BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

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ヴィク勇 行き詰まったら書く短編 たまに死ネタグロ有り
日時: 2017/02/08 23:36
名前: 五月雨 (ID: ZMpE7sfz)

※死ネタ、グロ表現
勇利くんがヴィクトルを失ったら

飛行機の事故だった。ロシア語を覚えたての僕では彼の場所がわからなくてユリオにすがりつくように走った。彼ののった飛行機が事故で落ちたという。乗客は全員死亡が確認されたらしいが、そんなこと関係ない。自分の目で確かめないと気がすまない。今日は彼が僕の元に帰ってくる日だったのに、家であなたを待っていたのにどうして僕があなたを迎えにいってるの。受付に名前を出して連れていかれたところにはあなたがいた。白いシーツを顔より下に被せられて、顔はいつもの眠っている時の顔だった。けれどシーツを捲って出てきたあなたの体は悲惨なことになっていた。
皮膚は赤黒く変色していてあの雪みたいに透き通った肌は無くなっていた。所々裂けて骨や肉や彼を構成していた繊維なんかが見える。着ている服もこびりついた血が固まって茶色くなっていた。お気に入りだと言っていた淡い水色のロングコートが台無しだ。…そして何より、あの美しいスケートを滑った足が、千切れていた。片足は完全に千切れていて、太ももの下に置かれているだけ。もう片方の足はあらぬ方向にねじ曲がっていて、そっと触れると恐ろしいほど冷たかった。
「う、え、……あ………?」
絶句して震えているユリオなんて目に入らなかった。ロシアの冬なんかよりよっぽど寒い彼の体にとりすがって泣きながら喚き散らした。
「ねえヴィクトル、ヴィーチャ。嘘でしょ?嘘って言ってよ、全部いつものスケールのでかすぎるドッキリでしょ?この前の屋上から飛び降りてくるのすごかったね?でもこれは洒落にならないよ、いくら僕でも怒るよ?ねぇ、聞いてるの?返事してよ、僕が無視すると怒るんだから無視しないでよねえねえねえねえ、起きて、寝てる場合じゃないよ今起きないと一生口聞かないからねうそうそうそそんなことしないから起きて起きて起きてねぇねぇねぇ起きて、起きてよ…」

その日、勝生勇利は愛する人を失った。

「ねぇ、どうしてヴィーチャは帰ってこれないの?」
「…」
「帰ってくるって言ってたから僕空港まで迎えにいったのに」
「…」
「何の連絡もないし、ひどいなぁ」
ユリオは目の前でベッドに横たわりながらぶつぶつと何かを呟くかつてのライバルを、リンクメイトを見つめた。
あの日の記憶をこいつはすっかり忘れている。
愛する人を失った衝撃で三日三晩寝込んだ後のこいつに会うのが恐ろしくて恐々顔を見ると、こいつは言い放ったのだ。
ーーーーヴィクトルは?
こいつはすっかりあの日の記憶を忘れている。
ヴィクトルは死んだことを伝えても冗談扱い。しつこく言うと怒る。言って良いことと悪いことがあると。
当然精神病院行き、スケートも休養。
………それがもう、6年前。
いい加減こいつもわかっているのではないのだろうか。最早この病院に見舞いに来るのはハセツの奴らと俺だけなのに気づいているのではないのだろうか。
正気を取り戻さない相手に対して募る苛立ちは封じ込める位の大人にはなった。けれどやるせなさはどうしたら良いのだろう。
深いため息を心の中で吐いて、今日も言う。
「あいつは暫く帰ってこれないんだよ。連絡も出来ない環境にいるんだだって何度言えばわかンだおまえは」
歪んだ、狂ったこいつを、俺は捨てられないでいる。

Re: ヴィク勇 ※死ネタ、グロ表現注意 行き詰まったら書く短編 ( No.1 )
日時: 2017/02/05 22:04
名前: 五月雨 (ID: 7pjyJRwL)

題名通りです。
捏造満載のやつが行き詰まったら更新されます
死ネタ書くの大好きなのとヴィクトルとか勇利くんが痛がってるの見るの好きなのでつまり変態。年齢制限は入らないようにしてます。

