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【カゲプロ】きえない歪【カノシン】
日時: 2015/11/24 23:40
名前: 妄想炸裂ガール (ID: eDPPsGjZ)

自己満足ですすみません。
初投稿。なので至らぬ点あれば教えてください。




「アヤ、ノ」
掠れたこえ。いつまでも消えない俺の後悔。
「アヤノ、アヤノ……ッ」
救えなかった。見殺しにした。ただ一人の友人を、俺は見殺しにした。
償えない。償うことができない。
だって俺は、人殺しと同じだから。
「っ」
カッターを手首に滑らせる。いっそ首につきたてて死んでしまおうか。
いや、やっぱりダメだ。俺が死んでも、今更何も変わらないし、そんなの逃げているだけだ。
人は、2回死ぬのだと何かの本で読んだ。
はじめは、普通に死んだとき。
ふたつめは、誰もが皆、その人を忘れてしまったとき。
だから、俺はせめてもの戒めとして、アヤノを忘れない。
絶対に忘れない。

暗い部屋の中に、突如明かりがつく。
PCの画面からの光だったが、俺は息を呑んでカッターを後ろ手で隠した。
「ごっ主人ー!!」


一旦切ります

Re: 【カゲプロ】きえない歪【カノシン】 ( No.1 )
日時: 2015/11/24 23:53
名前: 妄想炸裂ガール (ID: eDPPsGjZ)

「ごっ主人ー!!」
「……んだよお前か」
やたらとぎゃあぎゃあ煩い、青い少女。
アヤノと纏う色彩が正反対な彼女は、アジトへ行きましょう!と喚きだす。
ああ死にたい。
死んで、溶けて、崩れて、何処かへ消えたい。
そんな俺の願いを、無駄に物分かりの良い足は理解したらしい。
玄関へ向かい、靴を履く。
「ちょっとご主人!私も連れてってくださいよ!!」
部屋から大声が聞こえる。親がいなくて良かった。
「お前カノのスマホにでも行ってこい……」
「えーっご主人ー」
ぶぅたらするエネに、小さくごめんなと呟く。見えないように、聞こえないように。
やっぱり死んだらダメだけど、死にたい。





まだカノ出てきてないですね、すいません。

Re: 【カゲプロ】きえない歪【カノシン】 ( No.2 )
日時: 2015/11/25 00:16
名前: 妄想炸裂ガール (ID: eDPPsGjZ)


気づけば、もう交差点まで来ていた。
ここに飛び込んだら、なんて僅かな興味が、火照った頭を加速させる。
死にたい死んじゃダメだでも死にたい死んじゃダメだ死にたい死にたいのに。
「アヤノ、」
呟いてみる。足を一歩、踏み出してみ____。

「__シンタローくん」
「ッ!?」
唐突に聞こえた耳許の声と、腕を掴まれる感触。
「今、何する気だった?」
「……っ別に」
はぐらかすと、腕を引っ張られる。
「いっ……!?」
強い力。自分でつけた手首の傷に、カノの指が食い込む。
「ねぇ、なにこれ」
シンタローくん、と俺を呼ぶ声がする。
「……自分でやった。ッ頼む、みんなには、言わないでくれ」
馬鹿みたいに勝手なことだけど、俺はやっておいていながら誰にも知られたくなかった。
エネにもバレないように、深夜にやったりしたから。
「おね、が……」
「!?」

視界が揺れ、滲む。
暗くなる。

Re: 【カゲプロ】きえない歪【カノシン】 ( No.3 )
日時: 2015/11/25 23:05
名前: 妄想炸裂ガール (ID: eDPPsGjZ)



「……?」

「あ、起きたねー」
カノの声に、身体を起こす。
「キドが熱中症みたいって言ってた」
「……」
いっそあのまま、車道に倒れれば良かったのに。
「……ね、シンタローくん。さっき、何しようとしてたの」
どうでもいいだろとか。そんなの関係無いとか。
たくさんの言い訳を頭に浮かべるけど、口から出ることはなかった。
だって、

声がでなかったから。

「……」

「だんまり決めこむつもり?」
違う。ただ声が出ないだけだ。
ストレス性なんちゃら、みたいな言葉が脳裏をよぎる。
「ねぇ、答えなよ」
剣呑なカノの声で我に返り、必死に声が出ないアピールをする。
拙いジェスチャーはどうやら伝わったらしく、カノはベッドサイドの机からメモとペンを取りだし、俺に渡した。
「声、出ないの?」
激しく頷く。なんだ、そうだったのか、でもなんで。と聞かれるが、理由が理由なので書けない。

「ただいまッスー」

玄関のほうから聞こえる声。セトが帰ってきたらしい。
「ちょっと待ってて」
カノがぱたぱたとリビングに駆けていく。
俺は何となく安心して、目を閉じた。


Re: 【カゲプロ】きえない歪【カノシン】 ( No.4 )
日時: 2015/11/25 23:33
名前: 妄想炸裂ガール (ID: eDPPsGjZ)


Seto side

「……シンタローさんが……」

カノから一通りの説明を受け、唸る。
「無理なお願いだってわかった上で言ってもいい?」
「……いいッスよ」

「シンタローくんを、盗んで」

「……」
半ば予想していたお願い。盗むのはあまり好きじゃない。
だけど、でも、誰かを救うためなら。
その勇気を姉に使えず、救えなかった後悔があるから。

「……いいッス。盗むッスよ」

「ありがとう」

カノはいつもふざけてるけど、それ以上にみんなをしっかり見ている。
些細な変化にもすぐ気付くし、気を使える。
最近のシンタローさんの様子がおかしかったことなんて、俺は微塵も気が付かなかったのに。



『ぬすまないで』
漢字を書くのももどかしかったのか、平仮名で書かれた懇願。
だけど、もう遅かった。
シンタローさんの考えていることが、強制的に頭になだれこむ。

「……っ!」
それを聞いて、俺は愕然とした。

(死にたいでも死ねない死んじゃ駄目だだけど死にたいごめんなさい君を見殺しにしてごめんなさいいっそ殺してほしい)
(やめろ、盗むな)
(死にたいだれか殺して俺を痛めつけて罰を与えて罰がほしいお願い殴って蹴って罰を)
(盗むな、頼むから)
(新しい友人ができて君のことを忘れそうだ死にたい忘れたくない忘れる前に殺してくれ君のもとへ逝きたい)
(カノには、みんなには言わないで)
(死にたい殺して蹴って殴って罰を与えて君のことを見殺しにした俺に罰を君を忘れそうな俺に罰をどうか殺して死にたい死にたい)

「っシンタロー、さん……」


Re: 【カゲプロ】きえない歪【カノシン】 ( No.5 )
日時: 2015/11/25 23:58
名前: 妄想炸裂ガール (ID: eDPPsGjZ)



セトの悲痛な声に、自分の思考が盗まれたのだと悟る。
「シンタローさん、そんな、こと思ってたん、スか」
『 』
メモに書く言葉が見当たらず、あげかけたペンを下ろす。
「……罰せるわけ、ないじゃないスか。それに、なんで助け求めないんスか」
少し考え、書く。
『助けなんて、求めちゃいけないんだ。だって俺は最低なことをしてしまったんだから。』
「その人を、救えなかった、んスか」
『違う。救わなかったんだ。俺はしようと思えばできたのに、気付かないフリをしたんだ。』
セトの哀れむような、同情するような、もしくは後悔、するような眼差しが酷く痛かった。
「何となく見えてきたけど、僕にも教えて」
カノが言う。
セトがカノに説明する間、俺はずっとうつむいていた。
知られたくなかったのに。
『やめろって言ったのになんで』



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