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BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 小野寺と桐山 ( No.7 )
- 日時: 2019/09/05 03:17
- 名前: ナビ (ID: tDifp7KY)
翌日、大学では何も騒がれることは無かった。
どうやら、俺と桐山さんがホテルに入る所は誰にも見られなかったらしい。桐山さんなんて、今や校内中、見知らぬ者は居ないぐらいアイドル的存在なのだから、そんな人と二人でホテルに一泊したなんていいネタに使われるだけだ。
あれからしばらくは、桐山さんを見かけることは無かった。
なんとなく、同じ学年でないことは分かった。
俺は彼女とあんまり上手くいかずにすぐに別れてしまった。それでも何故か悲しくなかった。
桐山さんから貰ったアドレスにショートメッセージを送ってみた。
《今日、来ますか?》
既読と着くまで見ていられず画面を下にして講義を聞いていると返信は案外早く来た。
《お前ん家知らない》
「は?」
一瞬、思考が停止する。自分が送ったメッセージを読み返して一気に顔に熱が集まった気がして、それと同時にどうしてそんな思考になるのかとやるせない気持ちになる。
慌てて、訂正文を送る。
《そういう意味じゃないですよ!》
《うん、知ってる》
《大学に来るかどうかって意味です》
《うん》
俺が打ってる最中に、返信が返ってくる。打つのが早いなと感じながら、次のメッセージが来るか待っていると
《もうすぐ着くとこ》
と返ってきた。淡々としたメッセージのやり取りだったにも関わらず、憧れのあの人としてるんだと思うと優越感を憶えた。どんな表情で、どんな気持ちで送ってくれたのか分からないけど、すぐに返信が来るだけでも俺とやり取りしてる時だけは俺との時間を過ごしてくれてるみたいで俺は嬉しくて思わず顔が綻んだ。
(ああ・・・早く会いたいなあ・・・)
スマホを胸に抱きしめて、意味もなく天井を見上げた。
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