BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 小野寺と桐山 ( No.5 )
- 日時: 2019/09/04 11:58
- 名前: ナビ (ID: 0H2MybmK)
(なにもなかったって、なにが?)
聞いた言葉を復唱して疑問を消せず眉を寄せる。
(なにもなかった、はずがない。こんな状況で)
俺の考えを読み取るかのように彼は後頭部を掻いて唇を尖らせ、うーんと唸って何から話そうか考えてポツポツと話し始めた。
「混乱するだろうけど、その、変な事とかはなにもなかったから」
「えっ?」
「昨夜は皆と別れて家の方角が同じだった俺とお前で帰ることになって、フラフラのお前が途中で帰りたくないって道端に座りだして、タクシー呼んで乗せても住所忘れましたとか言い出すから・・・」
(うわー、何やってんだよ俺・・・酒に呑まれて駄々こねたのかよ、恥ずかしい)
話を聞いてて、恥ずかしさと呆れに頭を抱える。彼は話を続けた。
「近くのホテルまでおぶって部屋借りたんだけど部屋に着くなり、財布が無いって慌てて服を脱ぎ始めて」
(何で服を脱ぐんだよ・・・酔った俺って相当バカなの?)
「俺も疲れてたから寝ようとベッドにダイブしたら、下着姿のお前が自分の身に財布が無いからと思ったからか俺を疑いだして、殆ど無理やり服脱がされた・・・」
「ごめんなさい・・・(この人が警察に言ったら、オレ刑務所行き決定じゃん)」
落ち込んでる俺を慰めるように彼は言う。
「あ!でも、俺も下着姿になった時に財布持ってないって通じたから、安心して二人で寝たよ!」
(うわー、可愛い笑顔・・・可愛いってなんだよ!違うだろ!というか、安心して二人で寝るのもおかしいから!・・・酔ってたから疲れてたのか)
はあ、とため息をついて肩を落とす。自分の失態になんと詫びを入れたら良いか、発言を聞くだけでも話したことのない初対面のやつとホテルで寝れるこの人も相当変わり者だと思う。
今なんて、喉が渇いたからとサイドテーブルに置いた俺の飲みかけのペットボトルの水を取って、平気で飲むんだから。
(当たり前のことのような言動が当たり前じゃないことを知らないのか?本当にそれだけ?何も無かったのか?こんな綺麗な人と)