BL・GL小説 （オリジナルで全年齢対象のみ）
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- Re: 文スレ太宰×芥川 恋薬
- 日時： 2016/04/15 21:54
- 名前： 黒兎 （ID: jhXfiZTU）
コンコン
なんの音だ…
コンコンコンコン
……うるさい…
コンコンコンコンコンコン
「……うぅっ…」
「………太宰さん…失礼します」
黒い外套を身にまとった幼さ残る細身の青年がドアを開け室内へと歩を進めた
部屋の主太宰治は頭から布団にくるまり白い塊となっていた
「太宰さん……朝です…起きてください」
「…あと…１０分……」
「ダメです…時間厳守だと中也さんからの伝言です」
「うー……」
ちょいちょい
布団の隙間から白い包帯を巻いた手が青年に手招きする
「…？」
青年はベッドの傍に寄る
「芥川くん……捕まえた」
片手で芥川と呼ばれた青年の腰を抱きしめる
芥川は無表情でふざけている上司を見下した
「太宰さん早く起きてください後離してください」
「芥川くんが接吻してくれたら起きるよ」
「……寝言は寝ている間に言ってください」
「ちぇー…」
するするっと力なく腰から手が離れる
もぞもぞと布団から上半身を起こし太宰は大きな欠伸をすると背筋を伸ばした
「……太宰さん」
「んー…何…？」
チュッ
頬に微かな感触に驚く太宰
「？！」
「先…行ってます」
そう告げると芥川はその場を足早に立ち去った
残された太宰はしばらくポカーンとしていた
- Re: Re: 文スレ太宰×芥川 恋薬 ( No.6 )
- 日時： 2016/04/18 11:00
- 名前： 黒兎 （ID: jhXfiZTU）
(お詫びと訂正)
観覧してくださいまして誠にありがとうございます
短編 置手紙を観覧された方はご存知だと思いますが初めての方へ
当方の不注意により編集時のパスワードが合わず編集することが出来ません。゜(゜＾＾゜)゜。
故に誤字脱字多々あり読みづらくてなってしまって申し訳ありません
誤字
まず１頁目太宰さんの行動比喩
×脱兎のごっき
〇脱兎の如き
ごっきって何？orzなまえ？名前なの？
続きまして４頁目太宰さんと僕くんとの会話
×「私では服用かい？」
〇「私では不服かい？」
太宰さん服用したら僕くん死んじゃう
っか違うお口に服用したらＲ18になるorz
恐るべし予測変換機能……萌え荒ぶる手元を脳が制御しきれない＼(^o^)／
当方の異能力「貴腐人」です
萌えを自身で制御できない能力です
間違いないです
極力誤字脱字を減らせるよう努力します
のでこの後も最後まで楽しんでいただければ幸いです。
- Re: Re: 文スレ太宰×芥川 恋薬 ( No.7 )
- 日時： 2016/04/24 23:20
- 名前： 黒兎 （ID: UruhQZnK）
◇
太宰は食堂で注文を済ませると首領が物珍しさから英吉利から大量に密輸した『サービスワゴン』と呼ばれる鉄製の装飾がされた4輪手押し車に料理を乗せカラカラと車輪の音と共に食堂を後にした
コンコン
「芥川君入るよ」
太宰は部下の返事を待たずに部屋の内に入る
初めて入った部下の部屋は小さな棚と椅子など必要最低限な家具しか置かれておらず自分の自室に比べたらなんとも殺風景だったが芥川らしいと言えばらしかった
ベッドの付近にサービスワゴンを止め
布団に包まる部屋の主を覗き見る
頬はほんのり赤く寝苦しいのか眉間に少し皺を寄せ額は汗ばんでいた
「さて……どうしたものか……」
