BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- 時の止まった桜の下で ( No.13 )
- 日時: 2018/03/22 15:52
- 名前: 闇帝 (ID: kVKlosoT)
刹那の時を行く桜に、私は心を奪われた。
私もあのように、美しく咲きたい。
そして叶うのであれば、このまま時が止まって欲しい。
永遠に花咲く桜を夢見て、私は桜オロチとなった。
時を止め、散らぬ桜を眺める。
けれど私は、その姿に以前のような美しさは感じられなかった。
ーー何故だろう。桜は変わらず美しいのに、なぜ心が満たされないのだろう。
「それは、桜が散るからこそ美しい花だからだよ、オロチ。・・・いや、桜オロチ」
不意に、そんなことを言われた。
止まった時の中で動くことができるのは、時を止めた私と、もう一人。
「時空神、エンマ・・・」
私と同じく、時を操る力を持ったエンマ大王。
私の、最愛の人。
彼であれば、この時の中でも自由に動ける。ここにいるのも納得だ。
「桜オロチよ。お前はこの桜を、美しいと思えないのだろう?」
「・・・はい。おかしいですよね、己が望んだことだというのに」
「いや、おかしくなんかないさ。俺だって、永遠に咲き誇る桜を見たいと思う。でもなぁ、桜は儚く散っていくからこそ、美しいんだ」
「散っていくから、美しい・・・」
あぁ、そうか。私は咲き誇る桜を美しく思ったのではなく、儚く散りゆく桜を美しく感じたのか。
「ならばもう、時を止める必要はありませんね」
そう言って私は、止まった時を動かそうとした。
しかし時空神が私の腕をつかみ、それを阻む。
「時空神?」
「まぁそう焦るなよ。せっかく二人だけの世界なんだ、もっと楽しもうぜ?」
そう言って時空神は私の頬に唇を落とす。
チュッとリップ音を立てて、唇が離れた。
時空神は意地の悪い笑みを浮かべて、私の頬を撫でる。
顔が朱に染まる感覚を覚えながら、私も笑みを返し、「それもそうですね」と言った。
散らぬ桜の下で私は、愛する人と唇を重ねた。
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最後なんかこじつけ感ありますね。
時空神エンマを呼ぶとき、様をつけた方がいいですかね・・・