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【おそ松さん】スパイス(おそチョロ)
日時: 2016/01/31 15:52
名前: かわの (ID: cJYcwzou)

※教師パロ。言う処の先生松。意味不明。以上苦手な人ブラウザバック(゜ω゜)


『なんで?信じてたのに・・・』
少年は泣きながら問う。
信じるお前が馬鹿なんだ。 男は黒く塗りつぶされた仮面を顔につけ、残酷にも少年を突き落とした。突き堕ちてたどり着いた先は天国か。はたまた地獄か。
【それは誰にも分からない。】
男は笑っているようにも泣いているようにも見える顔を黒い仮面で覆った。


チョロ松は大きな欠伸をすると英語の教科書を持って立ち上がる。
「あれっ?もうチョロちゃん行くの?」
間延びした声で問うのは兄であり、上司の松野おそ松だ。
「お前も行くんだよっ!!」
こうして朝一でツッコむと言うのも疲れる作業である。それはともかく兄に現代文の参考書とプリントを持たせると教室に行くよう促すため頭を一発殴る。
横で兄から抗議の声が上がったが、いつものことなので気にせず無視する。
一応僕達は高校の教師なのだ。
意外、とよく言われるが六つ子全員がそうなのだから僕達だって意外だ。
全員それとなく受けて全員受かった。
まあ、全員脱ニートでよかったじゃん。って思ってたらまさかのまさかで配属先が全員一緒だった。
運命の悪戯すぎるよね。  とトド松が言ったが、まさにその通りだと思う。こんな悪戯やめて欲しいけど。
やりがいは感じてる。そう心の中で呟き、教室の戸を開けた。


「おはよございまーす。」
数名の生徒からの挨拶が聞こえる。適当に返事をすると教卓の前に立つ。
本当はこういう事は副担任の僕ではなく、担任であり、学年主任のはずのおそ松兄さんがやらなくてはいけないはずだが
流石クズ。ローラー付きのイスの上でグルグル回っている。思いっきり回してから叩きつけたい衝動に駆られるが、そこは自己セーブと言うことで。
学級委員長が号令をする。
軍隊かよ。ってほど揃った動作で挨拶をされると、少し気合いが入った。
入ってない奴も隣にいるが。
「や〜流石俺のクラスだわ。」
なんて惚けてる。頭を思いっきり叩くと良い音がした。
「ちゃんと仕事しやがれ下さい。クソ先生様?」
そう微笑むとへいへい、と気力のない声が少し漏れていた。
照れ隠し?そんな訳ないでしょ。


キーンコーンカーンコーン
午前の授業終了のチャイムがなる。生徒達がドタバタと購買や食堂、友達と食べに行ったりと教室内は誰も居らず静まり返っている。
何故か僕が体調不良で休んだ時からこうなのだ。
「チョロ松。」
おそ松兄さんに声を掛けられる。何処か冷えたその声に少しドキリとする。
「何ですか?おそ松〝先生〟?」
だが至って平静を装い、返事をする。
「他人行儀だね〜」
「ええ、ただの担任と副教師ですから。」
「ふーん、上等。」
そう言うと手荒く手首を掴まれる。手首から広がる痛みに少し顔を歪めると、おそ松兄さんが満足げに自分の紺色のネクタイを右手で緩めた。
少しずつ近づいてくる口を左手の人差し指で押さえると
「もう少しだけ我慢して。おそ松〝兄さん〟」
と耳元で囁く。大体教師が教師を教卓の上で、しかも男同士で押し倒しているのが生徒にバレたら辞職モノだ。きっと皆付いてきてまたニートに逆戻りしてしまう。そうなっては適わない。
ただ僕達は付き合ってはいない。兄さんが好き好きオーラが全開なだけだ。
兄さんを僕から引き離し、にっこり笑う。さっきまで身を支えていた教卓の上にくっついて置いてある黄緑色のタンブラーと紅色のタンブラーを持って渡すと、おそ松兄さんは諦めたように髪をぐしゃぐしゃとかき、微笑んだ。
この笑顔は好きだよ。兄さん。