Re: ヴィク勇 ※死ネタ、グロ表現注意 行き詰まったら書く短編 ( No.2 )
日時: 2017/02/08 23:35
名前: 五月雨 (ID: ZMpE7sfz)

ヴィクトルが勇利君を溺愛したいのにさせてもらえないから拗ねて愚痴ってる話

サンクトペテルブルクは寒い。特に夜中の冷え込みは厳しいし、日本と違って治安も悪く、出歩くのはあまり褒められたことでは無いが、それもこれも同居に首を振らない勇利の性だ。だから俺が勇利の家に出向かないといけないんじゃいか。本日も自分勝手な言い分を語ったたった一人の弟子で婚約者(のはずだ)を思い浮かべる。軽く憤りながら家に帰り、マッカチンをもふもふしながら考える。わかった、なら一つ考えてみよう。どうして勝生勇利は俺の話を聞いてくれないのか。
じゃあまず勇利を構成している物の成分をパーセンテージにしてみよう。スケートが65%俺が20%食欲とか睡眠欲が10%あと5%は少ない友人関係なんじゃないのかな。こんなに俺の割合が多い(はず)なのになんで拒否するのかな。じゃあ大半を占めているスケートを失ったらどうなるんだろう。彼に何が残るんだろうね。こんなにこの俺が愛してるのにいまだにそれを気まぐれみたいに…あるいはスケートに関してだけだと思っているあの鈍い彼に、何が残る?その仮定でいくとスケートをなくしたら俺もなくなるから85%も失うことになる。そしたらどうするんだろう。
自分の存在が勝生勇利のなかで大きな存在だというのは分かるのにどうして彼は俺の中の勝生勇利の大きさを否定するのだろう。さっき思い付いたようにかけられた言葉を思い出す。
"僕のこと、そんなに気にかけなくて良いんだよ?"
聞き返す自分の声が掠れていたのに気づかれなかったのは良かったのかな。相変わらず自分のことを卑下する癖のある彼はすらすらと淀みなく語った。
"ヴィクトルだって、僕にかかりきってたら疲れるでしょ?僕は一人で大丈夫だから家に帰りなよ。この時間に帰るのは寒いだろうし、危ないしさ。"
同じ家に帰りたいと何度言えば彼は理解するのだろうか。そもそも他人を滅多にパーソナルスペースにあげないし入りたがらない俺が……何だっけ、カヨイヅマ?状態でほぼ毎日勇利の家に行ってはあれこれ理由を付けて家に住むように説得してるのにどうしてそんなことを言えるのか。全く理解に苦しむ。勇利は自分勝手だ。だったら俺と住めば良いのに。
そもそもこんなに執着してるし、彼の言葉に憤ってすらいるのに。この俺が。なのに何で分かってくれないのかな。やっとこぎつけた恋人の関係すら彼は俺の気紛れにしてるし、どこか壁を作ってるし、人前で抱きつくことすら禁止されてるんだよ?同居してないのにどこで勇利を補給すれば良いんだよ。あー!勇利が足りないよー!!
「マッカチン…どうしたら良いと思う?」
大切な愛犬に問いてもなにも返ってこないのはわかっていたが、それでも聞かずにはいられない位に弱っていた。…あの子は俺のことを神さまだと思ってる節がある。神さまだとしても、神さまだって泣くし怒るし笑うし愛してる人のことを側に置きたいと思うのだ。
「………側にいさせてよ」
寂しいなぁ。

Re: 何故か勇ヴィク 1 ( No.3 )
日時: 2017/03/17 22:35
名前: 五月雨 (ID: NegwCtM0)

最近勇ヴィクにはまった

恋に落ちる音。

そんなものがあるなんて思っていなかったけど、実在することを俺は教えてもらった。それはまるで蝋燭を吹き消したみたいな、或いはドアをノックする時のような…はたまたドラマでよく聞く銃声のような。とにかく、ときめいてしまう音だったのだ。


きっかけは何だったっけ?何気ない一日だった筈だ。特に何も変わらない。アイスキャッスルで練習をして、ヒロコマーマやマリネェ達とご飯を食べて、いつも通り勇利に一緒に寝ようと誘って断られて。…あぁ、違う。そうだ。あの日は突然夜中に勇利が俺の部屋をノックしたんだ。

