BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 小野寺と桐山 ( No.9 )
日時: 2019/09/06 21:25
名前: ナビ (ID: uqFYpi30)


「何度も呼んだんだぞー?振り向きもしないから名前間違えてんのか不安になった」
「・・・」
「?小野寺?」

人は本当に美しいものを見た時に動けなくなることを知る。
世界一と言ってもいい美貌の持ち主が目の前で喋って頬を膨らませたと思ったら俺を見て目を丸くしながら首を傾げるんだぞ。
(俺今どんな顔してるのかな・・・?)

「どうしたー?おーい、聞こえてるー?」
「・・・(眉間に皺作ってもイケメンなんだなこの人)」
「俺の顔になにかついてんの?」
「あっ、いえ」
「あ、戻った。大丈夫か?熱中症、なっちゃった?」
「・・・いいえ、大丈夫です。」

俺の反応がないことに不安になって眉に皺を寄せ、桐山さんが俺の首に回してた腕を解いて自分の顔を両手でペタペタ触って確認し出してから、我に戻る。
俺が返事をしたことにホッとため息混じりに微笑む顔も美しいけれど、熱中症という言葉が一瞬「ねっ、ちゅうしよ」に聞こえてその後の言葉に「熱中症」だと頭で変換されて、本当に体調が悪いのかもしれないと思えてくる。

でも、桐山さんと居られる貴重な時間を体調不良なんかで無駄にはしたくないから、平気だと言う。

桐山さんは「そう?」なんて聞き返すけど大して興味はなさそうだった。

おんぶをし直す為に、桐山さんの両膝を抱えて軽くジャンプすれば、桐山さんは思い出したように慌てて言う。

「あ!もういいよ、おろして。オレ、重いでしょ?」
「えっ?いや、俺は鍛えてるんでそんなに重く感じないですけど」
「うっ、いいよ、おろして?」

自分から飛び乗ってきたのに変なところを気にするんだなと思いながら、離れる名残惜しさがあるも「降ろして」と言われたので渋々「わかりました」と言って軽く屈んで脚を離す。

隣に並んで立って両手を上げて伸びをしている桐山さんを見て、自分より少し身長が低いことと本当にモデル並みに顔が小さいことを知る。体型は男性の平均って言った方がいいかな。

いつの間にか周りに付きまとっていた女の子たちは少し離れた所から俺たちを見てヒソヒソと話していたりスマホのレンズを俺たちに向けたりしていた。

なんだか気に食わなくて、桐山さんの二の腕を軽く掴んで引きながら会話を始めた。

「もう昼ですね、陽射しが強いので影に行きましょ」
「ん?おお・・・もう昼かあ。オレね、10時に起きたんだ」
「ああ・・・だからさっき『おはよう』って挨拶してきたんですね」
「えっへへ」

胸が急にグッと苦しくなった。ウッと息が詰まる。顔に熱が集まったようで目をつぶって桐山さんから顔を逸らして、桐山さんの二の腕を掴んでいない方の手で胸の服を掴む。前にもやったようなデジャヴを感じる。