BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
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- ただ、君が青かったから。【オリジナルBL】
- 日時: 2014/12/30 23:44
- 名前: らいの ◆FPg8zO6zVg (ID: FSHRfx37)
初めまして、らいのと申します。
宝石を食べる男の子を拾うお話。
らいのは忙しい為更新が不定期ですが、ご了承下さい。
ゆったーりまったーり行き当たりばったりで書いていこうと思います。
そんな感じで良ければお付き合い下さいませ。
- Re: ただ、青かったから。【オリジナルBL】 ( No.1 )
- 日時: 2014/12/30 22:56
- 名前: らいの ◆FPg8zO6zVg (ID: FSHRfx37)
8月中旬、夏休みも終わりに近付いた頃。
秋原陽里(あきはら ようり)は不思議なものを拾った。
それはある暑い夏の日のことだ。
高二にして一人暮らしをしている陽里は、普段全く自炊をしない。その為いつもインスタントのラーメンやらスーパーのお惣菜やらを買い込んで消費していた。大体いつも食材が切れる前に買い物に行くのだが、ついこの間風邪を引いてしまい、冷蔵庫の中身はすっからかん、真夏の日照りの中外出する破目になってしまった。
肌を焼こうとする日照りの中を、思いっきり顔をしかめて歩いていた、そんな時のこと。
……きぃ、……きぃ
ブランコの鎖の軋む音が、ふと耳につく。
何気なく音のした方に目を向けると、自分よりも少し幼い中学生くらいの少年が、俯きながらブランコを漕いでいた。
こんな昼間に何やってんだろう、と思ったが無視。今は名も知らぬ他人より自分の飯の確保が優先である。
陽里は視線を元に戻し、スーパーへの道のりをのろのろと辿った。
「……で、まだいたし」
スーパーでがっつり買い物をした帰り道。先程の公園を興味本位で覗いてみると、未だにあの少年はブランコに乗ったままだった。既に最初見かけたときから二時間は経っているはずである。
もう暗くなってきたし。ちょっと様子を見るだけ。
言い訳のようにそんなことを考えながら、陽里はブランコの少年へと近寄っていった。
「……なぁ」
声をかける。反応が無い。
「なぁって、そこのブランコに乗ってる子」
そこでようやく自分のことと認識したようで、少年がゆるりと顔を上げ——
とても綺麗で透き通るような、ベビーブルーの瞳と目が合った。
- Re: ただ、君が青かったから。【オリジナルBL】 ( No.2 )
- 日時: 2015/01/11 18:25
- 名前: らいの ◆FPg8zO6zVg (ID: FSHRfx37)
「……あー?」
少年が自分を指差して首を傾げるまで、陽里は動けなかった。
見たことも無いような、美しい色に何も考えられなくて。
「……そ、そう、お前!お前に話しかけてんの!」
我に返り慌てて頷くと、少年がじっとこちらを見つめたまま首を振る。
「もう暗いし、家に帰ったほうがいいんじゃねぇの?……いや、通りすがりの俺に言われても嫌だろうけど、ちょっと気になって……」
「うー」
「え?」
「あう」
どもりながらそう言うと、何故か少年は嬉しそうに笑いながら、足をぱたぱたと動かした。思わず首を捻る。まさか言葉が通じていないのか?喋れないようだし、何か障害でもあるのだろうか。
ふと少年が笑うのを止めたかと思うと、陽里の鞄を指差した。
「あ、あ」
「え……あ、これか?」
不思議に思ってそちらに目をやると、昨年旅行で手に入れたルビーのキーホルダーがぶら下がっている。持ち上げて少年に確認すると、嬉しそうに頷かれた。
キーホルダーを外して少年に渡してみる。
「これは石のキーホルダーだよ」
「うー……いし!」
「そう、石……ってお前喋れ……!」
思わず目を見開いたのと同時に、少年がルビーを外して口に放り込んだ。
