BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

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恋してはいけないひと
日時: 2016/07/22 00:26
名前: 去葉 (ID: Y2CSopoV)

初めましての方は初めまして、去葉(さりは)です。
大人小説カキコの方でも、同じ名前で二次創作を書いています。

小説カキコ全般で大半を占めているような台詞主体の作風ではなく文章主体のもので、描写も多少くどいところがありますがご容赦ください。

不当な当てこすりや誹謗中傷等はご遠慮ください。

当スレッドは皆様の求めているものではなく、私の書きたいものを書くところです。ですので、設定も、文中で明らかにしていくスタイルをとりますが悪しからず。

※注意※
当スレッドのCPはBLで、おじショタです。いや、ショタでは…ない……?
あと、完全オリジナルです。

恋してはいけないひと ( No.1 )
日時: 2016/07/22 01:37
名前: 去葉 (ID: Y2CSopoV)

「瞬、お前、何やってんだ。馬鹿じゃねえの」

そう言ってその人はわらう。

その笑顔に加えて、短く整えられた顎髭や、黒く焼けた肌、男らしく太い腕、すべてが瞬の胸を締め付ける。

「へへ。そうですかね」
「おう。まあなんもなかったから笑い事だけど、下手したら怪我してたぞ。もう足とられんなよ」

逞しい手が瞬の頭にぽんと載せられ、離れていく。

「…はい」

瞬は、泥のついたビブスの裾を少し握ると、地面のぬかるんだところから、水の掃けたところへとスパイクで足跡を残しながら走った。


「瞬、大丈夫だったかぁ?」

笑いを含んだ声で誠真が言う。
瞬は無理矢理に笑顔をつくって、「うるせー、せーま、うるせーま」という瞬達2年B組で若干流行っている誠真のギャグを返した。
「にしてもよぉ、浅橋先生…三笠先生って、なんか、お前に甘くない?」
「はぁ?そんなわけねえだろ」

脳内会議ですでに議題に上がり、解決した問題だ。正直掘り返さないでほしい。
そんな瞬の願いは虚しく、誠真の話は続く。
「やっぱサッカー部期待の星だからかぁ?くぅ〜羨ましい!!」
「いや期待の星じゃねえし…」

浅橋の広い背中をつい目で追う。

2 ( No.2 )
日時: 2016/07/22 22:52
名前: 去葉 (ID: Y2CSopoV)

「上がれ上がれー!」
「ボール追え!!」
「相手に取らせんなー!」

瞬の中学のサッカー部のAチーム____レギュラーチームは、週2回程度、部活終わりに試合形式のミニゲームをやる。
10分ほどで終わる簡単なもので、皆半分本気半分遊びくらいの気持ちでやっている。瞬だってそうだ。

しかし今日は______

「瞬!シュート…っ、あ!ごめ____」
「えっ?」

「瞬!あぶねえ!!」

浅橋が大声で瞬の名を呼ぶ。
瞬が思わずそちらを向くと、「馬鹿、うしろ!!」と浅橋が叫ぶ。

「え、せんせ____へぶッッ」

泥にまみれたボールが瞬の後頭部に容赦なく直撃する。
_____ああ、これで前に倒れでもしたら、俺泥人形じゃん。
そんなふざけたことを考えていたが、やがて意識が混濁してくる。たった一秒が何時間にも感じられる。
じわり、瞬の口の中に鉄の味が広がる。どうやら舌を噛んだらしい。

思考すらもできなくなり、近づく地面と対照的に意識が遠のいていく。

耳の奥に、微かに、浅橋の必死な声が届いた。次いで、体が誰かに抱き留められて、瞬の意識は途切れた。

3 ( No.3 )
日時: 2016/07/24 00:35
名前: 去葉 (ID: Y2CSopoV)

前髪を、撫でられている。

瞬が一番最初に知覚したのはそのことだった。

ゆっくり、ゆっくりと瞼を持ち上げていく。
思いのほか固くて重いサッカーボールに勢いよく後頭部を殴打された代償か、頭の奥がずきりと痛んだ。

「…お、瞬、起きたか。気分どうだ」
「み、かさ……っ先生、」
額の上の心地よい重みは浅橋の手で、それを理解した途端瞬の心臓はどきりと飛び跳ねた。
「あ、頭、洗ったからな。服もジャージに換えといたから。お前2時間もずっと寝てたんだぞ、もう7時だ」
確かに後頭部には泥がこびり付いていないし、泥まみれのビブスも身につけていない。今日の_____火曜日の部活は5時までだし、保健室内の時計も7時を指している。
瞬はそこまで確認すると、ひとつ浅橋に問うた。
「三笠先生はどうして此処に?」
ぱっ、と掌が離れてゆく。名残惜しさが胸をくすぐる。
「お前のことずっとみてたに決まってんだろ。阿呆か」
失笑とともに吐き出された言葉に、瞬の胸は性懲りもなくときめく。
と同時に、冷たい針がすっと胸の奥の奥を刺す。

_______この人に恋をしても、永遠に報われることなど__________

4 ( No.4 )
日時: 2016/07/25 00:23
名前: 去葉 (ID: Y2CSopoV)

「じゃあ、支度しろ。送ってくから」
「はい。………、はぁ?」
オクッテクカラ。瞬はその言葉を瞬時に理解できず、思わず無遠慮に訊き返した。
「何がはぁだ、送っていくって言ってんだよ。今朝小雨だったからチャリじゃねえだろ?乗せてくから」
「えっ、あ、せんせ、あにゅっ」
慌てた瞬は思わず舌を噛む。そのとき、瞬は、先ほど強く舌を噛んで出血したことを思い出した。
「…あの、くち」
血は止まっているが、若干変な味がしないでもない。
「ああ、薬あったから塗っといたぞ」
「は、ぇ!?」
「てか早くしろよ、俺が怒られんだよ」
衝撃の事実に驚く暇も瞬には与えず、浅橋は急かす。
いつの間にか、針の痛みがなくなっていた。

夜の閑静な住宅街を、ふたりを乗せた車は走る。
「……三笠先生」
「ん? なに」
瞬は、シートベルトをぎゅっと握る。だめだ、こんなこときいちゃ。
わかっている、わかっているのに、想いが、気持ちがあふれそうで止まりそうにない。
でも、とめなくちゃ。

「…なんでも、ないです」

心が、一粒涙を流した気がした。

「……はあ?」


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