BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 百合(GL) 短編(?)集 気紛れ更新 ( No.71 )
- 日時: 2017/05/02 08:49
- 名前: 有夏 (ID: qTwvrcL4)
『ほのぼのしそうな話-アリムラ荘の日常-』
休日の話。祐希と瑠依の場合-Side:祐希-
「ふ、あぁ〜……眠い」
朝9時。今日は休日で何もないから昨日はよく飲んだ。お陰で眠い。
自室から出てリビングに行くと瑠依が一人ポツンと居た。
「ん、おはよう。一人?」
薄い毛布にくるまれながらソファーに座ってた瑠依に声をかけると、
「あ、おはよう。うん、一人」
と返ってきた。テレビもつけずにボーッとしてるのは相変わらず。
「ナルさんは買い物で、二人は友達と遊んでくるって」
コップ一杯の水を持って瑠依の隣に腰掛ける。
「ふ〜ん……」
特に会話をするわけでもなく、隣に座って同じ時間を過ごすだけ。
お互い、別に会話をしなくたって何となく行動とか解るし。
…………まあ、言葉が必要ないってわけではないんだけど。
「……髪、また染める?」
瑠依の青い髪を梳きながらそう訊くと瑠依は自分の髪を梳きながら視界に映して考え込む。
前回髪を染めた時、この家の皆で手伝って染めてた。
成可と萌乃は楽しんでたけど苓菜は真面目に取り組んでたし、上手く染まったからいいけど……そういうのにも性格が表れるものだね。
「…………また、染めてくれるかな……?」
瑠依は美容院とかが嫌いだし、それに前回のが結構楽しかったんだね。
「楽しみながら染めてくれるさ」
そう答えると瑠依は嬉しそうに頷いた。
「ただいまー」
私が起きてから10分ほどで成可が買い物から帰ってきた。
「お帰り」
「お帰りなさい」
「ただいま。起きたのね」
皮肉っぽく成可に言われるけど肩を竦めてその言葉を流す。
「まあ良いけどね」
ふふ、っと笑いながら成可は手に持っていた買い物袋を掲げる。
急に何だ?って思って私がその買い物袋に視線をやると瑠依も反応を示した。
「そろそろ染め直す頃かなーって思ってこれ買ったのよー」
袋から出されたのは前回瑠依が髪を染めたのと全く同じヘアカラー剤。
「ほら、楽しんでやってくれる」
成可の行動の、タイミング凄いんだよね毎回。
瑠依にそう言ってあげると、嬉しそうな恥ずかしそうな何とも言えない表情ではにかみ、
「ありがとう、ナルさん」
とお礼を言った。
- Re: 百合(GL) 短編(?)集 気紛れ更新 ( No.72 )
- 日時: 2017/05/26 09:57
- 名前: 有夏 (ID: SnE9EC7A)
『ほのぼのしそうな話。-アリムラ荘の日常-』
休日の話。-Side:瑠依-
「瑠依ちゃん、髪染めても傷まないよね? 羨ましい」
ルイの髪をまた皆にお風呂場で染めてもらってる。
ナルさんがルイの右側に立って染めていると、そんな事を言われた。
「髪の毛って傷むの?」
食べ物じゃないのに?
「傷むよー……髪の手で梳いたりした時、指に引っ掛かったりとか」
ナルさんの代わりに苓菜さんがそう教えてくれた。
「へぇー……」
てっきり食べ物みたいな傷み方するのかと思った。
「染めた事無いのに実感籠ってるね?」
鏡越しにナルさんが苓菜さんにそう訊いてるのが見える。
「まあ……ボクは確かに染めた事はないですけど……」
苓菜さんがはっきりとは言わず歯切れ悪くそこで言葉を切った。
「…………けど?」
あ、ナルさんが意地悪な笑い方してる。
苓菜さんはどうするのかな。
「あはは……良いじゃないですか、ただ物知りなだけですよ」
笑って誤魔化してる。でも、ナルさんはそう言う時————、
「モエちゃーん!」
「へっ?! ちょっ、成可さん止めてくださいよ!!」
大体一番仲の良い人に訊きに行く。
でも今はこの場を離れられないから大声でモエさんを呼ぶ。
それを必死に苓菜さんは止めようとしたけど、モエさんはちゃんと来た。
「はーい?」
- Re: 百合(GL) 短編(?)集 気紛れ更新 ( No.73 )
- 日時: 2017/05/26 09:58
- 名前: 有夏 (ID: SnE9EC7A)
『ほのぼのしそうな話。-アリムラ荘の日常-』
休日の話。-Side:瑠依-(続き)
「萌乃は関係無いから戻って————」
「モエちゃんは苓菜ちゃんが髪染めた事無いのに髪傷むって事に実感籠ってるか知ってるー?」
苓菜さんはモエさんに目配せしながら手を動かし続ける。
「あー、何ででしょうねぇ?」
モエさんはニヤニヤして苓菜さんをチラッと見ながらそれだけ答えた。
「んー……あぁ、成る程ねー、解った解った」
