BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: まつのけ。(おそチョロ中心) ( No.5 )
日時: 2017/04/29 16:38
名前: のしこ (ID: 23qbUXXN)



「なん、だって………」


松野家三男、松野チョロ松。
只今目の前の光景に目を疑っています。



迷いに迷って、やっと辿り着いた、クラスの書いてある掲示板。

息も絶え絶えに、自分の名前を探す。
1組、……………松野、ああ、カラ松か。

2組、………………、松野一松、と、トド松。

3組、…、松野、おそ松…………と、チョ

「………………………」



冒頭に戻る。


なんで、僕だよ。もっといるだろ、クソ教師ども。

言いたいことは色々あるが、まず一つ。この高校の教師はカスだ。もう信用しない。

赤塚高校は、一学年4クラス。
僕はあくまで、1人でいいと思っていたのに。ほんと最悪。
いつも願ったことは叶わないのに、嫌なことばかりで、ちょっと死にたい。
何だよ、占い1位とか冗談にも程があるだろ。嘘ばっか言いやがって。
あのお姉さんもマジ信用しない。いや声聞いただけだけどさ。

「やったあ、みき、同クラじゃん」
「やったじゃん、超やばい」

「きゃあ、優くんと違うクラスだ……うぅ」
「大丈夫だって葵、いつでも会いに行けるでしょ!」

ぐおおおおお、と、頭を抱える僕の横で、可愛らしい女の子たちが騒いでいる。

ふ、と顔を上げた。

「……すきなひと、か」


……



はっ。

よくよく考えると、僕が反応すべきなのは、そこじゃないよね、

いつでも会いに行ける、でしょ!?

「うぐううう…」

悔しさと恥ずかしさ、絶望がごちゃ混ぜになって、先程よりも悲痛な声を上げる。

はあ、こんな学校、燃えてしまえ。
…なんて、自分から行くと言ったくせに。



あの後、僕の20分程後に来た4人。
……おそ松兄さんがいなかったことに、ひどく安堵した。

みんなそれぞれの分けられ方に、純粋に喜んだり、文句を言ったりしていた。
それに、大丈夫か、と聞かれた。
うん、大丈夫、と無理やり笑顔を作ると、カラ松はちょっと笑って、僕の頭をくしゃっと撫でた。


入学式は何の問題もなく終わった。
強いて言うなら、六つ子の存在が全校生徒の前で明らかになった。
そりゃ、「松野〜松君」「はい」が6回も(おそ松兄さんは返事なしだったけど)
あったら、みんなビビるよね。
そうは言ってももう慣れたし、何なら最近調子に乗ってあざとさが増してきた末弟は、利用しようとまで言っていた。

中学とかと違って、列にさせられたりしないのか、なんて考えながら、教室に5人で帰る。

「じゃあ、後でね」
「うん!一緒に帰りまっせ!」
「うん、ふふ、十四松、ちゃんと大人しく。ね」
「あい!」

3組の教室の前で十四松と別れる。
先程別れた3人とも、一緒に帰る予定だ。

十四松が入ると同時に、4組が騒がしくなったのを見届けて、自分も教室に入る。

……がら、と扉を開けると、






_________そこには、嬉しそうに笑って女子と話す、長男が居た。






いつ、来たんだろう。なんて言われるんだろう。

あいつは、新入生のくせに早速、ネクタイを外した白いシャツの中に、赤いTシャツを着て、袖をまくって、
誰のものか分からない一番後ろの席の椅子の背もたれに寄りかかって、



…可愛らしい女の子と話していた。





ぐ、

思わず呻き声を上げそうになるのを堪える。

おなかいたい、きもちわるい。
生理的な涙がこみあげてきて、思わずその場にうずくまった。

おい、その女子、さっき優君がどうたら、とか言ってた子だろとか、
お前入学式初日から先公に目ェつけられてどうすんだ、とか。

ツッコみたいことはたくさんあるのに、どうしても目の前の光景を見たくなかった。

「_______っチョロ松、」


「!」

いつ気付いたのか、おそ松兄さんは、僕の目の前に座って、背中を撫でている。

久しぶりに触れるその温度にひどく安心したし、僕の名前を呼ぶその声が、なんだかすごく情けなく聞こえた。
嬉しい。


そう思ってしまった。


目の前は真っ暗闇。



「っ、ごめ、大丈夫…」


自分が思い上がらないように。


…勘違いしてはいけない。おそ松兄さんに迷惑をかけるな。



頭の中で鳴り響く警報に、慌てて立ち上がる。
いくらか楽になったからか、ふらつくことはない。

「…そっか」

おそ松兄さんの顔は見えない、見ない。

「チョロ松」

背中の温度が恋しくなって、思わず顔をあげた。
おそ松の顔になんの感情もなかった。

目は合わない。


合っているのに、別のものを見ている。

お前も、僕も。

「……」


続く沈黙に焦りだす。



ああ、どうしよう、やはりもう嫌われているのか。

何言ってんだ、もうおそ松に期待はしないって決めた。

それでも、もう一度だけ話がしたいと思っていた。

ずっと意地はって避けてたくせに。

違う、嫌いだと言われるのが怖い。

ビビってんじゃねぇよ、悪童の癖して。


ああ……おそ松が悪い。

そうだな、全部おそ松が悪い。

僕は何も悪くない。

何も悪くない。

おそ松が、謝れば、










「同じクラスか。一年間、よろしくな」


おそ松は、笑った。
なんでもないようなかおで。









真っ白になった。






あ。


ああ、そうか。


そっかあ、ふうん、あっそう。


ああそう。



女子の声が聞こえる。
おそ松は笑っている。気持ちの悪い笑い方だ。そうか、うん。



よく分かったよ。







「……うん、よろしく。おそ松兄さん」


僕は、随分と酷い勘違いをしていたみたいだ。









それからのことはあまり覚えていない。

気がつくと家の布団で寝かされていた。

周りには誰も居なくて、下の方から騒がしい声が聞こえる。


いま何時だろ。
のどかわいた。


起き上がって、静かに襖を開ける。

床が鳴らないようにゆっくり歩む。


…と、階段に足をかけた時点で、僕は思わず固まった。


声が聞こえた。





「俺、さ。明日告るわ」




おそ松、兄さん。