今すぐ叩き起して食事っともいかずどうすべきか頭を捻る太宰
他者を看病したことなど生まれてからした事がないのだ
「んー……嗚呼そうだ！冷やすもの…は…？」
芥川の部屋を見回すが冷やせそうな物などなく太宰は一旦自室に戻った
◇
しばらくして太宰は手拭いと氷水が入った水桶を持って芥川の部屋へ赴いた
相変わらず眉間に皺を寄せる部屋の主にクスリと笑った
棚に水桶を置き手拭いを絞り芥川の額に乗せてやると見る見るうちに眉間の皺がなくなった
そんな様子を見ながら椅子に腰掛け黒髪を撫でてやる
すると見た目に反し柔らかな髪の感触が心地いい
「早く起きないと……私が退屈で仕方ないよ…芥川君…」と呟くもその表情は普段よりどこか穏やかな微笑みだった
- Re: Re: 文スレ太宰×芥川 恋薬 ( No.8 )
- 日時： 2016/04/26 01:19
- 名前： 黒兎 （ID: UruhQZnK）
◇
立秋の暖かな日差しが心地いい
芥川が眠るベッドの脇に私がいる
誰にも邪魔されずただ時だけが過ぎていく
先の死を夢見る太宰だがこの空間でそんな事を思える事が何よりも幸福に思えた
しかしそれと共に芥川への複雑な想いが幾つも浮かび泡の様に消えていく
芥川君はどうしようもなく莫迦な子だなぁ
私なんぞを師と仰ぎ恋慕に似た感情を抱く哀れな弟子
その想いを知った上で知らぬフリをする卑怯な私
しかし……隠しきれているだろうか？
でもまだ大丈夫だろう……なにせこの子は私に似て莫迦だから
その想い答えが出ていたとしても決して答えを出せぬ狡い私
私は恋慕を抱く事も抱かれる事も許されぬただの人間失格なのだから…
それは太宰の異能力名であり自身への皮肉でもあった
太宰1人で悶々としていると芥川がうっすらと瞼を開く
- Re: Re: 文スレ太宰×芥川 恋薬 ( No.9 )
- 日時： 2016/05/05 11:57
- 名前： 黒兎 （ID: Oh9/3OA.）
「起こしてしまったかい？」
「……ん？…だ…ざいさん……」
「起きれるかい？」
「…はぃ……」
「食欲は？」
「少し…ケホッ」
小さく咳き込む芥川の背中を軽く摩った後サービスワゴンから1人用の土鍋や香物が乗ったお盆を芥川に運び自分の分を椅子に座り膝上に置く
「さぁ食べようか」
「太宰さん」
「ん？」
「それは…？」
じーっっと芥川の目線が手にした俵型の深緑色の物に注がれた
「これは若生昆布の握り飯たよ」
「わかおい？」
「春物の柔い昆布を塩漬けにしたものたよ」
「そうですか」
「気になるなら食べてみる」
差し出された握り飯をじーっと見やりなにを思ったかその握り飯を太宰の手からパクリっと1口食べた
丸々一つを手渡したつもりだったが予想打にしない芥川の行動に太宰は驚いた
「……君は……」
「？？？……」
「いや何でもない……美味しいかい？」
もぐもぐと咀嚼しながら首を傾げる芥川に悪気はなかったようでその姿を見ていたら(この子は莫迦だった)っと心底どうでもよくなった太宰に問われこくこくと上下に頷いた芥川を確認すると太宰は芥川が一口食べた握り飯を口にした
昆布が弾けるとほのかに磯の香りと程よい塩っけが舌の上を駆け抜け自ずと懐かしさが込み上げてくる
「君の白粥は少し冷めてしまったかもしれないな作り直してもらう？」
「……いえこのままで」
白粥を蓮華ですくい口へと運ぶ
人肌程の熱さ故に食べやすく米本来のほのかな甘みや塩加減など芥川好みだったようだ
「……おいしいです」
「そうなら良かった」
「太宰さん」
「？」
