BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
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- 天才心理カウンセラーと潔癖性の僕
- 日時: 2015/07/05 20:07
- 名前: 綴 (ID: 4jvpIusd)
昔から、僕は僕が大嫌いだった。
『うぇっ、来たぞー!』
『やーい!潔癖星人ーっ!』
そう、いつも言われていた。
小学校、中学校…どこにもいい思い出がない。
教室にいればいつも、僕を嘲り笑う声が聞こえた。
『うわ…アイツだよ、アイツ』
『ちっさい事とか変に気にして気持ちわりー』
いつも、僕は一人だった。
家族にも蔑ろにされ、誰とも話さなかった。
だからか、今の僕はうまく笑うことが出来ない。
いや、元からそうだった。
ただ普通に笑っただけなのに
『表情固すぎ、何?クールキャラ?きっしょ』
と言われ、意味のないいじめを受けた。
だから、高校、大学はあまり人と接していない。
今は、社会人となって普通の会社に就職した。
僕が潔癖性とバレないように、色々努力した。
だけど手に手袋をはめていたり、常にマスクをしていると社内で噂が囁かれた。
『アイツは何かオカシイ』と。
それでも一生懸命、仕事を頑張っている。
しかし、そんな努力を笑うように不幸なことが起こった。
だが、それが僕を変えるきっかけともなったのだった。
- Re: 天才心理カウンセラーと潔癖性の僕 ( No.1 )
- 日時: 2015/07/05 20:56
- 名前: 綴 (ID: 4jvpIusd)
太田逡<オオタシュン>はいつも通り電車で帰宅していた。
今日はいつもより、人が多く逡がギリギリ吊革に掴まれるくらいの満員だった。
逡の周りには、座って寝ている高校生やスマートフォンをいじっているサラリーマン等が居た。
そして目の前には、黒髪で顔が整っている男性がいた。
何故かこちらをじっと見てきているような気がして逡はうつむく。
逡は手袋をした手で吊革を少し強く掴むと小さなため息をつく。
ただでさえ人混みは大の苦手な逡のだが、目を瞑り耐える。
逡が住んでいる区はそれほど遠くなく、駅で言えばほんの数駅で着く。
逡はそう思い、少し手を緩める。
すると不意に、足に違和感を覚える。
何だ…?この感覚…。
そう思うもあまり気にせずに放っておくと、先程までは太ももに感じていた違和感が上へと上がってくる。
そこで初めて、痴漢と気づいた。
その瞬間凄まじい嫌悪感と吐き気と、言い様のない気持ち悪さが込み上げてくる。
逃げたくても逃げれないこの状況を、逡は絶望した。
後ろにいるであろう痴漢は、荒い息を逡の耳にかけてくる。
背筋が凍り、何も出来ない逡は鞄を持っている左手を強く握りしめた。
心の中は色々な感情がうごめいているにも関わらず、頭はとても冷静だった。
大丈夫…、もう少しで降りる駅だ。
少し我慢すればすぐ着く。
家に帰ったらすぐに服捨てなきゃな…。
色々と考えていたらふと、違和感が消えた。
止めてくれたのか?
逡がそう思ったと同時に後ろから手が出てきて、逡のズボンのベルトを外した。
そして、パンツの中へと手を伸ばしてきた。
逡が顔を赤くし小さくヒッ、と声をあげると目の前の男がスマホの画面を見せてくる。
涙目になりながらその画面に表示されている字を読む。
[痴漢ですか? そうなら頷いて下さい。]
- Re: 天才心理カウンセラーと潔癖性の僕 ( No.2 )
- 日時: 2015/07/05 21:32
- 名前: 綴 (ID: 4jvpIusd)
逡は小さく、だけど必死に頷く。
すると目の前の男はまた何かを打ち込む。
その間に痴漢の手は逡の尻を撫でまわす。
男はまたスマホを見せてくる。
[もう少しだけ、頑張って下さい。]
逡は小さく頷き、体に力をいれて耐える。
痴漢の手が逡の前方へと動いていく。
逡は身震いし、鳥肌がたつ。
すると2回、カシャと音が鳴ったあと目の前の男が立ち上がり痴漢の腕を掴み
「貴方、何しているんですか?」
と冷たい声で言う。
その瞬間電車が駅に着き、扉が開く。
男の人は痴漢の腕をしっかり握りながら逡に向かって
「ついて来て下さい。」
と言った。
僕は頷くと黙って男の人と痴漢の後ろについていった。
その後、駅長室へ行き痴漢が何か物凄く反論や言い訳をしたが男の人が撮った写真が
決定的証拠となり痴漢は警察へと引き渡された。
その間僕は何も出来ずに、ただずっと座っていた。
正直、思い返すだけで気持ちが悪い。
うつ向いて涙を抑えようとしているとふと横に男の人が立っていて慌ててお礼を言う。
「あっ、あの…!た、助けて頂いてありがとうございました…」
男の人は逡をじっと見る。
逡はドキドキしながら男の返事を待つ。
すると男の人が口を開く。
「…貴方、潔癖性ですか?」
「えっ…?」
逡はビクっと肩を震わせて、目を丸くする。
初対面の赤の他人に何故分かったんだ、と疑問が湧く。
すると、男はそれを察したのか懐から名刺を取り出す。
「あ…僕、こういう者です。」
その名刺には
[にこにこ心理病院 院長
心理カウンセラー 宮城悠 みやぎゆう
TEL 090-×××-××× ]
と、可愛らしい模様や動物と一緒に書かれていた。
逡は名刺を受け取り、もう一度読んだ後再度男の人を見る。
すると、宮城はゆったりとした口調で話す。
「もし良かったらですが、その潔癖性治しませんか?」
逡は目を見開いてから、
「そ、そんなこと…出来るんですか?」
と疑問を洩らす。
宮城は頷いて再度どうかと聞いてくる。
逡はまた今度話を聞きたいということで、明日土曜日なのを利用し明日の午後2時にカフェで会うことを
約束し、そこで宮城と別れた。
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