BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
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- APH: Four Numbers' Theatre
- 日時: 2015/11/25 23:53
- 名前: 伊莉寿 ◆EnBpuxxKPU (ID: qrMs7cjz)
さあ、滑稽な芝居を始めよう。
* * *
皆さん初めまして。閲覧ありがとうございます!
私の紹介です。
1、ヘタリアが大好きです。好きな方とぜひお友達になりたいです。
2、ゆっくり書きます。
3、SSのリクエストも受け付けます。
4、チキンなので生暖かい目で見つつ声かけてやって下さると泣いて喜びます(よろしくお願いします!
※国名表記ありです。
——目次
1:The Play of four figures/金髪トライアングルとオリジナル男主
>>001 >>002 >>003 >>004 >>005
短編
>>006 「パスタが食べたいな」
- The theatre of four figures ( No.1 )
- 日時: 2015/08/06 23:20
- 名前: 伊莉寿 ◆EnBpuxxKPU (ID: qrMs7cjz)
1*0.0:ある少年の放浪
誰かの喜びが溢れる街を歩いていく。
どこを目指しているのか分からないまま、冷えた石畳の上をひたすらに踏みつけて、踏みつけて。
焦点の合わない視界の隅で、すれ違う人が顔をしかめたのが見えた。
気にしない、けれど、うしろめたくて視線を落とす。すり切れたブーツは、ゴミ箱から拾ってきたみたいだ。
それこそ、本当にどうでもよかった。
頼れる人はいない。この辛辣な世界で一人きり。それと比べれば、靴の履き心地の悪さなんか。
誰かがいるはずなんだ。その人に会わなければいけないんだ。
「◇×△!!」
会わないと、いけないんだ。
心の中心にいつか埋めてしまった、宝箱に閉じ込めた、言葉を伝えたくて。
だから。
「+○▽□!!」
うるさい、うるさい、うるさい、うるさい!
歯を食いしばると、真っ黒な拳が顔に迫って、胸ぐらを掴んでいた男の右手が離されると同時に、僕は吹っ飛ばされた。
ああ、こんなに空腹じゃなければ、きっと蹴りを入れるくらいの反撃はできただろうに。
あの筋肉男集団に勝てるとは思わないけど、脳まで筋肉でできていそうな短絡的な男の、驚いた顔くらいは見られたかも。
大人しくそんなことを考えていれば、靴を踏まれた仕返しが出来て気が済んだらしい男たちは、ネオンの方向へ消えていった。
力の抜けていた手に、どうにか力を込める。一瞬魂が抜けてたような、死にかけていたような。
生き返った体に、感覚が戻ってくる。
ああ、痛い、なあ。
この眩暈は、いよいよ限界が近いという前兆かもしれない。壁にもたれかかって、深く息をする。切れた口の端を、滴が滑る。
吸い込んだ空気は、血と排気ガスの匂いがした。
この街は、あまり好きじゃない。好きじゃないんだ。
クラクションの音も、耳に馴染まない言葉も、昼間は熱を照り返す道路も。だけど。
「だけど……」
背後の家から、笑い声が漏れる。明るい、若い男の声だ。
耳にこびりついた音が、頭の中でいつまでも続く。繰り返される。際限なく、いつまでも。
浅い呼吸と早まる鼓動は、意識の遠く。
胸が送りだす血液は魔法がかかったみたいに、僕の右手を操って。
脳はもう思考を放棄していたのだから、何もそれを止められない。
震える手、人差し指が、ボタンを押した。
ただただ、誰かに会いたかった。
一人じゃなかった記憶が、求める誰かに。
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