「ありがとうございます」
太宰は久々に目を丸くして驚愕した
普段から無表情で可愛げのないこの部下の口元が一瞬微笑んだのだ
しかし驚いていた間にいつもの無表情に戻ってしまい驚く太宰を訝しむ芥川の光を通さぬ程深く澄みきった漆黒のガラス玉が太宰を映している
「太宰さん？」
「いや……何でもない」
「？…そうですか」
異性ならともかく同性の表情や真っ直ぐな瞳を一瞬でも美しいなんて思ってしまった私はやはりどうかしているのかもしれない…そんな思いを隠しまた握り飯を口にした
- Re: Re: 文スレ太宰×芥川 恋薬 ( No.10 )
- 日時： 2016/05/05 15:59
- 名前： 黒兎 （ID: Oh9/3OA.）
◇
しばらく会話を交えながら食事を済ませ
薬と水を芥川に差し出すが
「………」
「どーしたの？」
「…………」
無言で薬を見つめる芥川に違和感を覚える太宰はある推測を口にする
「………もしかして君……」
「粉薬飲めないの？」
「!…否………飲めま……す…」
図星をつかれたようで薬が飲めず目を泳がす芥川が面白くて太宰は目に涙が浮かぶ程腹を抱えて笑った
「………」
無言でムッとしている芥川に少々笑い過ぎたかと思ったが普段見れぬ部下の意外な一面に喜びすらあった
「ごめんごめん」
「………別にいいです」
プイっとそっぽを向く芥川に太宰はある行動にでる
「芥川君」
「……？」
太宰に呼ばれそちらに向き変えると
「ふぅ？！」
芥川の両頬が太宰の左手により押され口が閉じられなくなった
「だ…はいはん…なにぃ…ほ」
「んー君に薬を飲ますだけだよ」
ニコニコと意地悪く笑う太宰の右手には既に封の切られた粉薬の袋
じたばたと暴れたらようとする芥川の耳元で「飲めたら褒美を上げる」っと優しく囁くと芥川の動きがピタリと止まる
素直に従う芥川を面白く思いつつ粉薬を芥川の口に注ぐ
苦さと独特な匂いが口の中に広がり顔をしかめる芥川をよそに楽しそうにコップの水を1口飲む太宰
「……？」
ゆっくりと太宰の包帯だらけの整った顔が近づく
ちゅっ
「！！？」
接吻されてる事に気づくまで数秒かかったが後に口移しで注がれる水に驚く芥川
「んんっ…ごくん…ごくん…」
苦味が喉を通り水がなくなると太宰の顔が離れていく
口端から零れる水がやけに艶めかしく思い太宰は優しく親指の腹で拭ってやる
「はいよく飲めました」
「っっっっ」
しばらく口をぱくぱくさせていた芥川だか徐々に火照り赤らむ顔を見られまいと布団に押し付けるも耳まで赤らんでいたのを太宰は見逃さない
「耳まで赤いよ？」っと囁かれると芥川は慌てて両手で耳を隠すも太宰により防がれる
「芥川くん初めてだったの？」
「っっっ」
今どき生娘ですらしなさそうなうぶな反応に太宰の胸が弾む
先程まで眠っていた彼の事を憂いていたのがまるで嘘のようだと太宰本人も驚いたが先ほどの微笑みも自分に向けられた真っ直ぐな眼差しも想いもこの恥じらう姿も私だけに向け晒して欲しいと思うくらいに部下である芥川に執着していた事に初めて自覚した
「私を見なさい芥川君」
「………」
イヤイヤと横に頭をふり顔を見せようとしない芥川に太宰はこう告げる
「褒美がいらぬならこの手を離すよ」
「…!」
褒美の言葉に反応し戸惑う芥川をニコニコと観察し尚楽しそうに語る太宰
「まぁいらぬなら仕方ない私は後片付けがある故に失礼させてもらうかな…」
「!っ…」
芥川の両手を放すと椅子から立ち上がりその場を離れ去ろうとする太宰の袖口を咄嗟に掴む芥川は必死だった
「なんだい？」
「あっ………」
