わなかった。というか、行えなかった。
 中学校周辺のホールや劇場は、たいてい他の学校や部活動が、毎年押さえてしまっている。なにより、顧問の先生がめんどくさがってやらない。
 ……はずなのだが。

【 霧ッ乃中学校合唱部演奏会のおしらせ 】

 ノートの最初の分には、そう記されている。
 しかも、ノートの内容には、「スタッフとしての仕事だけでなく、演奏もできる」と掻かれている……。

「え、え、え……???」

 なぜこの7年目という、中途半端な時期なのか。
 なぜあたしたちも出ていいのか。
 ていうか演奏会とか、なにそれ楽しみ。
 でもスタッフとか、ちゃんと務まるのかな。
 そんないろんな感情が入り乱れ、なつきはテンパってしまう。
 だが、とにかく、嬉しくてわくわくしていることは確かだった。

「あっ」

 そういえば、唯は?
 グループに入っているメンバーの一覧表を出し、唯の名前を探す。

(あー……まあ、ですよね)

 が、唯の名前はまだない。招待はされている。きっと、部活中でまだ気がついていないのだろう。
 心なしか浮き上がった心が加工したが、母にこのことを報告したくなって、携帯を閉じかけたとき。
 隼から、メッセージが送られてきた。

[なあなあ、すごいよな演奏会とかヽ( ´ ▽ ` )ノ]

 ゆっるい顔文字……。いつものことだから、もう慣れたけど。

[まさか、7年目にしてようやくやるとはね。一生やらんかと思った]

[俺も俺もww なんで今年なんだろうな( ・Δ・ )?]

[なんかあったんだろうけど……謎だよね]