「ただいま。」
きっとトド松辺りしか居ないであろうアパートの一角に僕とおそ松兄さんの声が響く。
「あっ!おかえり〜♪」
案の定機嫌の良さそうなトド松が手を振っている。軽く振り返すとトド松はひょっこりと頭を隠した。兄さんは部活を担当していないし、僕は陸上部が休み、トド松はきっと女子ソフトテニス部が早く終わったんだろう。
カラ松は演劇部で忙しいし、一松は採点。十四松は野球部の夜練だろう。
キッチンと言うよりは台所と言う方が近いであろう場所で野菜を切り刻む。
今日はポトフでも作ろうか。それともシチューか。よく温まるのはシチューだろう。手際良く鍋に野菜を投げ込むと、少し奮発し牛肉を入れる。今日はセールだったのだ。取れてよかった。作ったら皆が帰るまでにお風呂に入っておこう。
数十分たって出来た夜ご飯はそれなりに美味しそうだ。
よし風呂に入るか。タンスから部屋着をだし選択室にあるバスタオルを持ち出すと脱衣所でシャツやズボンを脱ぎ捨てお風呂の戸を開ける。
もわもわと煙が上がり前が見えにくい。
湯船に浸かると少しのぼせた。


『どうして泣いてるの?』
優しくしないでくれ。伸ばされた手を振り払う。まだ小さく柔い掌を。悪童のように悪戯な少年の声を。
【ふーん。自分勝手なんだな。】
五月蠅い。投げ捨てられた黒い仮面を拾う。どこか懐かしく、おぞましい香りのするその人の物。
愛おしく、何処か狂ったその人達を。
一人は僕で。一人は・・・


「チョロ松!!」
誰?ここ寝室?あと
「おそ・・・・ま、つ・・にー、さ・・・ん?」
グラグラする意識の中でその人の手を掴む。
「そっ。兄さん。」
にこっと笑う兄さんは僕の大好きな兄さんだった。
「にーさん。すき・・・」
腕を首に回すと吐き出したい言葉がスラスラでてくる。
「あいしてる。」「だいすき。」「すき。」
もう止まらないそれを聞いた兄さんは
襲うぞ とだけ真顔で、そして低い声で囁いた。
「襲って。」
そう呟いたとき、兄さんと僕は必死に進んできた細く脆い糸からぐしゃりと滑り落ちた。


『チョロ松。コレが君の望んだ結末かい?』
嗚呼、そうさコレが僕の望んだ結末だ。君が堕ちたのは天国?地獄?
『どっちでもない。只の松野家だったよ。』
きっとそれは天国さ。落ちたさきに天国があるなら僕も堕ちて正解だったと思うよ。
『そっか。』
そう言い残し悪童は消えた。
【それは所詮一時の勘違いだよ。】
抱いた本人が言うじゃないよ。コレは僕がおそ松兄さんに負けて、そして依存しているんだ。一時の勘違いなんかじゃ終わらせない。
【なんか。お兄ちゃん嬉しいわ。】
仮面をつけた男は微笑んで消えた。
バイバイ。弱かったときの僕と弱かったときのおそ松兄さん。


小鳥の声が聞こえる。
嗚呼、朝だ。僕の隣では心地良さそうにおそ松兄さんが寝ている。皆で実家を出るようになってからの良いところは部屋が2人ずつに分かれているところだと思う。
僕はおそ松兄さんと同じ部屋だ。
朝ご飯作らなきゃ。這いずりながらもベットから出て、立ち上がろうとすると腰が思いっきり軋む。
白いシャツを着て、ズボンや靴下を履くと黒縁眼鏡を掛け、腰を屈めながら歩く。そして昨日のシチューの残りを温めると少しずつ口に運ぶ。
その後、皆の弁当を作ると皆が起きるまで机に突っ伏し、寝る。
「おーい。チョロちゃーん。」
よく聞く声に呼びかけられ目を覚ますと同時に手を引っ張られる。
「仕事おくれんぞ。」
そう言い外に引っ張り出され、車に座らせられる。
「ほれ、行くぞ。」
そう言った兄は格好良かったが絶対調子に乗るから教えてやらない。


いつものように教室に入るとニヤニヤした生徒達の顔が見える。
なんだコイツ等。
「昨日はお盛んでしたんもんねぇ〜」
!! 何で知ってんだ!!ザッと兄さんの顔を見るとテヘペロと舌を出していた。いや、可愛くねーよ。
「いや〜Twitterであげちゃった〜」
そう言い見せるスマホ画面には布団をかぶり、寝ている自分が写っている。
コメントには〝初夜の後ナウ。〟
と呟かれている。
マジふざけんな。思いっきり頭を叩くと兄さんがわざとらしくおどける。
僕のシャツの合間からは紅い痕が見え隠れしていた。


これが僕の〝日常〟だ。
少しの狂ったこの日常を僕は愛している。
この小さな小さな日常に〝愛〟と言うスパイスを。
貴方の人生に少しの〝僕〟というスパイスを。
貴方の人生と言う頬に僕と言うスパイスの唇を優しく重ねよう。


                                 fin


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