BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 友人と恋人の境界線 ( No.3 )
- 日時: 2019/02/07 16:01
- 名前: キジ (ID: H65tOJ4Z)
俺は驚いて咄嗟に佐野の両肩を押して突き飛ばした。思ったより強く突き飛ばしてしまったのか前の席が佐野と一緒に移動し教室の床に傷の入った音を鳴らす。
「…っ」
「ってぇ!なにすんだよ」
「それはこちらのセリフだ!どういうつもりだ貴様!」
机に背中をぶつけたのか擦りながら佐野は文句を言うが、文句を言いたいのはこちらの方で、席から立っていた俺は佐野に怒鳴りつけるように問いかける。
キョトンとした顔を一瞬見せた佐野は柔らかく笑みを浮かべては、さも当然のことのように述べる。
「オレら親友だろ?親友ならキスぐらいするだろ」
「…なに?」
「まさか八木ちゃん、まだ親友もいねえの?」
佐野は歩み寄ってくる。俺は床を見つめて暫し考える。
「いくら親友と言えど口にキスはしない」
「それは八木ちゃんに親友がいねえからだろ?」
「っ」
「親友って親しい友って書くだろ?親しかったらキスの一つや二つなんてことなくね?」
「……」
俺には友達というものがイマイチ分からない。友達は親友と違って、親友はキスも出来る間柄だと言われればそうなのかもしれないと思ってしまう。佐野は俺の肩に腕を回し呟く。
「オレは離れててもずっと八木ちゃんのこと親友だと思ってたぜ」
「…だが、お前は俺を友達だと思ったことは無いと言った」
「親友だと思ってたって言わなかったっけ?」
「…聞いてない」
俺は過去の事で何か勘違いしていたのかもしれないと思い始める。俯いたままの俺に佐野は優しく下記を述べて、確認するように問いかけてきた。
「まったく、八木ちゃんってば昔っから人の話全然気かねーもんな!ま、そんな所も顔も相変わらず可愛いけどな」
「……」
「さっき、オレとキスした時、気持ち悪かった?」
「…え。……いや、とくになにも」
「あっそ、ならいいじゃん。これからは親友として仲良くしよーぜ?八木ちゃん」
「……ああ」
佐野は俺の顎を上げて、もう一度触れるだけのキスをした。返事はしたが、俺はなんだか上手く乗せられたような、親友とは少し違うんじゃないかと思っていた。佐野はそんな俺を見てまた洗脳するように言うのだ。
「オレの親友は八木ちゃんだけ。だから八木ちゃんの親友もオレだけ、な?」
佐野は取ってしまった俺のメガネを俺に掛け直してくれた。
俺は佐野の言っている意味が理解出来ずに暫くは瞑想した。