BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

ふたりでいること 【Episode2】 ( No.4 )
日時: 2016/08/20 16:48
名前: はるたに (ID: DSoXLpvQ)

     【Episode 2】





「『それでも、私は友人である彼を、信じたいの……』」
「『……は?』」
「『嘘はないってことを。彼の気持ち——彼が本気で、あなたをすきって思う気持ちに、嘘はないって』」
「『……なに、言ってんだよ』」
「はい、ストップ!」

 私立栄黎高校第二体育館。
 栄黎高校演劇部は、真夏日の今日も、この体育館で汗を流しながら、練習をしていた。
 演出を行う3年生の「待った」の声が、舞台上で演技をしていたふたりが、彼女のほうを向く。

「もうすこしタメてほしいかな、梨子りこのほう。噛み締めるようにって言えば、分かる?」
「はい、分かりました」

 梨子役を務めるのは、2年生の吹屋唯ふきやゆい。いま現在、部内では一番の実力者だろうと言われている。
 ふわふわしていて、ちょっと天然で、でも舞台に立つとスイッチが一気に切り替わる。そんな少女だ。

「あと、真姫まきは、間があり過ぎて不自然だよ。動揺してても、そこまではいらない」
「はい!」

 真姫役の潮田さくらもまた、この部トップクラスのキャストだ。恋愛モノでは特に、そのちからが光る。
 3年生はちらっと時計を確認し、次いで、舞台袖のほうに声をかける。

「そろそろ終わったほうがよくない?」