BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 不器用なボクら 【創作BL】 ( No.18 )
日時: 2022/04/09 01:13
名前: みっつまめ (ID: 8pAHbekK)

クレープを食べ終わって店に戻ると、丁度慧斗も店から出てきた所だった。小さなお店の名前が載った袋を手ににこやかに微笑むイケメンに周りの女性客だけでなく、男性客までもが釘付けになって頬を赤らめながらヒソヒソ会話してる。

「慧斗!」

そんな中、入りづらいが片手を上げて少し離れた所から声をかければ、顔を上げた慧斗がキョロキョロ辺りを見渡して俺を見つければ駆け寄ってくる。小動物に似た何かを感じて、慧斗の可愛さに胸が苦しくなる。胸元のシャツを握って前屈みに「くっ」と苦しさを表現すれば「俊介?どうしたの、気分悪い?」と慧斗は本気で心配してくる。

「いや、平気平気」
「ホントに?」
「ホントだって」
「…そう、何かあったらすぐ教えてね」
「?うん」

慧斗の真剣な顔に「そんなに心配することか?」と思いつつも返事をした。

その後、慧斗がプライベートで着る服を一緒に選んだり見たりして、俺の見たいと言ったスポーツ用品店にも寄って、色々見てまわり、昼少し過ぎた頃に近くのファミレスで昼食を摂る。

「慧斗パスタだけ!?しっかり食えよ、ここは俺が奢るし!」
「いやいや、奢らなくていいから…お金に困ってるとかじゃなくて…今日はそんなに、お腹空いてないっていうか…」
「…慧斗こそ、体調大丈夫かよ?」
「ふふっ、心配ありがとう…人混みが苦手なだけだから」
「…そっか。あ、ファミレスじゃなくてカフェとかが良かった?悪い、おれ全然気づかなく」
「いやいや、もう注文もしてるし、カフェもこの時間は混んでるから気にしなくていいよ」

なんだか、大人な対応の慧斗に、俺は気を遣わせてばかりだと落ち込む。
注文した品が運ばれてくるまでに、慧斗がドリンクバー所からセルフサービスとなっている水をコップに入れて運んでくる。

そういえば、ファミレスの向かい側はカフェだったな、と思い返し、窓ガラス越しにカフェの方を見れば、カフェに入ろうと並ぶ人で行列が出来ていてギョッとする。
慧斗は、あれを見て発言していたのかと納得する。テーブルにコップを置いた慧斗に、水を持ってきてくれた礼を言う。慧斗は気にする素振りを見せず、席に座るとスマホを弄り始めた。
それに、面白くないと思った俺は問いかける。

「…何してるの?」
「ん、ゲーム」

俺の問いかけに即答した慧斗は、スマホ画面を俺にも見えるようにテーブルに置く。
慧斗の言った通り、スマホ画面にはパズルゲームが表示されていた。画面左上に表示されたレベルは25。5色程ある色の中から並んだ同色のものを4つ以上なぞって消すゲームらしいが、慧斗の指の動きからも不慣れ感が出ている。

「最近始めたのか?レベル25って」
「うん、一昨日」
「そういうゲームよくやるのか?」
「いーや?気晴らしに出来るゲームないか探してたらあおいが勧めてくれて」
「ん?葵って誰だ?」
「ほら、1年の元気な子、赤髪で〜」
「慧斗もう1年の顔と名前覚えたの!?すげぇな!」
「いや、その子としか仲良くないし、皆は覚えてないよ」

ん?ちょっと待てよ、葵って女子?

ふと考えるために窓ガラスの方へ視線を向ける。カフェの行列は新しい客に変わっていて、その中に混じる、見知った顔に目が止まった。