BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 友人と恋人の境界線 ( No.10 )
- 日時: 2019/02/20 20:40
- 名前: キジ (ID: 6fVwNjiI)
旧校舎裏には誰の姿も無く、暫く待っている間にもう一度呼び出しの書かれた紙を見てみる。ヒントになりそうなものはなにもない、30分程待っても誰も来ない。旧校舎の建物自体は間違っていないはずだからもしかしたらどこかにいるのかも知れないと旧校舎の周りを一周してみようと振り返ると壁に手をついて俺を見てる佐野が居た。
何故お前がここに居るんだ?俺の跡をつけてきたのかと思ってしまうが今は話したくない。何も言わずに視線を逸らして佐野の横を通り過ぎようとしたところで、肩を掴まれ投げ飛ばされる。
投げ飛ばされた勢いで旧校舎の壁に背中を強打する、衝撃に目を瞑っていると顔の左側スレスレの所の壁に佐野は手をついた。ドンッと鈍い音を立てて俺の左耳にそこに手を置いた時のスピードを伝えるかのような風圧がかかる。
目を開けると間近に佐野の顔があってエメラルド色の瞳と目が合う。
「何か用か」
「八木ちゃんって、なんかオレのこと避けてない?」
「俺の質問に答えろ」
「八木ちゃんも!俺の質問に、答えろよ。なあ、避けてんだろ?」
「お前と無駄話をする暇はない」
どうやら佐野はご立腹のようだが、そんなこと俺には関係ない。俺は呼ばれたからココに来ているんだ。こんな所、誰かに見られたらどうするんだ。変な誤解されても困る。佐野との会話に付き合う気は無いとキッパリ断り、壁と佐野の間に挟まれている状態から抜け出すために右側を向けば、顔の右側の壁には拳が打ち付けられる。パリパリと少々コンクリートの崩れる音に怯むことなく腕の下を潜ろうとすれば脚で塞がれた。
逃げ場を探すが面倒になってくる。佐野は逃げようとする俺の道を塞ぎつつ「逃がすわけねえだろ」と言う。
仕方なく、ため息と舌打ち一つで怒りと動揺を収め佐野の質問に答えてやることにした。
「…別に、避けているつもりは無い」
「嘘つけ。だったらこっち見ろよ」
「触るな」
「ああ゛!?」
下を見ながら言えば顎を持って上を向かされ強制的に佐野と顔をあわせられる。顎を触ってくる手を払い除けると佐野は額に青筋を立てる。
「俺はこの手紙を送ってきた相手に会うためにここにいるんだ」
「それ、俺だけど」
「なに?」
「俺が書いて入れたんだよ」
「…何のためにだ」
「八木ちゃんが無視して避けるからだろ」
「なんのことを言っているのか、さっぱり分からな、んっ!」
右肩を壁に押し付けられ唇を押し付けられる。ただのキスならまだしも唇を舐めなれ「何をするんだ」と反抗しようと口を開けば舌が入って来て、耐えきれず胸を殴る力で叩いて顔を逸らせば、佐野は顔を離す。
「…なんだよ」
「やめろ」
「ハッ?何が嫌なんだよ、俺ら親友だろ?」
「…そんな気分じゃない」
若干佐野の焦りのある声と、挑発的だが半面哀しそうな口調で顔を合わせづらい。口元を手の甲で拭い息を整える。
佐野はボソッと下記を呟いて去っていった。
「…そんなにアイツらがいいのかよ」
俺には佐野の思考は読めない。身だしなみを整えて訳もなく咳払いしてから帰路についた。