BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

虚空教は幸せへの誘い ( No.43 )
日時: 2023/09/30 12:36
名前: 天狐。 ◆9ICskfK2Ms (ID: B6dMFtMS)

〜登場人物、設定〜
tgbt(ほんっっっとに少し、gktuの匂わせ的な……cpがあると思われます)
貴方様自身が主人公的立場になっているような描写になっています。
(あとからまた違ってきているような気もしますが。)
・一人称は独り言や、心の中では「俺」ですが、knmc相手と話す場合は「わたくし」になっています。
・虚空教、クラブ=マジェスティの表現、?が入っております。

〜その他〜
・今回もローマ字伏せ字、「」での会話。
・伏字については抜けているところもあると思われます。主自身が気づくまでは待っていてください。なるべく早く気づけるように善処します。
・今回そこまでcp要素ないです。
・虚空教。虚空に帰るという意味だと思ってますが、意味合いが少し違うように私が捉えてしまっているかもです。
申し訳ございません。

それらがいい、という方だけご覧になられてください。



かの有名な「knmc tuy」という人物をご存知だろうか。

どうやらアイツは高校生であり、未成年である。だが、夜のクラブ=マジェスティという場所で働いている。

そこでは客と “ 金の賭けゲーム ” をしているらしい。

例えば、knmc tuyを指名したとする。

勝ったらknmcが賭けた金の分を手に入れることができ、1つ言うことを聞いてもらえる。

どんなことでも。何をお願いしてもやるらしい。

本人はこう言っている。

「このクラブ内では【絶対公平取引】というものを最初に約束いたします。」
「約束を破った場合は何か僕自身に罰を与えても大丈夫です。そのくらい、ルールを守ります。」

そして負けた場合だ。

負けたら賭けた金の分がknmcの手元へ行き、その場をその日は追い出される。

だが追い出される前に、何かに誘われるらしい。それは行ってみないとわからないのだが。

そんなルールを知り、様々な人がknmc tuyに挑む。だが10人が挑んだとしても、10人全て追い出されているような状態。

つまり何十回もknmc tuyは連勝しているのだった。



そんな噂を俺が知ったのは俺の母と父が死んだ時だった。事故死だったらしい。途方に暮れ、人生がどうでもよくなった。

だからいっそのこと全財産アイツに賭けてしまおう。そう思い、挑んだ。

が、それはもちろん呆気なく敗北した。

その時にアイツはこう言った。あのいざない、だ。



「………っふふ、負けて悔しいですか?」

『……………』

「返事もくれないですか、……貴方、最近親が両方とも亡くなったでしょう?」

『っな、なんで、それをッ、……!!』

「途方に暮れて、僕に全財産を捧げたのでしょう。」
「大体そんな方が大勢僕に挑むのでわかります、勘で。」
「そんな貴方には、ココがお似合いですよ?ニコ」

『………ココ、とは………、?』

・ ・ ・

「 “ 虚空教 ” 、というものです。」

『……こ、くうきょう……。』

「実は僕、この仕事とは別にここの教祖をしていましてですね。」
「僕との対決で負けた人にだけ、この宗教を教えています。」
「と言っても、勝ったやつなんていないんで全員にお教えしてるんですけど。」
「……特別、ですよ?まぁ、自力でこの宗教を見つけて入った、という人もいなくはないですが。」

『………………』

「人間誰しも最初は「0」の状態で生まれてきています。それにどんどん幸せが重なることによって「プラス」へ変化していく。」
「ですが、人生には不幸も付き物です。貴方みたいに親が亡くなる、他にもペットが亡くなった、親友から嫌われた、とかいろいろありますよね?」
「ただ、それは生まれてきた頃に近づいているだけ。」
「つまり0に近づいていっているだけであって、決して「マイナス」になるわけではありません。」

『そう、なのです、ね…………』

「はい、実際そうなので。教徒の皆さんもそう仰っていますよ、ニコッ」
「【我々は皆、そこから来た。】」
「そこ、というのは虚空。つまり何もないところから始まったということです。どうですか?」
「虚空教は今の貴方の助けになると思いますよ。僕は。」



あの方のグルグルとした目。あれに取り憑かれたかのように話を聞いた。

そこで俺は興味を持ち、虚空教の教徒となった。助けられた。

虚空教のみんなは優しくて、教祖様も優しかった。暖かった。

俺はココが今でも大好きだ。

………え?可笑しい?俺が?

いやいや、そんなことないですよ。

「———さん。教祖様がお呼ばれっスよ。」
「毎回言ってるんスけど……くれぐれも、tyさんには触れないでくださいっス。触れたら……そのくらいの罰を与えるっスから。」

『はい、わかってますよ。承知してます。』

じゃあちょうど他の教徒さん……まぁ名前はfsm gkっていう人。この人は教祖様の、knmc tuy様の恋仲であるという噂が立っているんです。あまりこのことには触れないようにとお2人から言われているのであまり話さないでおきますが。
では呼ばれたので、教祖様直々に聞いてみますよ。着いてきてください。



『失礼致します。教祖様。』

「……ようこそ、来てくださりました。」
「……おや?そこにいるのは誰ですか?」

『……………実はわたくしが虚空教に入っているのが可笑しいと、仰っていて、……』
『可笑しく、ないですよね……?』

「最初は皆さんそう思いますよ。その人の考えは合っています。」
「ですが、あなたも可笑しくありません。安心してください、ニコ」

やっぱり、教祖様の言葉は落ち着くし、信用できる。

笑顔も素敵だ。

『ありがとうございます。これからも精進して参ります。』

「えぇ、そうしてください。」
「…………実は僕も新しく教徒が欲しかったんです。なので貴方に新しい人を誘ってもらおうと思って呼ばせてもらいました。ちょうどいいので……その人、誘いましょう。」

『!?』

「その人は……会社でパワハラを受けているはずです。」
「以前もクラブ=マジェスティにいらして、そんなことを言い残して出て行きました。」

『ほ、ほう……』

「その時、全財産を僕に賭けました。そして負けた。虚空教に誘いましたが、入りたくないと仰っていたので、無理矢理には入会させませんでした。」
「ですが今現在は死にたい、早くこんな人生終わらせたい。そう思っているでしょう。」
「誘って、あの人も虚空教に入会させましょう。あの人には虚空教が必要です。」

『……わかりました。』

と、いうことなので貴方も虚空教に入りませんか?

ここでは幸せに暮らせます。どうですか?今の貴方にぴったりですよ。

なぜなら———

『【我々は皆、そこから来た。】』

からです。何かを失ったとしても「0」に近づいただけ。「マイナス」には絶対に行きません。生まれてきたところに戻るだけですから。

どうですか———?

〜end〜