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【おそ松さん】ハッピーエンド(おそチョロ)
日時: 2016/01/30 22:50
名前: かわの (ID: cJYcwzou)

※オフィス松。色々注意。以上苦手な人ブラウザバック(゜ω゜)


『ど〜も〜』
間抜けな声がする。シャンパン片手にヘラヘラ笑う声は僕が好む声ではない。
ブクブクと水の中に溺れる僕は手を伸ばす。水が染み込んで重くなり、色が濃くなったスーツは、 堅苦しい。 とよくアイツに言われる。ところどころ水中に映る記憶は映っては消えていく。手を伸ばせば消えていく。僕を煽るように大きな泡を立てて消えていく。歪んで歪んで消えていく。アイツみたいだな。何てふと馬鹿な事を考えた。手に持ったペンはインクが漏れて黒く汚れていた。


「おーい」
冷えた珈琲缶を頬に当てられ、つい変な声が漏れる。
後ろを振り返ると案の定、同僚と言うよりはバディと言う方が近いおそ松ニヤニヤして立っていた。紅色のネクタイを付け、黄緑色のネクタイピンという何処ぞのクリスマスだよ。と言いたくなるセンスをしたソイツは横のデスクに座り込み、ホット珈琲を飲み干している。
僕がアイスで自分がホットと言うところにそれなりの気遣いと優しさを感じたくなくても感じてしまうから悔しい。
少し力を込めてプルタブに手を掛けると、音を小さく立てて香ばしい香りが鼻腔を擽る。時計は夕方の5時を廻っていた。もうひと頑張りすれば終わるだろう。
ついついため込んでしまっていた書類を整理しながらふと、隣を見ると眠そうに欠伸をし、机に突っ伏している。
お気楽か!!後、カフェインの効果なさ過ぎか!! 無言でおそ松の頭を叩くとオフィス中に乾いた音が響く。
「いってっ!!バカじゃないのっ!!」
と大声で叫ばれる。うるさっ・・・。
「てめーも仕事溜まってんだろ。おそ松。」
苛ついたように話しかけると
「残念。俺はねーよ。」
そう勝ち誇ったようにドヤ顔されるとちょっとムカつく。それよりも人事課という割と仕事量の多いはずの部署で時間を持て余している事にビックリだ。
「手伝ってやってもいいけど?」
とニヤつきながらも書類を左手でヒラヒラとさせるクズな同僚は頼りたくないが、早く帰りたいと言う願望には負ける。だって今日は金曜日だから。
大好きな人と朝まで一緒に居られる楽しい楽しい金曜日。


やっと終わった。大きな溜息を吐くと隣で自慢げに笑っている同僚に鞄を投げつける。
「ほれ、帰るぞ。」
そう言い、焦げ茶色のダッフルコート身に着けるとタイムカードを押す。
腕時計を見ると丁度8時だ。結局、他の仕事もあり遅くなってしまった。
少し威圧感のあるガラス張りのドアからでると、北風が強く吹く。さむっ。
「さむいな〜」
おそ松も同じ事を思ったのか、僕のシャツの中に手を突っ込んでくる。
「ひぇ・・・つめ、った」
もう日常茶飯事だが慣れない。
でもコイツに数年片思いし続けている僕も僕で満更でもなかったり・・・
いつからだろうコイツに恋し始めたのは。
新人研修会の飲み会で会ったときはぜってー合わねーと思ってたけど。
「あ〜こっちの方が良いわ。」
なんて恋人つなぎをしてくる。待って。僕、手汗ヤバい。
ぎこちなく笑いかけると一瞬真顔になったおそ松に手を握る力を強められ、顔を歪めるといつもの間抜けな顔に戻った。
やっといつもの居酒屋に着くと、周辺には酒臭い匂いが充満していた。


