BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: アタシとアイツの恋愛ジジョウ ( No.2 )
- 日時: 2018/09/14 01:04
- 名前: おかゆ ◆hMk2uzc.1Q (ID: 0ymtCtKT)
#2
シー、と、妖艶に笑うその人とはうらはらにもう一人の彼は顔を真っ赤にして慌てふためいていた。
「えっ・・ちょ、馬鹿!!!おい!!!何やってんだよ要人!!!いや、人・・!」
「あぁ、いやぁ・・はは」
「ははじゃねーって!!」
カナト——?
真っ赤になりながら彼は、そう呼んでいた。
カナト——要人って、いや、そんなことよりも、
「まぁまぁ。減るもんじゃないし。ねぇツバサ」
ツバサ、と呼ばれたその人は未だ口をパクパクさせまだ何か言いたげな顔であたしともう一人を見ていた。
「・・・つーかここ、立ち入り禁止だったろ。なんで入ってきてんだよ」
自分たちだって入ってるじゃん。
自分たちを棚にあげて何勝手なこと言ってんだ。
そう反論しようとしたところでスリッパの色が目に入り、相手が三年の先輩であることに気づく。
「・・・・先輩方もはいっているじゃないですか」
「いや、俺らは・・」
言葉に詰まったのかばつが悪そうに明後日の方向を向く。
言えないならそんなこと言わなければいいのに。
イライラしているのが伝わったのかもう一人の先輩はまぁまぁとお互いをなだめる。
「とにかく、ごめんね、このことは誰にも言わないでくれると嬉しいな」
ね?とお願いするその顔に見とれた。・・いや、そうじゃなくて。
「そうじゃなくてさーーーーーー!!!!!」
「うわ、びっくりした」
急に叫び出したアタシに隣で油絵を描いていた真由子はビクッと肩を揺らした。
あの後のことは正直よく覚えていない。
はい、と言いながら首を縦に振りまくり、挙動不審になりながらその場を後にし、無我夢中で部室へ向かったのだ。
「あーーーもうなんでなんでなんでなんで・・・」
言いたいことは、山ほどある。
男同士でキス・・を、していただとか、あんな人気のない所で、とか、何よりも。
「・・・・要人先輩・・・・」
キスしていた一人がアタシのあこがれていた先輩だった、とか。
「ああああああ・・・」
状況が呑み込めない理解できない整理できない追い付かない。
わけのわからない映像が、何度も何度も浮かんでは消えて。
「由衣ちゃんどうしたの?今日。変だよ?」
しまいには友達に本気で心配される始末。
「うん・・・大丈夫・・ごめんね・・」
結局その日は具合が悪いとてきとうなことを言って先に帰らせてもらった。
帰るときもずっと、あの二人の顔が頭の中を行ったり来たり、そのたびにあたしは小さく悲鳴を上げるのだった。