BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 友人と恋人の境界線 ( No.16 )
日時: 2019/03/22 07:36
名前: キジ (ID: WVWOtXoZ)

第6話「三人と一人の昼食」


早速、翌日の昼食時間になると佐野の腕を引き松江と篠塚が居るであろう屋上へと歩んだ。佐野は何が何だか分からず抵抗してきたが本気で俺の腕を振りほどこうとはしなかった。
屋上の扉を勢いよく開けると案の定、二人は巾着に包まれた弁当を中心に円を描くように囲み一人分のスペースを開けて座っていた。
松江と篠塚がこちらを見たので佐野の腕を引き前に突き出しながら笑顔で報告をした。

「松江、篠塚!佐野と仲直りしたんだ!ほら!」
「うおっ!はぁ!?」
「そうか、良かったんじゃないか?」
「おう!良かったな、八木!」
「ああ!」

困惑する佐野を放って篠塚は表情を緩め、松江はニカッと笑んだ。それに嬉しくて大きく頷いてみせると、目の前の佐野は頬を掻く。

「あのさ、盛り上がってるトコわりいんだけど、俺飯食いに行っから」
「そこでなんだが、佐野も俺達と食事を共にしないか?これから」
「はあ?これから?」
「ああ、そうだ。これから」

出入口に立つ俺の横を通ろうとする佐野の前に腕を出して引き止め、食事を一緒にしないか誘う。
意見の賛同を求めて松江と篠塚を見ると二人は頷いて微笑んでみせた。
その一連の流れを見た佐野は大きく溜め息を零し、松江と篠塚の方へ身体を向ける。

「仕方ねえなあ。でも俺はその辺で食うからな。八木ちゃんはアイツらと食え」
「え?だがそれでは一緒に食べる意味が・・・ハッ!」

佐野の自分はあくまで一人で食べると言う返答に、それでは一緒に食べる意味が無いじゃないかと言おうとして気付く。佐野はツンデレだったと、一人から急に三人増えての食事は中々会話に入り込むのも難しい。馴染めるまで様子を伺うという事だろう、もしくは大勢で食べる事に照れているのだと。
そうと分かれば佐野に皆まで言わせるわけにはいかない。相変わらず分かりにくいヤツだがそういう所が子供っぽくて、嫌いじゃない。クスッと笑うと佐野の肩をポンッと軽く叩いた。

「ああ、それで充分だ」

軽く微笑んで見せると、佐野は頬と耳を一気に赤くした。どうした熱があるのか!?と慌ててみせると顔を腕で隠して、二人の元へさっさと行け、と突き放された。
多少違和感はあったが、俺も腹が減っていた為、松江と篠塚の食事を待たせるわけにもいかない。渋々と言った形で了承して佐野から松江達の元へ歩んだ。