BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
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- 【大正松】紫の御嬢様【カラ一】
- 日時: 2016/09/15 00:44
- 名前: わぬか (ID: .SXp3Aa2)
初めまして、わぬかと申します。
ここでは「おそ松さん」の長編BL小説を書いていこうと思います。
この度は派生ワールドである「大正松」を題材にしたいと思っております。
一応調べたりはしているのですが、基本無知な奴の書く小説ですので
「ん?大正にこんなんあるか?」という点があるかと思います。
そういうのは、こう、広い心で見逃して頂けると幸いです(*^^*)
カラ一がメインです。
6つ子やトト子ちゃんも皆出てきますが、
他人設定だったり特殊設定があったりと
公式と設定が違うキャラが多いのでご注意下さい。
荒しは御遠慮下さい。
コメントを頂けたりとかしたら、嬉しいなぁ、とか...(\\\・・)
更新は気まぐれのんびりさんです。ごめんなさい。
至らぬ点も多々あるかと思いますが、頑張って書いていきたいと思います。
これから、どうぞ、よろしくお願い致します!
- Re: 【大正松】紫の御嬢様【カラ一】 ( No.1 )
- 日時: 2016/09/16 00:05
- 名前: わぬか (ID: .SXp3Aa2)
【序章:大キナ桜ノ木ノ下デ】
春。うららかな風が木々を揺らす。
はらはらと舞う桜の花びらの下、
大勢の人々が集うのは、今日入學式の日を迎えた赤塚學院だ。
赤塚學院は江戸の頃より現在の大正まで伝わる學校だ。
創立者の名は、松野松造。
赤塚學院という名は、創立の際、深く貢献した人物に敬意を表し、
その人物の名字「赤塚」からとったのだと伝えられる。
松造は、ここらでは有名な名家、松野家の者であった。
松野家は子孫を残し続け、今日の日まで、その血を絶やさずにいる。
今日からこの赤塚學院の生徒となる松野唐松も、松野家の一人である。
彼は赤塚學院に意地でも入學するべく、1年間、苦手な勉学に励んできた。
おかげで空っぽだった彼の頭にも、
そこそこの知識は詰まったうえで、今日を迎えることができた。
松野家の一人、とは言っても唐松は本家とは遠い立場だった。
唐松は、現在の当主の弟の妻の兄の息子にあたる。つまり、結構遠い。
松野の性を持つものの、彼の地位はそれほど高くもなかった。
「庶民より少々裕福な家庭」くらいのものだ。
學校の前は、入學式を待つ人々で溢れていた。
赤塚學院は天才ばかり、という訳ではないが、
決して馬鹿が通れる學校ではない。
ここにいる新入生達は皆それなりの脳を持っているということだ。
そんな状況の中、唐松は居心地の悪さを感じていた。
(賢そうな奴ばかりだな...知らない奴ばかりで落ち着かない。
ああ、もう...なんか、こう、馬鹿みたいな奴いないのだろうか。)
繰り返すが、唐松はお世辞にも頭が良いとは言えない。空っぽなのだ。
よく言えば純粋、悪く言えば阿呆、といったところか。
そんな唐松が秀才達に囲まれ、落ち着かないというのも、無理のない話だ。
(もう帰りたい...)
