BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: たとえ夢であっても ( No.9 )
日時: 2019/03/28 21:22
名前: 空巫女 (ID: jFu2moab)

<第6夢>

「シュナ、速く起きろー!」

そんな聞き覚えのある声が聞こえ、私は目を覚ます。
そこに居たのは、クルフォンだった。となると、ここは夢の中か。

「来るの遅いっ!」
「ちょ、痛い痛い!」
「ご、ごめんっ」

クルフォンは私が夢に来たと気づくと、問答無用で抱きついてくる。少し首が締め付けられたので、訴えるとクルフォンは直ぐ様離してくれた。

「別にいいわよ。悪気がないのは解るから。それより、今日は何するの?」

私は昨日来たばかりなので、いつも何しているか解らない為、クルフォンに問う。

「皆なら大広間で勉強してるぞ?」
「えっ...」

夢の中でも勉強してるの?
私は戸惑いを隠せないで居ると、クルフォンは私の腕を引っ張っぱり、走り始めた。

大広間に来ると、そこではウルカさんとクイルさんの年上組が机の上にノートやワークを広げて勉強をしていた。

「あれ?セイとシオリは?」
「多分こないかな。実を言うと、アタシ達全員が揃うのって結構稀なんだよ」

成る程。確かに夢を見ない日もあるからね。

「で、何で勉強してるの?」
「知らない。二人に聞いたら?」

知らないのか!?
仕方ない。頑張ってるとこを邪魔するのは申し訳ないが、私が聞こう。

「ウルカさん、クイルさん、こんばんは。何故夢の中でも勉強しているんですか?」
「シュナちゃんじゃない。こんばんは。それがね、6月の始めにある中間...」
「あ、それ以上言わなくていいです」

二人に近づいて問うと、ウルカさんからそんな返答が来た。私はこの言葉の続きを察し、その言葉を聞きたくないので止める。

「シュナちゃん助けてー」
「無茶いうな。シュナさんは高1だぞ?高3の問題が解るわけ...」

私に向けて手を伸ばすウルカさんを止めるクイルさん。その際、少しウルカさんが解いている問題が見えてしまう。

「数字...あ、そこはyを-3xに代入すれば...」

ふと、呟きながら計算してみると、意外にもすんなり解ってしまった。

「答えは15ですね」
「「えっ」」

二人はこちらを見て唖然と唖然としている。

「えっ、解けたの!?シュナすごい!」

こちらを見ていたクルフォンが、駆け寄ってくる。

「すごいね。答え見たら会ってる。ね、偏差値いくつ?」
「偏差値ですか...中3で冬にやった実テでは総合で52です」

うろ覚えだが、平均である50を越えてたのは確かだろう。

「嘘だろ?60くらいいってるんじゃないか?シュナさん頭よさそうだし」
「クイルさん、それは偏見です。まぁ数字ならそれくらいなんですけどね...あ、ウルカさんちょっとシャープペン借ります」

クイルさんの偏見を指摘しつつ、ウルカさんから借りたシャープペンで、うろ覚えであるものの、紙に自身の偏差値を書いていく。

「まぁ、こんな感じですね」
「「「文系が絶望的!!」」」

紙を見た3人は声を揃えてそう言った。
それもその筈。理科や数字は60前後だが、他は全て平均以下。
英語にいたっては40以下だ。

「えー。シュナちゃん文系美少女だと思ってたのに。まぁいいや。お姉さんが英語教えてあげようか?」
「偏見はやめてください。後、英語を教えてもらえるのは助かりますが、今は自身のテスト勉強を優先してください」

性同一性障害であるウルカさんがお姉さんなのか、お兄さんなのかはさておき、クイルさんと揃って偏見するのはやめていただきたい。

「あと、私の偏差値教えたので、皆さんの偏差値も伺っていいですか?」
「「「......」」」

3人揃って黙認しやがった。人のプライバシーは聞き出しておいて...

「あ、えっとね、アタシは43かな...?」

少しの沈黙の後、クルフォンは申告してくれた。43か。低いといえば低いけど、私の英語に比べたらマシね。

「さて、年下の私達が話したんですから、貴方達も教えてくれますよね?」

私は若干威圧しながら、けれど笑顔で二人に問う。
すると...

「ウルカさん逃げるぞ!」
「ok!」

二人は逃げていった。それも現実に。
現実に逃げるって、卑怯...