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- 二本の糸は繋がった。(ヘタリア初恋組からの独伊)
- 日時: 2015/12/10 18:19
- 名前: 夜桜 月夜 (ID: x03fhwcN)
どうも。おはようございます,こんにちは,こんばんは。
かなり前にアルアサ書こうとしていきなり中断した夜桜 月夜です。
今度こそ完成させたいなと思い,神ロとフェリからの独伊書こうと思います。
どうぞ,お付き合いくださいませ。
- Re: 二本の糸は繋がった。(ヘタリア初恋組からの独伊) ( No.5 )
- 日時: 2015/12/12 14:31
- 名前: 夜桜 月夜 (ID: hwITajaP)
「フェリシアーノ…真剣に,俺と行かないか?」
まだ幼いルーファスが,また幼いフェリシアーノに手をのばす。
しかし,フェリシアーノは首を横に振った。
「な,なんでなんだよ…お前,ずって召使いでいいのかよ!?」
「だって…爺ちゃんは大きくなりすぎて消えちゃったんだよ?爺ちゃん,傷だらけですごく痛そうだった…。そんなルーファス,見たくないよ…」
フェリシアーノが涙を流して泣きじゃくる。
「そんな,強くなっちゃだめだよ。そのままのルーファスも好きだよ…。だから…お願い,行かないで…?」
そう言ってルーファスの両手を強く握りしめる。
「だけど…行かなきゃいけないんだ,俺は…」
「…わかった,じゃあ待ってるね」
「え?」
「何年経っても,どんなに大きくなっても,誰の家にいても,ルーファスのこと,忘れないで待ってる。沢山お菓子作って待ってる。だから…早く帰って来てね」
「…あぁ」
- Re: 二本の糸は繋がった。(ヘタリア初恋組からの独伊) ( No.6 )
- 日時: 2015/12/13 08:17
- 名前: 夜桜 月夜 (ID: tdVIpBZU)
ルーファスの手がフェリシアーノの手から離れる。
「絶対に…また,会いに行くから!」
「うん…待ってる!」
数秒間フェリシアーノの顔を見てから,ルーファスは後ろを振り返って走って行った。
「またね,ルーファス!早く帰って来てねーっ!!」
フェリシアーノは,去っていくルーファスを見えなくなるまで見つめている。
「無事に…帰って来て…!」
さっきまでルーファスがいた所には,ただ風が吹いているだけだった。
- Re: 二本の糸は繋がった。(ヘタリア初恋組からの独伊) ( No.7 )
- 日時: 2015/12/13 14:40
- 名前: 夜桜 月夜 (ID: D486Goe5)
—それから,何年も経った日。
「まーるかいて地球,まーるかいて地球…」
屋敷に,フェリシアーノの歌う声が響く。ローデリヒとエリザベータは,その声のする方に向かった。
「なーがーぐつで
—乾杯だっ…」
「!!」
「!?」
「…ヘ〜タ〜リ〜アーっ!」
フェリシアーノの声がいきなり低くなった。ローデリヒとエリザベータは驚きを隠せない。
「わぁ〜,声変わり来たの〜!声,変なの〜!」
フェリシアーノは二人にヴェ〜,ヴェ〜と言ってみせる。
「ちょ…ちょっと,買い物に行って来ます…」
「あ〜…」
ローデリヒがそそくさと屋敷を出て行った。
「…まさかローデリヒさん,フェリちゃんの事,女の子だと思ってたんじゃないでしょうね…?もしかして,ルーファスも…」
「え゛っ」
エリザベータの言葉にフェリシアーノが声をあげる。
「なんてね,冗談よ。多分…」
エリザベータが目を逸らす。
「た,ただ今戻りました〜…」
「ローデリヒさん,何をそんなに慌てて買いに行ったんですか?」「……」
しぶしぶと取り出したのは,男性用の服。
「え。」
「声変わりも来たのですし,今日からはこれを着なさい」
「…あ,ありがとうございます」
「ローデリヒさん,まさか…」
「な,内緒ですよ?」
(ルーファス…も,声,僕みたいに低くなったのかな?僕より,大人っぽくなってるのかな?僕より…強く,なってるのかな…?)
