BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: イナズマイレブンで自己満小説! ( No.23 )
- 日時: 2019/05/04 16:34
- 名前: らむね (ID: cvsyGb8i)
鬼道から離れるのはなんだか名残惜しくて、手を伸ばさずとも届く距離に鬼道が居ると余計に触れたくなる。倒れるふりでもすればずっと肩を貸してくれるだろうか、手でも繋ぎたいと言えば笑って小突いてくれるだろうのだろうか。一瞬なら許してくれるだろうか、キスぐらいなら・・・
「・・・鬼道」
「なんだ、豪炎寺」
呼べばこちらを向いてくれる。俺が鬼道の目を見つめれば鬼道もこちらの意図を読もうと見つめ返してくれる。どうやら解らないようで眉間にシワが寄ってゴーグル越しの綺麗な赤い瞳が僅かに揺れた。
それなら分からせてやろうとゆっくりと顔を近づける
「ご、うえん」
「遅かったなあ、二人共」
「「!!」」
急にかかった声に俺も鬼道も驚いて声のする方へ二人して顔だけ向ける。それは見知った人物でまさに俺達の目的地としていた雷雷軒の店主、雷門をFF優勝に導くべく監督として務めてくれていた響監督の姿だった。
雷雷軒の入口を背に腕組みをして仁王立ちしてにこやかに歯を見せた。
「随分、待ちわびたぞ?早く中に入れ」
「「・・・」」
見られたか?
俺と鬼道の関係は別に隠している訳では無いがチームメイトには話していない。変に意識されて行動されるとは考えていないが特に話すべき内容でもないと二人して思っているからだ。
だが何故だろう、見られたと思うと知らせてないことからか、何か見られてはいけなかったような事をしていた気持ちになる。
俺と鬼道はお互いの顔を見合う。鬼道が何を考えているか?きっと誤魔化す方法だろう。・・・俺は、正直見られたら見られたでいいかと思っている。相手が響監督なら円堂のように皆の前でボロを出すことも無い、また大人だということから俺達への色々なアドバイスも貰えそうだ。それはこちらにとって損なことでは無いだろう。と、なれば続きを・・・
「何をグズグズしてる、もうすぐサウジアラビア戦だぞ、見て行くんだろ?」
「あ、はい・・・」
「鬼道!・・・・・・」
「そら、豪炎寺も。歩けるか?」
また鬼道に顔を近づけようとすれば響監督から声がかかり、それが制止の呼びかけのようになり、響監督の“サウジアラビア戦”という言葉に鬼道は当初の目的だったかのように、俺から呼びかけに足を止めることなく、あっさり離れて響監督の横を通り雷雷軒の入口を開けて入って行く。
いいところだったのに・・・。
鬼道の元よりそのような雰囲気は無かったかのような拍子抜けな行動も、サッカーのことを一番に考えている鬼道の事を思えば何も疑問は抱かない。
だが、問題はそれを響監督が餌に鬼道を引き付けたことだ。俺は不満を旨に響監督を見る。
鬼道が店内へ入って行くのを見て俺へ笑顔で声をかける。手助けが必要か?と片手まで差し出して。
俺はそれを無視して松葉杖で店内へ足を入れる。
響監督の横を通り過ぎる時、軽く後頭部を叩かれた。
「痛っ!え・・・?」
唐突な行動に、つい痛いと口にするが実際はそんなに痛くはなかった。驚いて足を止めて響監督を見れば俺を店内へ招き入れた後、出入口の横開き扉を閉めて通りすがりに笑みを浮かべ下記を述べる。
「店前ではやめろ、立派な営業妨害だ」
「えっ」
「フッ」
「豪炎寺、もうそろそろ始まるぞ」
厨房へ向かう響監督の背中を見送る。
どうやら俺が何をしようとしていたかは分かっていたみたいだ。どこから見られたのかは気になるが、既にテーブル席に座っていた鬼道が笑みを浮かべて俺に声をかけてきたことによって、俺は考えるのをやめた。
心無しかワクワクとしているような緊張の入り交じったような楽しそうな鬼道の顔を見れば俺の脳は単純なもので、悩みなんて吹っ飛んでしまうから。
「ああ」
俺は元気よく相槌を打って鬼道の元へと松葉杖で歩み寄った。