BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: イナズマイレブンで自己満小説! ( No.21 )
日時: 2019/04/11 00:49
名前: らむね (ID: 0H2MybmK)


「ほう・・・自動でドアが開くのか、面白いな」

左の後ろのドアが自動で開くと鬼道は少し驚いた様で感心した声を上げた。タクシーが初めてなのは鬼道の生きてきた環境上、分からなくもないので感心する様子に少し可愛いと思ってしまう。
クスッと笑って、乗り込もうと屈めば松葉杖を鬼道が取って腕を支えてくれた。おかげですんなりと入ることは出来て右足で奥の席へ移動する。松葉杖をしっかり持って後から鬼道も慣れたように車に乗りこんだ。自然と真顔で真摯を見せつけられる、そういうところが人を寄せ付けるんだぞ、そう思うけど言ってやらない。
乗り込んだ鬼道が両膝に手を置いて開いたままのドアと外を眺めている。外に何かあるのかと体をずらして聞いてみる。

「どうした?鬼道」
「ああ、いや。開いたドアは誰が閉めるんだろうかと思ってな」
『ドア、閉まりまーす』
「!・・・閉まるのも自動なんだな」

ドアの開け閉めは執事の袴田さんにやってもらっているから、タクシーだとどうなるか悩んでいたようで、運転手の掛け声の後、閉まるドアに小さく歓声を上げている。運転手が手動で押すボタンでドアを開け閉めしていることに鬼道は気づいてないが、可愛いので言わないでおく。クスクスと笑いニヤけてしまう顔を止めらない。
運転手から声がかかる。

『行き先はどちらまで?』
「ん?ああ、雷雷軒まで」
「・・・鬼道?」
『・・・はい?』
「?雷雷軒だ」
「っぷふ」
『・・・あのー』
「なんだ?」

しがないラーメン屋を言ってもマップでは出てこないだろうし、タクシー運転手だとしても詳しく道を覚えているのは数少ないだろう。稲妻町の人間ならまだしも、鬼道の寄越したタクシーは系列の会社が稲妻町ではないうえ、別の地区の人間が運転をしている。安全運転を指導された者で相手が鬼道だからと変なルートへ導かないちゃんとした者が用意されたのだろうことは分かったが、稲妻町から選ばれなかったのかと哀しさと可笑しさに苦笑ものだが、店名を言って通じるのが当然だと思っている鬼道も面白くて吹き出してしまう。
成り立たない二人の会話に、運転手が困っていたので俺が何丁目のどこどこへ停めるよう詳細を述べれば分かったようで車は走り出した。

隣を見れば鬼道は腕を組みながらそこまで言わなければならないのか?と少し不服そうにしていた。