—どうか,強くなりすぎないで,あの時のルーファスのままでいて…。
そう,願わずにはいられなかった。
- Re: 二本の糸は繋がった。(ヘタリア初恋組からの独伊) ( No.8 )
- 日時: 2015/12/13 20:33
- 名前: 夜桜 月夜 (ID: tdVIpBZU)
「……!」
「……」
「………?」
「……………………?」
「…,……………」
「…何だろ?誰か来てるのかな」
—その日の真夜中。
ローデリヒの声,エリザベータの声,そして,誰かの聞き慣れない声が聞こえてきた。
「玄関…?こんな真夜中に…」
フェリシアーノはその声が聞こえる方向に歩いて行った。
「あいつには,会わないで戻る」
「…本当に,いいの?必ず会いに行くって約束してたんでしょう?」
「…今はまだ,あいつを悲しませたくないから」
「でも…」
「いいから!」
(誰…聞いたことある?あいつって,誰?)
フェリシアーノは玄関に一歩一歩近づいて行く。
—ぱたん
「…っ!?」
迂闊にも,足音をたててしまった。三人が,はっと振り返る。
「フ…フェリシアーノ…」
「フェリちゃん…」
「—ルー,ファス…?」
フェリシアーノは,その場で崩れるように座り込んだ。
「ルーファス…帰っ,て,来た…?」
フェリシアーノの両目から,大粒の涙がどっと溢れ出た。
- Re: 二本の糸は繋がった。(ヘタリア初恋組からの独伊) ( No.9 )
- 日時: 2015/12/13 21:40
- 名前: 夜桜 月夜 (ID: hwITajaP)
「…帰って来たんだね,ルーファス」
ルーファスの部屋のベッドに,二人が座る。
「ここには,挨拶に来ただけだ」
「…え?」
「……もう,ここには戻らない。…戻れない」
ルーファスが,シーツをきつく握る。
「…どうして。帰って来るって…約束したじゃん。誰かの家に連れて行かれるの?戦いに勝てた…」
「五月蝿い!!」
フェリシアーノに,ルーファスが怒鳴りつける。
「…消えちゃうの?」
「っ…」
「…嘘,だよね,消えないよね?だって,ルーファス,強いでしょう?」
「……」
ルーファスは黙ったままだ。
「そんなに,簡単に消えるはずが無いよ,ルーファスは」
フェリシアーノが無理やりつくった笑顔で言う。
「…そりゃあ,“簡単には”消えない。でも…危ない」
「え…」
「自分で判るんだ。運が良かったら,生きていられる。だけど」
「“だけど”なんて言わないで!!」
フェリシアーノが泣きそうな顔で叫ぶ。
「運が良かったら,生きていられるんでしょ!?帰れるんでしょ!?だったらさ,それを信じてよ!消えないでよ!!…お願い,だからっ…!」
そう言ってうつむいたフェリシアーノの肩が震える。
「…もう,お願いだから…,僕を,ひとりに,しないでっ…!消えないで…,いなく,ならないでっ…!!」
シーツに,熱い涙がこぼれ落ちた。
—「僕のじいちゃんは,強くなりすぎて消えちゃったんだよ」
—「強くなりすぎないで」
ルーファスの頭の中に,あの日のフェリシアーノの声が蘇った。
「…そういえば,さ」
「ヴェ?」
「お互い,声,低くなったな」
「……うん。でもルーファスは,何だかんだ変わらないね」
「お前は,変わりすぎ」
ルーファスが,少年のような笑顔で言う。
「えへへ…今日声変わり来たんだよね」
「そうなのか?じゃあ丁度良かったな!こんなに変わったお前の変な低い声が聞けてさ」
「あはは!何言ってんのさ?」
二人はしばらく笑い続けた。
こんなに心から笑ったのは,お互い,ひさしぶりのことだった。
「…実を言うと,俺,お前のこと,女だと思ってたんだよな」
「えぇ!?…え,ちょ,ええぇぇ!?」
「だから……いや,これはまだ言わない」
ルーファスは頬を少し赤くした。