BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 友人と恋人の境界線 ( No.6 )
- 日時: 2019/02/13 09:02
- 名前: キジ (ID: H65tOJ4Z)
「あれっ?八木!こんな遅くまで何してんだ?」
瞑想している最中、教室に響いた大きく陽気な声にハッと我に返る。声の主である松江を見ると隣に篠塚も居て、漸く部活のミーティングが終わったようで鞄を提げて帰る途中にある俺の教室を見た、といったところだと推測できた。
「あん?誰アンタら」
「八木の新しい友達か?よろしくな!」
佐野が松江に挑発的な口調で聞いている間に机に広がった教材やノート筆記用具を纏めて鞄に入れる。松江は邪気の無い顔で教室に入って来て佐野に握手を求めて右手を出した。松江のことだ、きっと自己紹介をする気なのだろうと思い、それは阻止しなければと思った。
何故かと聞かれれば分からない。なんとなくだが佐野と関わってほしくなかった。
「トモダチィ?ハッ!ンな弱い関係じゃねえよ」
松江は佐野の言葉に首を傾げる。佐野にそれ以上言ってほしくなかった。
「帰ろう、松江」
「え?あ、お前も」
「あんなヤツは放っておけ!」
「えっ!?…うーん」
松江が握手を求めて伸ばした右手を佐野が交わさないのを見て、佐野の横を通って松江の右腕を掴み教室から出ようと歩む。誰にでも優しい松江は佐野も一緒に帰ろうと誘おうとした、俺の怒り混じりの声が再び教室に響く。松江は俺の言葉に驚き、佐野の様子を振り返りながら見て曖昧な返事を漏らす。
一緒に帰るだなんて絶対にお断りだ、松江や篠塚にヤツとの過去がバレたらきっと俺達は一緒に居られなくなる。
俺は松江と篠塚とまだ一緒に居たい。
佐野は引き止めることなくただ黙って俺たちを見ていた。松江を引き連れ篠塚の所(廊下)まで来れば腕を解放する。篠塚は会話自体聞いてないと思うが俺の怒声は聞いていたのだろう、確認するように問いかけてきた。
「いいのか?」
「ああ」
俺が振り返ることなく進めば二人は顔を一度合わせたあと、俺のあとについてきてくれた。
校舎を出る下駄箱で黙っていられなくなったのか松江はいつも通り話を始めた。