BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 小野寺と桐山 ( No.6 )
- 日時: 2019/09/04 12:45
- 名前: ナビ (ID: 0H2MybmK)
「それじゃあ、腰を痛めているのは・・・何故?」
「お前おぶってる時に痛めた・・・だってお前重いんだもん」
「すいません・・・(だもんとか言わないで!可愛いから)」
筋肉の無さに悔しそうに頬を膨らませた彼に愛くるしさを感じる。一つ一つの言動が幼くてまるで小動物を見ている気分だ。
だが、話を戻せば全て解決したように思う。俺は何かが引っかかる。これで解決したのにまだ何かあるんじゃないか、とか、あってほしいって思ってるのか。
ベッドから出て、服を着始める彼に少しでも繋がりが欲しかった。
「あの!俺、小野寺って言います!」
「うん、よろしく」
「・・・お名前伺ってもいいですか?」
「おれ?」
「はい(今、俺と貴方しかいませんよね)」
「きりやまって言います!」
一瞬考える素振りが見えたと思ったら、緊張して名前を報告しただけみたいになった俺の言動を彼は真似て見せた。俺をからかっているようだ。なんだかムッとして問い正す。
「なんですか、それ。俺の真似ですか?」
「ふふっ、うん」
「似てませんね・・・桐山さん、よろしくお願いします」
「そんな硬くなんなくていいよ、よろしく、小田切」
「小野寺です」
「ふふっ」
優しく微笑む笑顔に、大学で見た楽しそうに笑む彼が重なる。わざと名前を間違えて、俺が訂正すればまた嬉しそうに笑ってくれる。人見知りの俺とは違って人懐っこいんだなと思った。
自分が着替え終わっても俺が着替え終わるまで待っててくれているように、話をしてくれる。
「この間、できたケーキ屋のイチゴタルト美味しかったよ!」
「へえー、一人で行ったんですか?」
「ううん、ニッタさんとミナミと三人で!ああ、美味しかったなあ、また行きたい!」
「・・・(誰だよ、ニッタとミナミって!)」
「あの付近にはチェーン店が少なくて、確か二軒先のラーメン屋も美味しいってニッタさん言ってたな」
「(ニッタさんって人とよく一緒にいるのかな?)」
「ラーメン好き?」
「え?ああ、はい。食べますよ」
「じゃあ、今度行こ!」
「え、いいんですか?」
「イヤ?」
「いえ、行きたいです!」
「じゃ、決まり!来週の土曜日お昼って空いてる?」
「はい!」
「よし!じゃあその日で」
その日にアドレス交換もしてくれた。とても社交性のある人で話題もコロコロと出てくる。会って数分の人と次会う約束までしてくれるなんて、少し危険ではありつつも桐山さんとの繋がりを感じられたようで嬉しくて誘いを断る無粋なことはしなかった。
その後は、チェックアウトを済ませて、用事があった桐山さんとは別れてタクシーで帰った。