BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 不器用なボクら 【創作BL】 ( No.20 )
日時: 2022/04/22 14:28
名前: みっつまめ (ID: 8pAHbekK)

相馬慧斗side

俊介とファミレスを出て、俊介と少女が出会った場所へ向かう。5mほど前を軽い足取りで歩く少女の後を歩きながら追いつつ、先程の清水先輩のことが脳裏に過ぎる。

メイクをして大人っぽく装っているが隣の女性の背後には心配そうに彼女を見つめる年配のお爺さんが居た。恐らく守護霊。清水先輩の隣にいた女性は、多分だけど未成年。守護霊とは別に制服を着た女子生徒が彼女の後ろに立って彼女の肩に両手を乗せて居るのが透けて見えたから。女子生徒は生きてる人、彼女を恨んでるわけでも妬んでるわけでもないけど、生霊いきりょうを彼女に飛ばしてるってことは、何か大事な願いを彼女にしているのかもしれない。

というか、それはどうでもいいとして!
問題は清水先輩と彼女…いや、女性…の関係性だ。清水先輩はオーラが強過ぎて守護霊が見えないし、何考えてるかも分からない…けど、隣に居たあの女性が清水先輩の腕にくっ付いても先輩は腕を振り払おうとはしなかった。

それって、先輩がスキンシップ多めでも気にしない人だから?それとも相手が女性だから?それとも彼女からされてるから?俺からスキンシップしても先輩は嫌がらない?

そもそも、先輩に彼女って居たの?俺と居る時ほとんど本読んでた先輩に彼女?俺に秘密で連絡取り合ってたとか?それなら何で俺に話してくれないの?

…俺が先輩のこと、サトシ兄ちゃんだと思ってること、気づいてるから…?
いやいや、そんな風には見えなかった、なら…話す必要が無いほど、俺とは近しい関係ではないから?
…もしかして、このショッピングモールに来たのも俺に見せるため?先輩は本当のところ、俺の事、嫌い…だったりして…?

「慧斗はさ、清水先輩と…」
「…えっ?な、なに?」

隣を歩いていた俊介の口から“清水先輩”と聞こえて我に返り、問い返す。俺を心配するような表情で俊介は改まって口を開く。

「慧斗はさ、清水先輩とサトシ兄ちゃんって人…同一人物だと思ってる?」
「えっ…ど、う、して?」

思わぬ俊介からの質問に緊張が走る。心を読まれたのかと冷や汗が背中を伝う。それに反して俊介は「あー…」と視線を逸らして考えながら話してくれた。

「ほら、慧斗がウチに入ってきた時、清水先輩を見間違えたって言っただろ?」
「…うん」
「そのサトシ兄ちゃんって人が清水先輩なんじゃないかって思うところがあるから、一緒に居るのかなー?とか思って」

俊介は頭はそれほど良くないけど、凄く勘の鋭い人だったようだ。俺の心をあっさり見抜いた。そんなに俺の行動は分かりやすかっただろうか、清水先輩にもそれが分かって、先輩は俺の事ハッキリ嫌いだとか言わないタイプだから、回りくどく俺に彼女といる所を見せたんだろうか。一度悩み始めたら深いところまで落ちていって、俊介は苦笑いしながら続ける。

「あくまでも勘だしさ、違うなら違うでいいし、清水先輩って、俺はちょっと苦手だけど、慧斗はどうやって親しくなったのかな〜とか色々気になって」
「…違わないよ」
「え?」
「…俺にもまだ分からないけど、サトシ兄ちゃんと清水先輩は、なんていうか…凄く似てて」
「慧斗…あ、あのさ、慧斗が良かったらなんだけど、そのサトシ兄ちゃんって人の話、聞かせてほしい」

そう言って俊介は足を止め、俺の様子を伺ってくる。俊介にサトシ兄ちゃんのことを話したくない訳じゃない。俺が視えるということを知っても、俺と友人で居てくれるか不安なだけ。

「うん、いいけど…二つだけ、約束してほしい」
「おう、なんでもいいぜ!一つ目は?」
「…サトシ兄ちゃんの話は、他言たごんしないでほしい」
「タゴンって?」
「他の人に話さないでほしいってこと」
「ああ、なるほど!わかった、任せろ!んで、二つ目は?」
「…俺が変わり者って知っても…俊介はこれまで通りに接してくれるって約束してほしい」
「?…何言ってんだ、当たり前だろ?」
「…どうしても普段通りに出来なかったら、教えてほしい…配慮するから」
「んな気遣うなって、慧斗はありのままで居てくれよ!」

俺の肩に腕を回して慰めの言葉を紡ぐ俊介だけど、俺がありのままで居ると、きっと俊介は困るだろうし疲れるだろうから苦笑いして誤魔化す。

そして、約束を交わした為、歩道で立ち話にはなってしまうが、俊介にも分かりやすいよう短めに話すことにした。