BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
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- 【おそ松さん】これでいいのだ(チョロ総受け)
- 日時: 2016/01/13 23:22
- 名前: かわの (ID: cJYcwzou)
※死ネタあり。チョロ松ビッチ。 苦手な人ブラウザバック(゜ω゜)
僕の恋人が死んだ。彼は猫缶を片手に横断歩道を渡たり、珍しく微笑んでいた。
僕もそれに対するように薬指に紫色の指輪のついた左手を振り、微笑んだ。
けれど一瞬で気持ちいい秋晴れの日を全て掻き消すように黒いワゴン車が一松をえぐるようにひき殺した。 信号は青から赤に染め上がった。
「いちま・・・ひっく、なんで死んじゃ・・・ひっく、いちまうう・・・」
彼、松野チョロ松は霊安室で冷たくなった松野一松の真っ赤に染め上がった右手を握り続けていた。チョロ松自身も近隣住民に通報されたときは頭を強く打ち、
意識を失っていたのだ。そんな彼が頭に包帯を巻き、亡くなった一松の手を
枯れてしまうのでは?と言うほど泣きながら握っているのだ。その光景は実に
歪で滑稽だった。ただ他の家族たちは皆、一様に服の裾を強く握りしめ下を向いていた。 皆の頬からは〝冷たい何か〟が流れ、溢れていた。
「チョロ松兄さん・・・ご飯ここに置いとくね・・」
トド松は気まずそうに僕の1メートル程先に一階から運んできた朝ご飯を置く。ふと見ると、時計はもう10時を回っていた。僕は寝室の隅でうずくまったまま俯いていた。医者からは、家で家族とふれ合った方がいいと言われたが僕はいつも一松が居た場所にうずくまっている。一松から貰った紫色の指輪がコロコロと床に滑り落ちた。前はピッタリだったのに今はユルユルになってしまっていた。
一松から貰ったものがつけられないのなら、いっそ死んでしまおう。
そう思い、押し入れを探る。見つけた。その縄は折り返し地点に輪っかがでてきている、言わば首吊り用の荒縄だった。昔、就職に失敗したときに気休めとして作っていた物だ。チョロ松は縄を持ち、フラフラと立ち上がった。隣の物置なら皆に見つからないだろう。チョロ松は寝室の襖をしめた。
天井にフックを貼り付け、縄を掛ける。縄を手に掛け、首を通すと
踏み台にしていた椅子を思いっきり蹴りつける。すると、一気に首を締め上げられる。薄れゆく意識の中で兄弟たちのことを思い出した。
バイバイ皆。今から逝くよ一松。
どんどん首に縄が食い込む。呼吸は浅く、上手く息が出来ない。でも自然と心は
穏やかだった。そこで僕の記憶は途切れた。
「つ・・ろ・・ちょ・・・・チョロ松!!」
んん・・誰だ?五月蠅いな。 首が痛い。違和感にきずき、首を触ると包帯が巻いてあった。ああ・・・何だ、
「死ねなかったのか。」
僕のことを心の中で嘲り笑う。
「・・!何言ってるんだ!!」
ああ、声の正体はカラ松だったんだ。・・・それに皆いる。
皆の方を向くと皆、気まずそうに下唇を噛んでいる。
そこで重たそうに十四松が口を開いた。
「あのね・・・俺が下に居たときに物置らへんから大きな音がして、行ってみたら・・・・」
なるほど、そこで僕が首を吊っていた訳だ。僕も馬鹿だな・・・ そう思っていると、おそ松兄さんが抱きついてきた。
「何?苦しいよ。おそ松兄さん。」
「ごめん・・・ごめんな・・チョロ松・・・」
兄さんはそう言うと、僕を引き離した。
「もう苦しい思いさせないために・・・俺たちが〝一松〟になることにしたんだ。」
兄さんがほくそ笑んだ。僕が理解出来ないでいると、他の兄弟たちが僕を取り押さえる。・・・ああなんだ。そう言うことか・・・
「さーすがー本当に理解が早いね。チョロ松〝兄さん〟」
おそ松兄さん、いや〝一松〟が悲しそうに微笑んだ。
「ああん・・ハッ・・・んんん・・・・もう、無理・・・」
手足を拘束され、縄の痕がくっきり残る首には首輪をつけながら僕は喘ぐ。
そんな僕を攻め立てるのはかつての兄弟たちだった。皆、一様に紫色のパーカーを着て、一松を演じている。
僕以外、皆仕事に就き、このアパートの一部屋を借りた。
僕は毎日お相手をし、皆を満足させる。それが仕事だった。
僕は誰かに愛されていたかっただけかもしれない。誰でも良かったのかもしれない。
ふと、そう思った。
「どうしたの?チョロ松〝兄さん〟」
「うんん。何でもないよ?続きして?〝一松〟」
そう言い、腰に足をまわす。〝一松〟は満足そうに笑う。
もう僕たちは狂っている。
これが僕たちの生き方なのだ
きっと、これでいいのだ
fin