本末転倒なことを考え始めた唐松の背中を、誰かがどん、と押した。
唐松の願いが通じたのか、
馬鹿がやって来た。
- Re: 【大正松】紫の御嬢様【カラ一】 ( No.2 )
- 日時: 2016/09/15 17:42
- 名前: わぬか (ID: .SXp3Aa2)
「よーう唐松ぅ!」
おちゃらけた声でそう言った青年も、赤塚學院の入學正だ。
赤の着物がしっくりくる、明るい青年だった。
唐松は相当驚いたようで、「あひっ!?」と声をひっくり返した。
「...なんだ、遅松か」
「おーよ、何ぼーっとしてんだよお前。」
青年の名は、松野遅松。
彼もまた、松野家の人間だ。しかし唐松同様、本家からは遠い。
遅松は現在の当主の弟の妻の兄の息子にあたる。
分かりやすく言うと、唐松の父の兄の息子。
つまり遅松と唐松は従兄弟なのだ。
「なに、緊張してんの?」
「...」
「ハハハ、静かな唐松とか違和感しかねーから!」
「遅松は相変わらず元気だな、お前、浮きまくりだぞ。」
二人の周辺にいるのは賢そうなオーラを出す者ばかり。
又、唐松のように緊張している者も多いのか、顔が強ばっている者も多い。
そんな中、いつもと変わらずへらへらしている遅松は確かに浮いていた。
「目立ってる、って誉めてくれてんの?」
「何故そうなる。」
「可愛いコ見てないかなあ〜」
「よせ遅松。」
「あっ、見て唐松!あの子おっぱ」
いでかい、と言ってしまう前に唐松は遅松の口を手で塞いだ。
ぐえっ、と遅松は鵜飼の鴨のような声を出す。
「ん〜?ここが何処かわかってるのかおそまぁ〜つ?
言葉を選べ、態度を正せ、アンダースタン?」
「...っぷは!くるしっ!この怪力が!」
遅松は怒った顔で唐松にそう言い返したのち、にかっと笑った。
「やっぱ唐松はそうじゃねーと。面白くないよぉ」
唐松ははっとした。
さっきまで強ばっていた自らの顔が緩んでいることに気がついたのだ。
やはり自分は根本から優等生タイプには向かないのだと痛感する。
こんな場所でも変わらず馬鹿なおそ松に、落ち着いてしまう自分がいて、
唐松は自らを嘲笑した。
「...ん?」
人々の流れが変わった。
皆一斉に同じ方向へ歩き出したのだ。
流れのままに、2人もそちらへ歩き出す。
「唐松、あっちってなんだっけ?」
「体育館じゃないか?」
「あー、じゃあそろそろ入學式ってこと?」
「おそらくな。」
2人は体育館に向け、一歩一歩を、踏みしめる。
これから始まる、學校生活に、不安と期待を抱きながら。
ここで待っている出逢いが、人生をも変えてくれる。
そんな気さえしていた。
嗚呼、受付の声が聞こえる。
「學級ごとに受付をお願いしまーす!」
入學式、もとい、2人がこの學校の生徒になる時が、
刻一刻と迫っているのだ。
刻一刻と...
「...ん?遅松...」
「なに」
「學級...って、なんだ?」
「え」
2人はひきつった笑顔で、顔を見合わせた。
再び受付の方から甲高い声が聞こえる。
「學級分けの方は、校門入って右にて、貼り出しておりまーす」
ぬあっ...!
そんなこの世の全てに絶望したような声を出したのは
遅松だったか唐松だったか。はたまた2人ともか。
考える間もなく、2人は来た道を逆走し始めた。
受付に向かう人々の流れに逆らい、全力疾走する。
似ていないように見えても、2人は従兄弟である。
2人は心の中で、同じことを叫んでいた。
(見てねぇえーーーーーー!!!)