モエさんと苓菜さんの視線だけのやり取りを見ただけでナルさんは納得したらしい。
どういう事だろう……。
でも、苓菜さんちょっと嫌がってるし……訊かない方がいいかな。
「さて、後はもう洗い流すだけね」
全部終わってから10分ほど放置し、現在に至る。
半分寝そうになっていたけどナルさんにそう言われてモソモソ動き出す。
「ん……はい」
髪の余分な染髪剤を洗い流し、ドライヤーで髪を乾かして鏡を見上げる。
綺麗に青い。深い青。藍色って言うのかな。
ルイはずっと昔から————気づいた頃にはこの色が好きだった。
だから、この色に染めたいって最初に言ったんだ。
「髪の毛終わったよ」
洗面所からリビングに戻ると4人全員揃っていた。
「……おぉ」
「綺麗ね」
「ルー可愛い!」
「おぉ、綺麗……!」
ユウは相変わらず少し解りにくいリアクションだけど、ナルさんと苓菜さんは感想くれたけどモエさんは感想言うとこ何かちょっと違う。
「……綺麗に染まった」
ルイが自分の髪をいじりのながら感想を言うと皆が嬉しそうに笑った。
……まあ、ユウの表情はそんなに変わってないけど。
今日もまた、楽しい事があった。
皆にルイの好きな色にルイの髪を染めてもらった。
皆はいつも優しくて面白い。
喧嘩もなくて、いつも平和。
ルイはちゃんと「ありがとう」を言えている。
楽しいから。嬉しいから。
今日も、ありがとう。
休日の話。終
- Re: 百合(GL) 短編(?)集 気紛れ更新 ( No.74 )
- 日時: 2017/05/06 20:40
- 名前: 有夏 (ID: IdAMZaS7)
『ほのぼのしそうな話。-アリムラ荘の日常-』
平日の話。萌乃と苓菜の場合。-Side:萌乃-
午前中の授業が終わり、午後に受ける授業も無くて取り敢えず食堂に寄ってから午後の時間をどうするか一人、考えていた。
「あ、苓菜ー」
ちょうど食堂に向かう途中で同じく食堂に向かう苓菜を見つけ、声を掛ける。
「んー」
振り返りもせず応えた苓菜の隣に並んで一緒に食堂へ向かう。
「苓菜って午後授業ある?」
「いや、無いよ。暇なの?」
「うん」
「どっか行くか」
「やった」
「一緒にとは言ってない」
「えーっ」
「冗談だよ」
モエの事良く解ってるけど、いや、解ってるから苓菜はこうやってモエをからかう事が多い。
からかわれるのはあんまり好きじゃないけど、苓菜のからかいには結構慣れた。
やっぱり何年も一緒に居ると慣れるねー。
色々と。
「あぁー、ちょい食べ過ぎた……休憩しよ」
学食で食べると苓菜は毎回食べ過ぎるなぁ。
そう思いつつ、日陰になっている場所にあるベンチに二人で腰掛ける。
「モエが今度からお弁当作ろうかー?」
毎回食べ過ぎてるなら、と思ってそう訊くと苓菜が少し驚いたような表情をした。
え、モエは結構料理出来るよ?
「自分の作ろうとさえしないのにボクのは作ってくれるの?」
意外なのはそこなのか。
「うん、良いよー」
- Re: 百合(GL) 短編(?)集 気紛れ更新 ( No.75 )
- 日時: 2017/05/26 10:00
- 名前: 有夏 (ID: SnE9EC7A)
『ほのぼのしそうな話。-アリムラ荘-の日常』
平日の話。萌乃と苓菜の場合。-Side:萌乃-(続き)
食休みをして、二人でカラオケ行って。
他にも買い物行ったり。
仲の良い友達ってこんなものだよね。
他の友達とも良くこうやって遊んでたりもするし。
でも、苓菜との関わり方は他の友達と違う所がある。
「帰ろっかぁ」
まず、一緒に住んでるし。シェアハウスだけど。
「そうだね」
普通に道で車道側歩くとか苓菜ってイケメンっぽい。女子だけど。
……あ、猫だ!
公園でポツンと佇む一匹の猫を見つけ、思わず立ち止まる。
近付いたら行っちゃうかな。
うーん……でも、触りたい……。
「にゃーん、おいでー?」
結局モエは苓菜から離れ猫に近付いてみる事にした。
ある程度近付いたら屈んでジリジリ近付いて————、
「あっ」
やっぱり警戒心が強いらしくプイってそっぽを向いて逃げてしまった。
あーあー……ねーこー……。
「……萌乃ー、置いてくぞー」
不意に後ろで立ち止まってる苓菜に声をかけられ、振り返る。
「置いてかないでよー!」
急いで立ち上がって苓菜のところに戻ると、そっと苓菜がモエに手を差し出してきた。
「嘘だよ」
ちょっと意地悪な笑顔でそう応える苓菜の手を、モエは握った。
ちゃんと、指と指を絡めて。
「知ってる」
苓菜はいつでもちゃんとモエを待っててくれてるもんね。
ただの、仲の良い友達じゃなくて。
こうやって手を繋いで二人で歩く。
二人で居る事に意味があって。
お弁当、張り切っちゃおう。
大切で大好きな恋人の為だし。
平日の話。萌乃と苓菜の場合。終