BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: イナズマイレブンで自己満小説! ( No.29 )
- 日時: 2019/06/26 21:26
- 名前: らむね (ID: tuakPBCn)
(ロシアへ旅立ち当日、搭乗前)
[今から飛行機に乗る、豪炎寺]
メッセージを送信、数秒して既読が付く、読んでもらえた安心感にスマホをポケットへ入れようとするとスマホが振動して着信を伝えた。
驚いて、慌てて画面を見ると、メッセージを送ったばかりの相手からの着信。無論、拒否する理由などない。
「はい、もしもし」
「俺だ」
「フフッ、わかりやすいオレオレ詐欺だな」
「名前を言って欲しかったのか?ククッ」
「鬼道、なんだか久しぶりに話す感覚だな」
「先日会ったばかりだろう」
「ああ」
「・・・そっちは騒がしいようだが、円堂はどうしてる?」
「坂野上と飛行機を見てる、沢山あるのが物珍しいみたいでな。風丸はタツヤや吹雪とも話をしている」
「・・・灰崎は、どうしてる」
「ああ、稲森と野坂と何やら話しているようだぞ?」
「そうか、なら心配ないな」
「・・・俺の心配は、してくれないのか?」
「今日は随分と甘いことを言うんだな」
僅かに笑う声が愛おしく耳に響く。話していると安心するのに、周りが和やかにして騒がしくとも、自分が一人、場の空気に溶け込めず孤独感を味わう。
隣に鬼道が居ないだけで、居心地の悪ささえ感じる。
「・・・なあ鬼道、早く戻って来いよ」
「ならお前もさっさと足を治すんだな」
「無茶言うな、最善は尽くしてる」
「フフッ・・・豪炎寺、寂しいと思っているのはお前だけじゃない」
「・・・ああ。チームの為、だよな。わかってる」
「俺も、お前と円堂と早くサッカーがしたい!それが例え代表じゃなくとも想いは変わらない」
「俺もだ」
決して突っぱねる言い方じゃない鬼道の発言が必ず戻って来るという意思を示していて嬉しくて、焦りや孤独感が薄れていく。一人で戦いに行くわけじゃないと言われている気がする。
だけど、それとは別に不安もある。
「鬼道、久遠コーチも残るんだろ?」
「ああ。選りすぐりの選手を久遠コーチに検討してもらい、監督と連絡を取るのはコーチの役割だと話していたからな」
「元々、鬼道も選手なんだからサッカーやってないと可笑しいんだけどな」
「そういうな、俺は俺のやるべき事をやる、そう言ったはずだろう?それに今はチームを離れていても安心できると思ったから」
「少なくとも俺は、お前が居ないと安心できないんだがな」
「・・・口説き文句が多いぞ、よく恥ずかしげもなく・・・」
「鬼道が心配なんだ」
「なにを心配することがあるんだ?久遠コーチも居るし、危険には及ばない、対処法も心得ている」
「久遠コーチに、あまり近づきすぎるなよ?」
「・・・ふっ、ふふっ、なんだ嫉妬していただけか」
「・・・悪いか?」
「いや、嬉しい。俺のことは心配するな、お前以外に色目を使う気は無い」
鬼道が笑っているのが声だけで伺える。久遠コーチに嫉妬してることがバレて嫌がられない、寧ろ喜んでいる発言にキッパリと告白紛いのものまで。
全く、どっちが口説いているんだか。
「おーい!豪炎寺ー!乗るってよー!」
「豪炎寺さーん!」
「あ!ああ!今行く!」
円堂からの呼び声にそちらを見ると搭乗口に並んでいるイナズマジャパンメンバー、円堂に続いて坂野上や稲森も俺を呼びかけて、両手を振っている。
もう、そんなに時間が経っていたのか。鬼道との電話を切らなければならなくなった。少し名残惜しい。
「さっさと行ってやれ、エースストライカー」
「鬼道・・・」
「豪炎寺、気をつけて行けよ」
「・・・ああ、鬼道も俺がいない間に怪我なんてするなよ?」
「怪我をしたやつが何を言うか」
「それじゃあ、またな鬼道」
「ああ、また、必ず」
電話を受けたのは俺だから俺から切らなければいけない通話もなんだか切りたくなくて、俺も鬼道も通話を切る事がなく静かな時間が過ぎて、数秒してから鬼道が切ったのを確認後、機内モードに設定し俺はスタホをポケットに入れて搭乗口へチケットを持って走った。