「あぁ!?」
ぱきん、ぱりん。
音を立てて噛み砕き、
そのままこくりと飲み込んで。
彼の瞳が真っ赤なルビーの色に染まり、キラキラと輝いた。
「おま……え、え……?」
「うー」
ぺっしなさい、ぺっ!と言いたかったのだが、それよりも衝撃の方が大きすぎた。言葉が出ない。
目を開いて少年を凝視していると、彼は嬉しそうにまた笑い、突然陽里に抱きついてきた。しゃがんでいた陽里は急な重みに耐え切れず、尻餅をつく。すりすりと頬擦りをしてきた少年に困惑しながら、ぽつりと呟いた。
「これどうしよう」
- Re: ただ、君が青かったから。【オリジナルBL】 ( No.3 )
- 日時: 2015/01/11 18:24
- 名前: らいの ◆FPg8zO6zVg (ID: FSHRfx37)
保護者、とか。
それらしき人物を探して辺りを見回したけれど、俺たちの居る公園には人っ子一人いなかった。
既に辺りは闇に包まれていて、このままこの謎の少年を置いて一人帰る訳にもいかずに話しかける。
「なぁ、お前、家はどこだよ」
「うー……おうちー?」
「そ、そう!お家!どこだ?」
何とか言葉が伝わったようで、思わず声を大きくして問う。
「おうちー、うー、いし!」
「……ん?」
今、とてもありえない言葉が聞こえたような気がするのだが。
「いし!いし、おうちー!」
「石が……お家?」
「ん!」
恐る恐る問い返すと、満足げに頷かれてしまった。いやいやいや、石が家とかどんなホームレスだよ。こいつ本気で言っているのだろうか。
でも、先程の光景を見ると100%嘘とは思えない。もしかしたら……もしかすると、この少年は本当に、石に住んでいる謎の生命体なのではないか、なんて考えてしまった。
「……あれ、おい、どこに行く?」
考えに耽っていると、先程まで頬擦りしてきていた少年がおもむろに立ち上がった。そのままブランコの裏側にある垣根まで移動し、何かを探すようにガサガサと音を立てて頭を突っ込んでいる。
怪我などしないか心配で近寄ると、いきなり少年がこちらを振り向いた。
「!?」
「これ、おうちー!」
にぱっと笑って差し出されたのは、不思議な色味の丸い石。少年の両手の平に収まるか収まらないかくらいの大きなものだった。
「……これが、お家?」
「ん!」
「どうやって入るんだ?」
そう問うと、よく分からないのかにっこり笑いながら首を傾げる。
それでも何とか説明しようとしているのか、少年が必死に言葉を紡いだ。
「おうち、これないと、うごけないの」
「動けない?」
「ん、いしないと、ばたーんてなるの」
つまり、石と離れ離れになると死ぬ?みたいな感じか。お家よりも重いぞ……。
「おうちといっしょ、ついてくー!!」
「……は?」
少年が「おうち」を掲げて、こちらを見つめてきた。引っ切り無しに"いっしょ、いっしょ"と楽しそうに言っては擦り寄ってくる。
どうやら、この奇妙な少年に懐かれてしまったようだ。
様子を見るに、親なんかは居るような雰囲気じゃない。それでも置いていく、という選択肢もあるのだけれど、こんな夜に可愛い美少年が一人とか危ないことになる予感しかしないし。
懐かれたんだから、仕方ない。
そう自分に言い聞かせて、少年に手を差し伸べた。
とりあえず、寒いし連れて帰ろう。
「ほら来い、俺の家はあっち」
「うー!!」
願わくば、この子が普通の子で俺が誘拐したみたいな事になりませんように。
- Re: ただ、君が青かったから。【オリジナルBL】 ( No.4 )
- 日時: 2015/01/11 18:27
- 名前: らいの ◆FPg8zO6zVg (ID: FSHRfx37)
読み返してて気付いたんですが、アクアマリンって少年の元々の瞳の色とあまり違いがないんですよね!同じブルーで!!
ということで、石をルビーに修正しておきました。
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