BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 友人と恋人の境界線 ( No.11 )
- 日時: 2019/02/21 11:44
- 名前: キジ (ID: rBxtXU8t)
第4話「相談」後編
あれから一週間佐野とは口をきいていない。佐野が登校して来ないのも一つの理由だが、登校して来る時は日に日に顔や腕に傷痕や応急処置が施されていて授業もため息をつきながら貧乏揺すりをしているのだ。誰も声をかけようとはしない。
俺は自分の気持ちの整理がつかないまま佐野と話すのは駄目な気がして見ぬ振りをした。それもいっときだ、佐野は三時間ほど授業を受ければ理由なしに無断下校・早退をした。
俺は昼食時、松江達と一緒だったが親友とは友達とは何か、友人のありか等を考えると箸が進まなかった。
「どうした?最近あまり食べてないな」
「いや…そんなことは」
「なんだよ八木!なにか悩み事でもあるのか?オレ達なら何でも聞くぜ!なんだって話してみろよー」
篠塚がさり気なく聞いてくるが二人に心配される程の事ではない。否定しようとすれば松は篠塚とは対照的に周りに聞こえてしまいそうな大声で前のめりになって追求してきた。今日は屋上で食べていて周囲には俺達以外誰もいなかったから良かったが大声で「悩み事を隠してる人」と言うのが晒されるとなんだか周りを見てしまうようになる。それよりも二人に詰め寄られると口を開かずにはいられない。だが案件も案件、なかなか言えることではない。俺が黙っていると篠塚は言った。
「オレ達には、言えないことか?」
「えっ?」
「なんだよー!何でも言ってくれよ八木!」
「松江…」
「八木、話したくないならいいぞ。オレ達だって無理強いしてる訳じゃない」
篠塚の言っていることは、いつも殆ど正しくて自分の気持ちを正直に話してくれてる。松江だって、いや、コイツは皆にバカ正直だが、それでも困っている時は相談をしてくれていた。篠塚は松江と同様に俺を心配して、聞いてくれているのだと思った。こんなにも俺と向き合おうとしている二人に背中を向けようとしていたのかと思うと俺は、自分がとてつもなくバカだと思った。いたたまれない。自分を、自分の全てをさらけ出してもいいのか、それで篠塚達は何処かへ離れて行ってしまわないか少しの不安はある。だが、そんなのは話してみてからにしようと思えた。
「お前達を…信じてみてもいいか?」
眉間に皺を寄せて情けない顔をしているとは思うが、こんな時に無表情ではいられなかった。床を見て考えていたが顔を上げて二人を見据えて呟くように問う。
二人はキョトンと腑抜けた顔をして俺を見たあと、二人で顔を見合わせ吹き出して笑う。何が可笑しいのか俺には分からなかったが二人は笑いながら口を揃えて言った。
「「おう!あたりまえだろ!」」
俺はサングラスの様なメガネをかけているのに、松江と篠塚が太陽よりも眩しい存在に見えた。嬉しくて視界が揺れるのに涙が溜まっていたのが分かった。
メガネを外して頬を伝う涙を袖で拭うと二人は慌てていた。その様子になんだか泣き出した俺が思うのもなんだが可笑しくて泣きながら笑ってしまった。そうすれば二人は見合って同じように笑ってくれた。
暫くして落ち着くと俺は二人に過去の話など佐野に関すること全てを話した。