BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
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- リナリア
- 日時: 2015/12/12 18:19
- 名前: 忌み子 (ID: 0iVKUEqP)
どーも、忌み子と申します。
はじめまして、おはこんばんちわ。
これからGL小説を書いていきたいと思います。
あたたかい目で見てやってください。
- Re: リナリア ( No.1 )
- 日時: 2015/12/12 18:35
- 名前: 忌み子 (ID: 0iVKUEqP)
リナリア。
それは春に色づく一輪の花である。
その花言葉は「この恋に気付いて」。
儚く、美しく、リナリアは散る。
四月。通学路には桜が咲き乱れ、そよ風が横を吹き抜けて行く。
その中を私・豊永沙月は歩いていた。
今日は特に楽しみにしていたわけでもない、東京都立朝霞女子学園の入学式。
まだ大きい制服に腕を通し、私は念願だった朝霞高校に足を踏み入れた。
新しい生活はここから始まるのだ。
昨年、地獄のような受験勉強を開始し、地のにじむような努力を重ね、
やっと入った学校なのだ。
ゆっくりと深呼吸をし、春の風を胸に刻む。
桃色に色づいた桜を見上げていると……。
トン
不意に肩を叩かれた。
「桜、綺麗ですね。」
とその人は微笑んだ。
短く切り揃えた茶髪。愛らしい笑顔。青色がかった瞳。
「そう…ですね。」
初対面の人と話すのには慣れておらず、私の声はすっかり震えてしまっていた。
「桜の花言葉……知ってますか?」
桜の花言葉?なんだろう。
不思議そうな顔をしていると、その人はうっすら笑って言った。
- Re: リナリア ( No.2 )
- 日時: 2015/12/12 18:50
- 名前: 忌み子 (ID: 0iVKUEqP)
「優れた美人」
優れた美人……。
彼女の言葉は風に乗って心をついた。
桜にも花言葉ってあったんだ。
「それじゃあ。」
そう言うと、彼女は踵を返した。
私もその後に続いて、校舎に入っていった。
校舎内は受験期に開かれた学校見学で一度見たことがあったが…
一年生が入ってくるからだろう。
廊下のそこかしこに造花が飾られ、お洒落な空間を作り出していた。
窓からは、煉瓦製の時計台が確認できる。
いかにも【女子校】という感じだ。
「えーと、私は……二組だったか。」
一年の教室はたしか三階だったはず。
木製の階段を上り、二組を目指す。
「きゃーっ、香奈と隣とかラッキーっ!」
「うわ〜…教卓の真ん前だあ……」
そこかしこから聞こえてくる声。
広い廊下にはそれぞれの声が響き渡り、まるで映画館のような空間だ。
あまり、煩くされるのは好きではない。
「……はあ。」
ため息をつきながら、ドアに貼られている席順を確認する。
豊永沙月 二十番
出席番号は二十番。運悪く教卓の目の前だ。
「…………はあ。」
本日二度目のため息を吐く。
教室内に入り、私は自分の席に腰を下ろした。
瞬間。
- Re: リナリア ( No.3 )
- 日時: 2015/12/12 18:59
- 名前: 忌み子 (ID: 0iVKUEqP)
「あ」
誰かの声が私を見つけた。
振り返ると。
「あ」
先ほど会った人だ。
桜の花言葉を教えてくれた………
「さっき、お会いしましたよね?」
私より先にその人は口を開いた。
「あ、はい。」
私も慌てて返事をする。
その人は私の隣に座るとまた微笑んだ。
「よろしくお願いします。貴方の名前は?」
「豊永沙月です。」
その人は短い髪の毛をそっと右手で直して、
「私は咲崎恋。よろしくね。」
イタズラっぽく笑ったんだ。
その笑顔に少しキュンとしてしまった。
(可愛い…)
それが、咲崎恋の第一印象だった。
- Re: リナリア ( No.4 )
- 日時: 2015/12/12 19:12
- 名前: 忌み子 (ID: 0iVKUEqP)
入学式を終えて私達は教室に戻る。
我らの担任・吉田隆先生は、気怠そうに出席板を教壇に置くと、
細い眼鏡の奥から私たちを睨むように見つめた。
うーん、なんだろう……
この人を好きになれる気がしない。
目つきの悪い人は大の苦手だ。
「それじゃあ、一人ずつ自己紹介をしてもらいます。一番の秋川さんからどうぞ。」
自己紹介、か。
正直苦手なんだよな〜、こういうの。
私は俯きながら、自分の番がくるのを待った。
十分程して………
「次、咲崎さん。」
先生の低い声を聞くまでもなく、私の隣の席の子はパッと立ち上がった。
「どーも、咲崎恋ですっ!好きな教科は0です。好きなコトは漫画を読むこと!
好きな漫画は、へ◯リア、鬼◯の冷徹でーす!
仲良くしてくださいっ!」
それまでの重苦しい雰囲気とは裏腹に、彼女は元気良く自己紹介をやってのけたのだ。全開の笑顔で微笑むと、彼女は何もなかったかのように席についた。
「あたし、こういう雰囲気苦手で…」
彼女はイタズラっ子のように舌を出して囁いた。
(子供っぽい……)
眠そうに目を閉じた咲崎さんを私は黙って見つめた。
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