BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
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- 【おそ松さん】僕の世界(おそチョロ)
- 日時: 2016/01/21 14:37
- 名前: かわの (ID: cJYcwzou)
※病んでる。デビめが。R18。ツッコミどころ満載。六つ子じゃないよ。以上苦手な人ブラウザバック(゜ω゜)
助けて助けて助けてたすけてたすけてたすけてタスケテタスケテタスケテ・・・
そう叫んでも誰も来ないことは知ってるんだ。
目の前の悪魔は不気味に笑った。捕まえた。そう言い、また不気味に笑った。
僕の世界はコレぽっち。白く澄んだ泉と緑豊かな木々たち。コレだけ。
不満は無いけど何かしらの潤いが欲しいのは確かだ。でも僕が活躍するほどの事も起きず平和なのは幸せだと思う。ただ一応、これでも神の端くれだ。此の神聖なる体と清らかなる声は誰にも聞こえないし見えない。今日もまた大きな岩に腰をかけ、手足を浄める。
誰も来ないこの寂れた森林は静かで美しいが100以上生きる僕にとっては退屈と悠久でしかない。大体僕は此の森からいや、泉からでられないのだ。
それに同調するように両足首がズキンと痛んだ。
いつだったか何て覚えていない。生贄としてこの泉に沈まされた。両足に大きく重い錘をつけて。奥底に沈むほど鮮明に思い出す片割れの紅い兄のこと。その兄と同じ紅い色を頭から出す僕。枯れそうな程の誰かの叫び声。今はその兄が誰なのか、顔すら思い出せない。
思い出すのは白い衣に身を包み、枯れず青々とした草の冠と腕輪をつけた自分の姿。足首には鎖がまとわりつく不快感。そんな自分の姿を写しだした泉は雫で大きな波紋を作り、揺らした。水面に歪んで写る自分はどんな顔をしていたのだろうか。
もうとっくに黒ずみ、痕が残った足首から下は朽ち果て腐っていた。
「おーい」
そんな過去に浸る暇もなく誰かに声をかけてくる。そんな筈無いのに何処か聞き慣れた声は僕に束の間の安息を与えた。
束の間の希望は大きな絶望で塗り替えられた。
あの人と同じ紅い眼をした残酷な悪魔は僕の全てを音も無く壊した。
「!・・悪魔・・・!!」
本物を見るのは初めてだった。大きく心臓が高鳴る。
「よう。チョロ松。」
「僕の真名を呼ぶな!!」
僕が人間だったときの名前。また天上界で兄に会えたら呼んで貰うと今まで心に決めていたのだ。こんな奴が言っていい言葉じゃない。
「忘れたのか?俺!お前の兄貴!!」
紅い悪魔が大きな声で叫んだ。違う。僕の兄はこんなんじゃない。気がグルグル動転し、世界が反復する。そうだ悪魔お得意の誘惑だ。でも何故だ、コイツが懐かしく感じてしまうのは。
「うわああああああああ」
僕はガンガンなる頭を抑えつけ、悪魔を捕まえるため草木を操ろうと手を高く掲げた。でも気付かなかったんだ。周りの草木が全て枯れていることに。
その瞬間、悪魔が瞬時に僕に飛びつく。
「マジで俺のこと覚えてないの?」
悪魔に黒く淀んだ眼で問いかけられる。
「知らない。僕はお前なんか知らない。」
そう反発するように答えると悪魔は紅い舌をチロリと出し、薄気味悪く笑うと僕の首を掴み、だんだん力を込めて締め上げた。
視界はだんだん悪くなり最後には何も見えなくなった。
「はーい。起きたー?」
頭の中に声が響く。五月蠅い。でも何処か心地良いその声は悪魔から発せられた声だと言うことに気づき、飛び起きる。
「あっ、起きた起きた。」
そんな楽しそうな悪魔の声とは逆に草木は全て枯れ、僕の足についていた鎖は粉々になり、僕が命より大切に護り続けた泉は冷たく真っ黒の沼になっていた。
「・・・っ・・」
怖い。逃げなきゃ。そうは思うが足は朽ち果てて歩けない。四つんばえで必死に逃げようともがく。
「なんで逃げようとスンのおかしくねぇ?」
悪魔は冷たく全身に響き渡る声で問いかけられる。そう言うと共に僕の足首を強く掴んだ。
「ひっ・・・」
「あのクソ村人も酷いことしたよねぇ。俺の大事な大事なチョロちゃんを生贄になんかしちゃてしかも俺の前で泉に沈めるとかどうよ?」
だから俺、悪魔になっちゃた。 そう言い、悪戯っ子のように笑う紅い悪魔は酷く純粋で非道く残酷だった。
もう許して。助けて。すっかり荒れ果てた森の中で誰かが呟いた。
嫌だ。思い出すまで許さない。すっかり荒れ果てた森の中で誰かがほくそ笑んだ。
今日もまた僕は兄に犯される。女神だったものは黒ずんだ大きな岩に腰をかけた。
其処に黒い衣服に身を包み、ところどころ紅色のツノを生やした僕の兄が訪れる。
「チョロちゃーん」
そう言うと兄は手を広げた。僕はその兄にフラフラと飛びついた。
兄さんは僕を左手で抱きながら、右手で僕のいつまでたっても汚れない白い衣を脱がしていく。背中には紅く吸いついた痕がぼんやりと残っている。兄さんはそれに上書きするようにまた噛みついた。
もう考える事を止めたんだ。僕には泉を護るなんて役目、重すぎたのだ。
だって僕は真面目系クズだから。
淡い翠色した眼を兄に向ける。
兄は嬉しそうに眼を細め、微笑んだ。
嗚呼、この笑顔。この狂った空間でその笑顔が心地良く僕の心に染み渡る。
愛してる。愛してるよ。愛しく狂った僕の兄さん。
「愛してる。」
そう呟くと兄さんは思いっきり大きく腰を振った。同時にお腹が温かくなる。
嗚呼、きっと僕もそのうち悪魔になってしまうのだろう。
でも良い。兄さんと、おそ松兄さんと一緒なら何処まででも堕ちてゆく。
この狂った空間は僕だけの世界だ。
出られるのにこの狂った場所からでないのは
此処が僕と兄さんだけの世界だからだ。
僕は兄さんの頬をペロリと紅い舌を出し、舐めた。
何故かその頬はしょっぱかった。
fin