BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 二次創作をまとめる(予定) ( No.4 )
- 日時: 2017/12/14 01:28
- 名前: 利府(リフ) (ID: xiz6dVQF)
ヤバいレベルで短いやつ。
FGO時空で、医者のことが好きな探偵とぐだなのかよく分からん女の話です。なんか探偵が星属性(人類史に大きな影響与えた)なのすげー好きなんです。わかってほしい。CP要素についてはわかんない。微量にホムワト?あと相変わらず医者不在です。なんてこったい。
***
コカインを打ち終えて、満足気なため息を漏らして、椅子に力なく腰掛ける彼の気だるげな視線に射抜かれる。
そして、私が何を考えているかも筒抜けだと言うかのように、彼はひとつ微笑む。それから少し振り返るようにして、
「ワトソンくん、そのあたりに置いた手紙を取ってくれないか」と言った。
私はその一連の流れには慣れている。
「ワトソンくんはいないよ、ホームズ」
「知っている。未だいないのか、もういないのか。幻覚に悩まされるのもうんざりだ。僕の心が安定しない」
至って真面目な顔をして問うてくるが、たぶんこの人の露わにする感情は本物じゃないのだと思う。知っている。
シャーロックホームズは、腹の内を見せない。明かされないそこは果たしてどす黒いのか、それとも人が怯えるほどの虚無なのか、私には分からない。
ただ、それじゃ、この人を星の開拓者たらしめる英雄らしさ、偉人らしさは説明がつかないだろう。でも、ほんとにそうなのだ。度し難い外道は、いつまでも腹の内を明かさずに微笑んでいるのだ。希望の星のふりをして。
「どうして君たちはこんな私を人類史の明かりにしたんだ。
そのあたりが、私には理解しがたくてね」
シャーロックホームズは珍しく、私の目をじっと見てそう囁いてきた。
「星のようにあなたの生きざまが美麗だったからでは」
「ふーん、...そうかい。私を明かりや星だとして、救ったものなどないように思うがね。私は依頼人から託された役目を果たした。そして重ねて、私の衝動に従順でいた。君たちの社会に蔓延っている人々と一致しているのではないか?」
どうしてもシャーロックホームズは、自分が謂れもない「人類の希望」として扱われるのが嫌なようだった。むず痒いというよりは、表情に色濃く現れているのは正に嫌悪だ。
「そもそもあなたは、誰かの希望でいたかった?」
「ノーだ。そんな気はさらさら無かったと思うがね。強いていえば、退屈極まりない人生を送っていた私の希望か。事件を求める私を、私の好奇心と浴びせられた名声が手助けしてくれたのかな」
「要するに、自分の星」
「それはイエスと言わざるをえないね。自分自身を理解するのは自分、とかぎったわけじゃないのだが、それでもよそ者よりは分かっているつもりだろう?君もさ」
探偵はもういいだろうと言いたげに、今度はパイプをやりだした。人間だった頃と喫煙の頻度は変わっていないのだろうが、もう体力も心配することがない分煙に身を預けていることが多くなっている。
人類史の星はまた一つ雲隠れをする。そうやってまた死んでいく。
幻滅結構とばかりにまた部屋が煙たくなる。
「あなたが星らしくなったらワトソンくんもあなたのことを見つけやすくなるんじゃないの?」と私が言う。ただのジョークとして投げかけたものに、会話の打ち切りを決め込んだはずの探偵はくすりと笑ってくれた。
「僕の親友はね、僕がだめになったら、最後にはちゃんと助けに来てくれるのさ。それを信じて待っているんだ」
「代わりに、あなたが見つけに行くのは?」
それを問うた時、探偵はうつろな目つきをして、晴れた夜の窓の外を眺めていた。
「知ってるかい。僕の大好きな一等星はね、世界にとっては二等三等らしいんだよ」
死んだ星はじろりと満天の星空を睨んでいる。