BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
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- 【おそ松さん】糸(おそチョロ)
- 日時: 2016/02/01 21:57
- 名前: かわの (ID: cJYcwzou)
※遅れながらの13話ネタ。地雷ある可能性大。以上苦手な人ブラウザバック(゜ω゜)
いつからだろうね、こんなに貪欲になったのは。
いつからだろうね、こんなに浅ましくなったのは。
いつからだろうね、笑って無いのは。
碧の華は名残惜しそうに散った。そこに咲いている紅い華の存在も知らないで。
目の前には長男が使用したであろう雑誌。
世間的には誇れる内容などではなく、表紙にはセーラー服を着た黒髪の女性が笑っていた。まるで僕を誘うように堂々と部屋の中心に置いてある其れを僕は有効活用する方法を考えた。
コレならきっと兄は僕に振り向いてくれる。
その考えは悪魔のような考えだったかもしれない。
案の定兄は引っかかった。
でも僕に振り向きもせず、あわや兄弟や両親の目の前で辱めた。
それでも少しずつ解れていく糸の主導権を握るのはこの僕だ。
兄さんなんかに譲りはしない。
皆を手に入れるためにはおそ松兄さんが必要なんだ。
兄さんが無意識に放置したであろうその雑誌を僕が自慰行為に使えばソレを目撃した兄さんと秘密が共有できる。
〝二人だけの秘密〟それは男に、しかも童貞にとっては甘美な響きである。
そのコトバに兄さんが揺れ動いている間に僕が兄さんを誘惑して堕ちてくればコッチの勝利だ。
黒く染まるのを只待つだけ。
たまに糸を揺らして誘導すればすぐにコッチに堕ちてくる。
そうすれば皆は全部僕のモノ。
チェスだってどうあがこうが最初にキングを取ってしまえば勝ちだ。
僕は誰にも負けない最強の駒になってみせる。
「バカだねーチョロちゃん」
何を言っているんだコイツは。僕が負ける?そんな訳無いでしょ。
「お前が仕掛けても所詮全部俺の手の上なんだよ。」
淀んだその目は怪しく光り、僕に全てを悟らせた。
「本を仕組んだのも俺。お前が俺を誘惑するようにさせたのも俺。お前の弱み握ったのも俺。分かった?」
嗚呼、そうか。分かったよ。お前はとっくに堕ちてたんだ。僕より先に、まるで僕をあざ笑うように。そうだろ?クソ長男。
「その目、好きだよ。」
うなだれたその先には歪んで見える床があるだけだった。
『一番で居たかった?』
違う。桃色のパーカーを着た男の手を振り払う。
『幸せになりたかった?』
違う。黒く染まった僕の心を見せつける、短パンを履いた男に背を向ける。
『邪魔されたくなかった?』
違う。ボサボサの頭をした男に怒鳴る。
『純粋でいたかった?』
違う。サングラスを持った男を叩く。
『隣に居たかった?』
違う。間抜けな顔をした長男の声から耳を塞ぐ。
『愛されたかった。』
五月蠅い。五月蠅い。五月蠅い。うるさいうるさいうるさいウルサイウルサイウルサイ・・・・
サヨナラ。僕ガアイシタヒト。僕ガアイサレタカッタヒト。
ぎゅうと首を握る手に力を込める。
「死んで。」
そう一言呟いた。
「感情、て・・・きだね・・、チョロ・・・・ちゃん・・・」
苦しそうにしながらも笑うコイツは馬鹿なのか。
「なく・・・・な、よ」
泣いてなんかいない。少し霞む目でソイツをしっかり睨む。
コイツの上に立てることなんて早々ない。馬乗りで、握る両手に力を掛ける。
「あいして、る・・・ちょろまつも、おれを、・・・・・」
「「あいして。」」
二人の声が重なった。お前を愛する資格なんて僕にはありゃしない。
「どっちも無理だよ。愛されることも愛することも僕達には大きすぎたんだ。」
そう言うと僕の手の中で彼は悲しそうに微笑んで事切れた。
嘘吐き。お前なら僕の事くらい倒せた筈なのに。
自分から死ぬなんて馬鹿だよ。
お前も僕も。
兄さんの温もりが残る手に包丁を持ち、僕の胸を一突きに刺した。
手加減はしたから生きかえろよ。
クソ長男。
目の前に広がる光景はまるで地獄絵図で、真っ赤だった。
アイツの胸はアイツが愛してた奴の色で俺の色でもある紅で染まっていた。
なんで俺は生きてるんだ。アイツに首を絞められたはずなのに。そっか、それなら
今からいくよ。チョロ松。
【死の連鎖は終わらない。次は誰の番?】
そう言ったのは紅い眼をした悪魔だった。
悪魔の囁きはヒトを狂わせる。
きっとあの時の考えも悪魔の囁きだ。
【皆さんお手を拝借。この狂った喜劇に盛大なる拍手を。】
こうして悪魔の大好きな喜劇は幕を閉じる。
糸を操っているのは誰だって?
さて、誰でしょう?
悪魔の足下には碧と紅の華がぐしゃりと潰れていた。
fin