BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: イナズマイレブンで自己満小説! ( No.20 )
日時: 2019/04/01 22:28
名前: らむね (ID: 0H2MybmK)


【初めてのタクシー】
豪鬼
※オリオンの刻印での豪炎寺の足の怪我ありです。
※無印の帝国vs世宇子戦話が少し出てきます。
ーーーーー

「豪炎寺、足の具合はどうだ?」
「ああ、リハビリをしているからな。今は順調に歩けるようになってきた」
「そうか、ゆっくりでいいからな」
「ああ」

時折俺の病室に鬼道は姿を見せた。アジア予選中にも関わらず、病室の扉が開いた時に看護師か父さんか、フクさんと夕香か、鬼道、というくらいには頻繁だが来る時の連絡は無い。翌日である時もあれば三日後である時もある。

今日もベッド脇の丸椅子に座ってイナズマジャパンの現状やオリオン財団の目的や俺の足が治ったらやることを話してくれる。
俺はこうやって鬼道と二人きりで話すのも新鮮だけど妙に落ち着いて気が解れる。一人でいることは寂しくはないが、鬼道がこうして来てくれるのは嬉しい。
鬼道が代表から降ろされた時は本人の口から語られて不本意だと言うのも理解出来た。だが、鬼道有人というピッチの絶対指導者、いや、天才ゲームメーカーが居なくなったフィールドで自分達に何が足りないのかを自覚し、より強くなる為に努力するには鬼道の離脱は大きくも、今すぐ戻れる様に案を練った方がいい等とは微塵も思わなかった。
こうして病室に姿を現し楽しく会話をして時間が来ると何事も無かったかのように平然と「また来る」と言っては帰って行く鬼道に、世宇子戦で敗北した帝国の佐久間や源田にもしていたと思うと鬼道の仲間思いな所が見て取れる。

「豪炎寺?」
「ん?」
「話を聞いていたのか?」
「いや、すまない。少し考え事をしていた」
「まったく、お前はそう物思いに耽ると周りが見えなくなる傾向があるな。気をつけていないと、猿も木から落ちるし、犬も棒にあたると言うからな、これ以上の怪我は許さんぞ」
「フフッ、すまん」
「そういえば先日、円堂と電話をした時、豪炎寺のボールを新技で止めてみたいと話していたぞ?円堂の事だからな、本当に止めるかもしれないぞ」
「フッ、円堂にも止められやしないさ」
「ほう・・・だが、無茶はするなよ。今は絶対安静だ」
「わかっているさ」

鬼道も円堂と同じくらいよく喋る。少し態度が大きくても相手が鬼道なら全く気にならない。いつも仲間の事を思って行動して、皆を見ている頼れる司令塔。ゴーグルで綺麗な瞳を隠していても眉毛や口の動き、声音で意外とわかりやすいヤツだ。

「外出は可能なのか?」
「まだ松葉杖が無いと歩くのには厳しいが、外出は届出が出ていれば」
「なら、散歩しないか?」
「散歩?遠くには行けないぞ?」

丸椅子から立ち上がった鬼道は壁に掛けてある松葉杖を俺に手渡してくる。鬼道のことだ、届出は提出してあるのだろう。口角を上げている鬼道が上機嫌なのは何故なのか分からないが左脇に松葉杖を挟んでベッドを発つ。

一緒に病室の外へ出ると、目前にタクシーが止まっていた。