BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
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- 【おそ松さん】悪魔と女神(おそチョロ)
- 日時: 2016/03/31 20:57
- 名前: かわの (ID: cJYcwzou)
※おそ松目線。デビめがかも。(゜ω゜)
『悪魔ってな、泣くと魔力を失うんだって。』
俺がそう言うとアイツは興味が無さそうな顔をして下を向いた。
『チョロちゃん、そーゆーの信じないタイプ?』
問いかけるとアイツは泣きそうな顔で、そうかもな と求人誌に顔を埋めた。
なんだよソレ。寂しいじゃねーか。
ある日、チョロ松が寝たまま目を覚まさなくなった。
まあ、珍しいけどそういう病気らしい。
通称〝眠り姫病〟
眠ったまんま起きなくなる病気らしい。
ちなみに今までこの病気でもう一度目が覚めた奴はいない。
「なあ、おいチョロ松。起きろ。レイカのイベントあんぞ。」
何回も何回も黄緑色の服を着たそいつを揺さぶる。
「なあ、なあ、なあってば、起きろよ女神サマ。」
俺はそいつの服に顔を埋めると腕をとって思いっ切りそいつの腕を噛んでやった。
紅い血が滲む。コレでお前は俺のモノ?
お前はもう女神じゃないし女神のときは堕落した最悪な神サマで、でも俺の好きな〝欲望〟を綺麗な身体のまんまため込んでるような奴で、ずっと堕ちても汚れない真っ白な衣を羽織って俺の腕ん中に収まってるハズだっただろうが。
転生してお前と兄弟になれたときはあんなに嬉しかったのにな。
聞こえてないだろうけどもう一回目が覚めたお前に会いたいな。
「・・・なんで二回も俺が同じ思いしなきゃいけねーんだよ。」
俺はチョロ松の手を握った。こんなときも泣けないなんて本当なさけねえ。
寝室でそいつを見つめる。
「そうだ、チョロ松飯食うか?」
返ってくるはずのない返事を数分待ってから立ち上がる。
「今持って来るわ。」
そう言ってから部屋を出ようとするとカサっと音がした。
「手紙・・・」
白い便箋に入ったうす黄緑の手紙。
俺はその場に座り込むと手紙を広げた。
親愛なる 松野おそ松様
この際笑って欲しいくらい突然のことで逆に冷静です。
正直言って書き出しどうしようかスゴい悩みましたが、これでいいかなと思いました。
敬語で気持ち悪いかもしれませんが最期くらいしっかりさせてください。
多分僕はもう目を覚まさないし、もう貴方に会えないけれど体温は感じていたいです。
僕が〝眠り姫病〟にかかると知って貴方に手紙でもと思って書きました。
多分貴方に僕はこの手紙を渡していないと思うので偶然見つけて読んでくれたら嬉しいです。
今更ですけど、僕は貴方の前世を知っています。
貴方が悪魔だったこと。そして何故か男なのに僕は女神だったいうこと。
僕は貴方のせいで堕落して悪魔に成り変わったこと。
最終的に貴方を置いて一人で死んでしまったことも。
貴方が僕の後を追って禁忌を犯して殺されてしまったことも。
全部全部ぜーんぶ知ってます。
でも一番禁忌を犯してしまったのは僕です。
最期に最期に貴方に一つだけ言いたかった
ずっと愛しています。今までも。そしてこれからも。
これは自分の口で言いたかったな。
どうぞ僕を蔑んで下さい。
兄弟を愛してしまった愚か者だと。気持ち悪いと。汚らわしいと。
貴方にそう言って貰えばもうこの世に未練なんてもの置いていきませんから。
どうか貴方が最後に僕を殺して下さい。
きっとそれが僕達の究極の愛だから。
あなたの言葉で僕を殺して下さい。
今流している僕の涙を踏みにじって下さい。
どうかどうかおそ松兄さんは泣かないで。
悪魔は泣くと魔力を失ってしまうから。
誰か人ならざる僕を認めて。
貴方に認めて貰うことを願って 松野チョロ松より
「バカっじゃないの・・・」
何度もチョロ松の頬をつねる。
「殺せるわけねーだろ俺もお前の事が好きなんだぞ。」
遅いんだよ。 そう呟くとチョロ松の唇に自分の唇を重ねる。
「・・・おそ・・松、ばかじゃねー、の・・・・」
一瞬だけチョロ松が目を開けて呟いた。
「おい、おい、チョロ松!」
大きく空に向けてのばされた右手がバタリと床に落ち、静かにアイツは目を閉じた。
「ごめん。ごめんな。お前がずっと好きだ。俺も。ずっとずっと愛してる。認めるから。お願いだから目、あけろよ・・・」
俺は膝から崩れ落ちる。
「俺も、お前と一緒だから、もういっかい目覚ませよ・・・なあ、チョロ松・・・生きろよ・・・・ごめんな女神サマ。こんなだらしのない悪魔でごめんな。許してくれよ・・・」
泣いて泣いて泣いてチョロ松の手を握って大きな声で泣き叫んで、やがてはいつか自分自身が崩壊していく。
「待っててな、女神サマ。俺が生き返らせてやる。」
そう言った悪魔は誰が言うでもなく自ら羽根と、ところどころ紅いツノをはやして暗い暗い新月の夜に黒い黒い魂を求め、空をさまよった。
自分の命が尽きて、朽ち果てるまで。
fin