BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 不器用なボクら 【創作BL】 ( No.1 )
日時: 2022/01/21 01:13
名前: みっつまめ (ID: Btri0/Fl)

相馬慧斗そうまけいとside

 親の離婚を機に父親に引き取られた俺は早々に全寮制の私立の高校へ入学するよう言われた。新しい彼女が出来たと爛々と話していた父親は俺が合格届を渡したときに目も合わせず「何かあれば連絡しなさい」とだけ言った。
 その言葉は裏を返せば「何も無ければ連絡するな」ということで、目も合わせなかった父親の最後の顔は複雑そうな表情をしていて「ああ、新しい奥さんは俺が邪魔なんだな」と思うと同時に息子の俺より新しい奥さんとの人生を取った父親にも失望した。

 父親とは話がたまに噛み合わなかったとしても上手く仲の良い父子関係を築いていたはずだ。だが、要因の一つとしてあるのはわかっている。なぜなら父親にはアレがみえていないから―――…

 そんなどうでもいいことは切り替えて、これから初めての寮生活だ。両親の仕事の都合上転校することが多かった俺は友達が出来た途端に引っ越しを繰り返し親友も青春を過ごす恋人も出来たことが無かった。青春を謳歌できると考えれば楽しみで仕方なかった。

 寮長の来間くるま 昭彦あきひこさんに寮の自室へ案内してもらうついでに、共同の洗濯場や食堂、休憩スペースまであってたまにすれ違う私服の男子生徒たちに物珍しい目で見られた。

「で、ここが相馬そうまの部屋ね、上の階使って」

 ひと部屋に六畳の一階、奥にはシャワールームとトイレが別でついており、階段を上がったロフトが六畳と広々あり、小さな小窓から外の光が射し込んでいた。

「とりあえず案内はこんなもんだけど、わかんないとこある?」
「いえ、大丈夫です」
「うん、それなら学校は明日からだし、今日は自由に羽伸ばしておきなよ、俺はまだやることあるから、これで」
「ありがとうございます」
「はーい、また困ったら声かけて、大体寮内にいるから」

 頭を下げてお礼を言えば片手を振って寮長の来間さんは去って行った。気さくな人だな、めちゃめちゃ女のヒトがくっついてたけど。と思いながら自分の荷物を上の階へ運び始めた。