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BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 百合(GL) 短編(?)集 気紛れ更新 ( No.53 )
- 日時: 2017/04/11 22:57
- 名前: 有夏 (ID: A8w5Zasw)
『銀竜草-ギンリョウソウ-』
Prologue:生き物係り-Side:緋菜-
小学3年生の頃だった。
私は生き物係りで教室で飼っている金魚の世話をしてから下校するのが日課だった。
他の皆は、先生が居る時以外何もしないから。
可愛かった。餌を求めてパクパクずっと口を動かしてて。
「ふふふ、今あげるね」
3週間に1回水も交換して。
パラパラ餌をあげて、食べる姿を少し眺める。
やっぱり、パクパク食べてる。
「夏原さん、まだ居たの?」
一人でクスクス笑いながら金魚達を眺めていたら突然声をかけられた。
「えっ……あ、うん」
振り返るとそこにはクラスメイトの女の子が立っていた。
驚いて頷いたけど、彼女はどうでも良さそうに「ふぅん」と応えただけ。
どうして私なんかに話し掛けたのかな。
私はまた水槽に向き直って金魚達を眺める。
「生き物、好きなのね」
「ひえっ————?!」
いつの間にか隣に並んでいたその子にそう言われ、また驚く。
ビクリと跳ね上がって変な声まで出てしまった。
「……そんなに驚く事ないでしょう」
不機嫌にそう言われたけど、突然耳元で言われたら驚くよ。
「だって……」
私は、ちゃんと話し掛けられた事なんて無かったから。
「まあいいけど」
結構冷めた子なのかどうでも良さそうに振り返ってドアの方へ歩いて行った。
一体、何をしに来たのかな。
「ねえ、一緒に帰らない?」
ドアの所で彼女は立ち止まり、私に向けてはっきりそう訊いた。
初めて、そんな事を言われた。
嘘みたい。嬉しい!
「う、うんっ!」
あの子が、私に出来た最初の友達。
最初で、最後の私の友達。
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