BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: イナズマイレブンで自己満小説! ( No.13 )
- 日時: 2019/02/03 00:37
- 名前: らむね (ID: H65tOJ4Z)
鬼道と豪炎寺の部屋に着くとベッドに寝かせる前に円堂さんに抱き抱えられたままの鬼道のマントを器用に取ってはハンガーに掛ける豪炎寺。
円堂さんは鬼道をベッドへ、そっと降ろして監督やコーチ・マネージャーに事情を話す為に席を外す。
豪炎寺は鬼道のゴーグルと髪を結ってるゴムも負担にならないように外し、靴を脱がせてベッドの下の方へ揃えて置く。
普段は無口で何考えてるか分からなくて先手をきってみんなを先導するようには見えない豪炎寺は突然の出来事にも冷静に対処して周りの事も手際良く済ませているのを見て驚愕してしまう。
何か手伝えることがあるはずだし、鬼道と違ってサッカーの事以外は少し抜けてる豪炎寺と円堂さんにはついて行って俺が鬼道の安全を保証する気でいたのに、伊達に俺より長く生きてるわけじゃないことを知る。
完全にナメていた。むしろ俺の方こそ何が出来るのか聞きたいぐらいだ、部屋に入ってから眠る鬼道とその横に付き添う豪炎寺に何も出来ない。まるで二人の世界に感じるぐらい遠くから見ているような蚊帳の外に追いやられた気分だった。
「・・・・・・ご、えん、じ」
「鬼道、目が覚めたか」
「・・・ここは・・・?」
「俺達の部屋だ」
「れんしゅうはどうなった」
「心配はいらない。今日はゆっくり休め」
目を開けた鬼道はカサカサで小さな弱弱しい声で聞きたいことを絞り出す。それに淡々と答える豪炎寺は、ふと鬼道の頬を撫でて首筋に手の甲を滑らせる。何をしてるのか分からなくて豪炎寺を見ると、口は笑っていない様なのに目が柔らかく熱い視線を鬼道に向けているのだ。いつもとは違う豪炎寺がそこにいるみたいで俺は声をかけようと一歩足を前に出して踏みとどまった。何故なら豪炎寺の行為に疑問を抱かない鬼道が声を出したから。
「うつってしまうぞ」
「鬼道は何も気にしなくていい、氷のうか水枕でも持ってくる」
「・・・ああ」
豪炎寺の鬼道への優しい声掛けは俺には到底出来そうに無くて何故だか悔しくて歯を食いしばる。ベッドから離れて部屋の扉の方に居た俺に歩み寄ってきた豪炎寺は俺の前で止まって声をかけてきた。
「鬼道のこと、少しみていてくれるか?」
「・・・俺は居てもなんもできねえ」
「居てやるだけでいい」
「・・・・・・わかった」
豪炎寺から小声で鬼道をみていろと指示を受けたが先程見せつけられた自分の非力さに、顔を少し傾けて豪炎寺の後方のベッドで苦しそうに咳をする鬼道を見て、任される資格がないと下を向けば肩に手が置かれる。
そこにいるだけでいいと言った豪炎寺の目は真っ直ぐ心からの頼み事をしているかのような力があって、肩に置かれた手からは熱が伝わり、少しの間でも鬼道をみれるのはお前しかいない、とでも言っているような気持ちの篭ったものだった。
俺が頷くと豪炎寺は礼を言うかのように薄く笑って肩から手を放すと俺の横を通って部屋を出て行った。
ベッドサイドに椅子を持っていき腰掛けて鬼道の様子を見た。