『俺、松野おそ松!お前は?』
『松野チョロ松・・です。』
『マジで!?同じ名字ジャン!』

『あっ!お前と同じ課だったんだよろしく!!』
『よろしくお願いします。おそ松さん。』
『堅苦しいね〜おそ松でいいよ。チョロ松!』

『仕事しろクソ同僚。』
『手厳しいね〜。俺、社長の息子よ?』
『知るか。』



『好きだよ。チョロ松。』




眩しく視界が眩む。朝?
て言うか重い。上に乗ってんの誰だよっ!思いっきり体をひきはがすと相手がベットから滑り落ち、鈍い音がした。
「いたたた・・・」
その声は自分が嫌と言うほど聞き飽き、そして惚れ込んだ声。
「おそ、まつ・・・?」
「ご名答。」
そう言い微笑む顔は明らかにおそ松そのものだった。
「ここどこ?なんで僕はだか?」
白いシルク地の布を体に巻き付けた状態で立ち上がると自分の体の至るところに紅く吸い付いたような痕が残っているのが見える。
「・・・!?!?・・・」
「あれーもしかして昨日の俺とのコト忘れちゃた?」
そう聞くおそ松の顔は何処か楽しそうだった。
〝俺とのコト〟と言われ、必死に記憶の糸を手繰ると鮮明に昨日のコトが思い出された。昨日の夜、居酒屋で泥酔したこと。おそ松の家に連れて行かれ介抱されたこと。そして・・・
「一緒になったコト。」
おそ松がそう言うと共に体中が熱くなるのを感じる。
「カーワイイ」
そう言い僕のおでこに優しくキスしたおそ松はニッコリと笑った。
「何してもなびかないお前が不思議で近づいた。御曹司ってことを知っても態度を変えないお前に惹かれた。何も知らない純粋無垢なチョロ松の全てに惚れた。」
そう言いつつ顔が紅くなっていくおそ松の手を握りしめ、僕は微笑んだ。
「チャラチャラしてるお前が嫌いだった。実は優しいお前に惹かれるようになった。悪戯っぽいけど格好いいおそ松の全てに惚れた。」
へにゃりと笑うとキツく抱きしめられた。
「俺、独占欲強いからな。」
「上等。」
そう言って2人はまたベットに滑り込んだ。



きっと僕はまだまだ沈んでいく。大きな君という名の水の中。僕と言う名のインクを垂らしながら。その内いつか僕色に染めてやる。重たくなったスーツを全て脱ぎ捨てお前に包まれる。
ハッピーエンドじゃ終わらせない?
いいや、終わらせてみせる。僕が導く物語を。
僕はそのスーツを脱ぎ捨てるのだ。暑苦しくて堅苦しいそのスーツを。
さようなら。最後はきっとハッピーエンドで。


                               end

Re: 【おそ松さん】ハッピーエンド(おそチョロ) ( No.1 )
日時: 2016/01/31 23:37
名前: かわの (ID: cJYcwzou)

後書き的な物です。
最終的に自分でも何が書きたいのか分からなくなりました。
とにかく言いたいことは言えたのでいいかな?と。
最初の方は暗い話を好んで書いていたのですが『スパイス』から唐突にハッピーエンドになり始めまして・・・
『僕の世界』で何かコレじゃない感が沸々とキタので性に合わずハッピーエンドにしてみました。お気に召せば幸いです。
ただ自分自身人の〝幸せ〟の価値と言うか人の気持ちがよく分からないので書くよりは見る方が性に合っていますね。
今度書く機会があれば次は暗い方向性で宜しくお願い致します。
なのでハッピーエンドの話は多分これで最後だよ。と言う意味でいつもの〝fin〟から〝end〟にしました。
気付いていただけると幸いです。


ここからまったく関係ない話ですが個人的にチョロ松受けが大好物なのですが本能的に十四松もどちらかと言うと受けであって欲しいので基本的には話にあまり出していないような気がします。
個人的にトド十という十四松は固定したCPがあるので極力十四松とトド松はそういった感じでは出さないと思います。
基本雑食なんで出すときは出します。主にトド松は色々キーパーソンになると思うので。
私事ですが速度松大好きなのでこれからもおそチョロ要素バンバン出してく所存ですがそこの辺りは暖かい目で見守り下さい。
宜しくお願いします。

                            2016.1.31.かわの


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