引き止めたはいいもののなにを伝えたらいいのか分からず俯きつつ目を戸惑わせて居る芥川の姿に嗜虐心がくすぐられる
「言わないと分からないよ？」
「……です」
「ん？聞こえない」
「…っ……」
「もう１回」
「……ほしい……です」
「ん?聞き取れないなぁー何が欲しいの？」
「っっっ……太宰さん…が…欲しい……です」
まさかの回答に思わずニヤける太宰だがいつもの調子でくるりと向き返り
「んーでも私は物ではないからあげれないかなー…でも君は私の部下だ…つまり君は私のモノだよ芥川君」っと告げにこりと微笑むと芥川の顔がまた赤くなる
「さっきの続きするかい？」
「………はぃ」
戸惑いと期待の入り交じる眼差しを向ける芥川と近い余白に座り俯いていた顎を優しく持ち上げると上目がちにこちらを覗う芥川と目が合う
白い頬を赤らめ恥じらう華奢なその姿は黒髪と相まって女性とは異なる独特な背徳感すら漂う色気が漂う
鼓動が高鳴り高陽するのを隠し余裕釈然を装い太宰はなるべく優しく頬に触れ丁寧に柔らかな唇に唇を重ねる
鳥の啄みの様に数度口付け離れると何処か切なそうな顔でこちらを見る芥川に全てを奪ってしまいたい衝動に駆られるが無理やり理性で押し殺した
「今日はここまで」
「………」
「もしかして？まだ足らないの？」
「…っ…いえ………」
「龍之介は欲張りだな」
「！！！………」
名前を呼ばれ見るからに狼狽し翻弄される芥川が愛しくて仕方がない
「病人に手を出す訳にもいかないだろ？」と囁きくすくすと笑いながら黒髪を撫でる太宰は普段と異なり慈しみる様な柔和な顔をしていた
「あぁ！それとも君は先のように強引な方が好みかい？」
「っっっ………違います」
この手の話が苦手なのか戸惑い恥じらう芥川をからかい微笑む
「………太宰さん」
「ん？」
「もう１度……最後に……」
「全く馬鹿な子だねぇ私の話聞いてた？」
「？」
「無自覚に誘うのも程があるよ？芥川君」
無意識に煽る芥川に苦笑すると先ほどと同じ様に触れるだけの口づけを……
コンコン
邪魔するノック音が静寂をかき消し1人の男が部屋に入る
「芥川入る……ぞ……」
「「！」」
「…資料届けにって……………太宰……貴様………何してる？」
汚物を見下ろす様な蔑んだ目線を放つ中也にバツが悪そうに小さく舌打ちをする太宰
「いやぁ…別にぃ……」
「貴様今……舌打ちしただろ…」
「私が舌打ちなんてするわけないだろ？中也仕事のし過ぎで耳までおかしくなったの？」
「貴様……誰のせいで仕事溜まってると思ってんだ！！！…この…変態自殺願望マニアがぁぁあぁぁ」
怒号と共に青筋を顳かみに浮き上がらせながら激高する中也は資料を床に投げつけると扉を壊さんばかりの勢いで閉め立ち去った
「あーぁ邪魔が入って興醒めした……芥川君また今度ねぇ」
「…太宰…さん」
「ん」
「仕事してください……ケホッ…ケホッ」
「さっきの今で君までそれを私に言う？」
仕事真面目な部下に穴が開くほどじーっと見つめられはぁーっとため息を一つ零すと嫌々とばかりに「わかったよ」っと呟き
床投げつけられた資料を軽く叩き棚上に置き名残惜しそうに芥川の髪を撫でる額に軽く口づける
「安静にしてなさいまた後で様子見に来るから」
「……はい…太宰さんもお仕事」
「私は君の上司だよ？仕事は嫌いだがやる事はやるよ」
「真面目な太宰さん……見たことないです」
「私はいつも真面目だよ」
「…………」
「それじゃあねぇ」
サービスワゴンを押しながら部屋を出た太宰がこの後大量の仕事で徹夜した事を誰も知るよしもなかった