「ヴィクトル、もう寝た?」
起きていることなんてはなから期待していない声音と、遠慮がちな気配に頭が覚醒していく。寝起きは良い方だと思うが、それが功をそうしてすぐに起きてるよ、と声をだせた。性格には起きたよ、だけどね。
「え、…いや、…そ、の、」
「そっちいっても良い?」
「あ、うん。」
勇利からの珍しい意思表示。乗らない手はない。ようやく名実ともに彼のコーチになれたところなのだから、もっと彼の事を知りたい。
するりと彼の部屋に滑り込むと、ベッドサイドに腰かけて俯いていた勇利がこちらを見る。あまり近いと勇利が萎縮するから、少しだけ距離を置いて隣に座った。スプリングが二人分の体重にギシッと音を立てたけどそんな事は気にしない。
「どうしたの?」
こちらから促してやると、ゆっくり勇利は言葉を紡ぎ始める。
「ヴィクトルはさ、何で僕のコーチになったの?」
「…え?」
そこから?
お前が俺に言ったんじゃないか、日本訛りの英語で
"Be my coach!victor!"
俺の世界を鮮やかに彩った言葉じゃないか。
「だって、僕はヴィクトルの事10年以上追っかけてたから、そんなヴィクトルがコーチになってくれるのは大歓迎だし断るわけがないんだけど、でもヴィクトルが僕のコーチになってくれる理由って…なにかなー、って。考え始めたら止まんなくなっちゃって。」
「…………」
朴念仁なのは知ってたけどここまでとは思ってなかった。純朴なのは罪じゃないけど鈍感なのは充分罪になり得るんだよ勇利?
「ヴィクトル?」
黙り込んで絶句してる俺を不思議そうに見てるけどさ、俺はそんなことを聞く君が不思議だよ勇利!
「…オーケイ勇利。分かったよ。俺たちはまだまだお互いの理解が足りないみたいだ。」
「え、あ、うん」
なんと答えるのが正解なんだ?動画を見てダンスバトルの続きだと理解したところから語ろうか。
「…勇利の滑ってた離れずにそばにいて。あれは、俺の完敗だと思ったよ。PCSだけなら絶対負けてるだろうってね。…興味が湧いたんだ。こんな風にこのプロを踊る子は、どんな子だろうってね。」



時間ないんでこの辺で、また書きます。

Re: 何故か勇ヴィク 2 ( No.4 )
日時: 2017/03/19 21:58
名前: 五月雨 (ID: LGQcbbGL)

スピンやステップの一つ一つがとても美しくて、全身で彼は表現していた。

離れずにそばにいて
お前を失うほど怖いことはない
愛を唄うその喉をこの手で突き刺したい

俺の曲の解釈と同じような感じなのだろうけど、でも何かが明確に違った。一言で言うなら、気持ちを向ける対象、だろうか。
「ねぇ勇利。」
「は、はい。」
「俺はあのプロを誰に向けて滑ったと思う?」
唐突な問いに勇利はきょとんとすると、しどろもどろしながら幾つか並べていく。
恋人?ーーーー残念ながら
食べ物?ーーーー勇利じゃないんだから。
家族?ーーーーうーん、惜しい
「そんなに聞きたい?」
「え、……き、聞きたい。」
「ないしょだよ、二人の秘密。」
「う、うん!」
実はヤコフにもこれは言ってない。あんまりにも情けなくて、自分でも嫌になってたから。
「あれね、マッカチンに向けてたんだよ。」
「……………………へ?」
離れずにそばにいて。マッカチンがいなかったら、俺は一人だよ。ずーーーっと一緒に居てくれるよね?
そんな気持ちを向けられるのは、マッカチンだけだった。
そう話すと、勇利は明らかに困惑した表情で俺の事を見つめてた。少しくたびれた笑みをこぼすと、勇利は痛々しそうに俺を見る。…何で?まあいいや。
「でも勇利、君は違う」
「…うん。」
勇利、君にはたくさんの離れずにそばにいてほしい相手が居る。例えば俺の名前の愛犬とか、ヒロコマーマや、ユウコや、…とにかくたくさん。
羨ましいとかは思わないけど、楽しそうだなぁと思ったのを覚えている。


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