- Re: 【大正松】紫の御嬢様【カラ一】 ( No.3 )
- 日時: 2016/09/15 23:46
- 名前: わぬか (ID: .SXp3Aa2)
赤塚學院は初等部、中等部、高等部からなる小中高一貫校である。
初等部から入學している者はエスカレーター式で高等部まではいけるのだが
先程も述べたように、赤塚學院は馬鹿が入れる所ではない。
成績が奮わぬ者は、次の學部への入學が許されない。
なので初等部、中等部までは赤塚だったけど
今は違う學校だという學生もと多い。
逆に初等部、中等部までは他の學校だったが、今は赤塚という學生もいる。
赤塚學院では三つの學部全てに入試が設けられている。
他學校の者でも、それに受かれば赤塚學院に入學できる。
入學を許されなかった者の数に応じ、
毎年定員に多少の誤差はあるのだが。
遅松と唐松は、後者の中學までは他の學校の生徒であった。
彼らも名家、松野家とはいっても本家からは遠い。
幼い頃から庶民と変わらぬ學校に通い、庶民と変わらぬ遊びをし、
庶民と変わらぬ会話をし、生きてきたのだ。
しかし、されど松野家であることに変わりはない。
高校くらいは良い所に、と二人の両親は
二人を赤塚學院に入學させることにした。
勉学がとりわけ苦手な二人の受験奮闘気は、またの機会に話そう。
今日は初等部、中等部、高等部全て、
それぞれの校舎にて入學式を行っている。
高等部の所有する体育館でも、赤塚學院高等部の入學式が行われていた。
新入生は皆、ぴんと背筋を伸ばし、
かしこまって前に立つ者の話を聞いている。
「...であり、我々はこの學校で、勉学だけでなく...」
人との関わり方だの思いやる心だのも学びたい、と
これまたベタなことを話すのは、新入生代表の生徒だ。
皆かしこまった顔こそしているが、内心、
學長や理事長の長ったらしい話に疲れ、うんざりしているのだ。
そんな中、式のトリとして挨拶をしなければならないその生徒には
同情を覚えるが、彼はそんなのお構いなしとばかりに
はきはきと、挨拶を述べている。
緑の着物に丸眼鏡が印象的な彼も、松野家の人間である。
しかし彼は遅松らとは違い、「松野家」として優遇されていた。
なぜなら、彼は当主の弟の息子。つまり、当主の甥にあたるのだ。
家も「ちょっと裕福」なんてものではない豪邸だ。
名は、松野ちょろ松。
松野家なので、当然遅松、唐松とも親戚である。
三人とも同い年で、家も近いことら、幼い頃からよく遊ぶ仲だ。
ちょろ松は初等部の頃から赤塚學院のため、學校こそ違ったものの、
三人は仲がよかった。その関係は現在まで続いており、ちょろ松は先程
入學式の前、汗だくになった遅松と唐松を見て
「お前らほんっとバカだよな」
と呆れたように吐き捨てたばかりだ。
「いやはやちょろ松や、これには深い訳があってだね」
「なに、遅松またなんか騒ぎ起こしたの?」
「はあ!?ちげーし!このビンぞこ眼鏡ライジング!!」
「ビンぞこ眼鏡ライジングって誰だよ!!」
と、ちょろ松はほんの40分程前まで遅松と
そんな言い合いをしていたとは思えない程の落ち着きを見せていた。
「新入生代表、松野ちょろ松。」
そう言い終わると、ちょろ松は深々のお辞儀をした。
体育館に拍手が響く。
ちょろ松は涼しげな表情を変えることなく、壇上から下りた。
「以上を持ちまして、赤塚學院高等部入學式を閉式致します。」
學長のその言葉を合図に、張りつめていた体育館の空気がどっと緩む。
やっと終わったー、疲れたー、という声がそこかしこから聞こえる。
「やっと終わったな...」
唐松は苦笑いをしながら隣に座るおそ松に声をかける。
二人とも學級が同じだったのだ。
「いやー、疲れたぁ。學長話長すぎっしょ。」
「ほんとな...理事長も負けず劣らずだったがな。」
「ちょろ松もだろ〜...この後なんだっけ、教室集合?」
「ああ、確か。」
遅松は嫌そうに顔をしかめた。
「めんどくせぇ〜...」
「しょうがないだろ、ほら早く行くぞ。」
「あー...」
「レッツゴー、遅松。」
唐松に背中を押され、遅松は嫌々移動を始めた。
何歩か歩いてから、遅松はふと振り向く。
「...気になってたんだけどさぁ、お前のその言葉の節々に入る英語何なの」
その問いに、唐松は得意気に答えた。
「俺、異国の言語について深く学んでみたいんだよ。」
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