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【ダイヤのA】いつか優しさで息をしよう【哲純】
日時: 2017/02/19 08:17
名前: 1O (ID: aOtFj/Nx)

⚠キス描写注意

別に哲が起こさなければ、それで自分で起きれるはずだった。なのに
「……まじかよ…」
時計の短針は10時を指していた。余裕で遅刻だ。がっつり、真面目に遅刻だ。最近、俺は少し自分でも怠けているな、と感じていた。哲に自分の世話を任せきりで……なんというか、その、自己管理が足りてなかったのだ。
だから、昨日の夜、哲に明日ぐらいは自分で起きてみるよ、と伝えた結果がコレだ。
「……だぁぁあ!」
ぐしゃぐしゃの髪の毛を更にぐしゃぐしゃにし、ベッドからはね起きる。なんだか体が重いしだるっぽい。そんなことはどうでもいい
とりあえず、哲に申し訳ないを伝えるために電話をかけることにした。
コール音が一回鳴る度に罪悪感で押しつぶされそうになる。四回目のコールで哲が出た。
「……あ〜……哲……デスヨネ…」
「純!起きたのか!?」
1人で起きたのが不思議なような口調で応答してくる。
「んな俺は1人で起きれないイメージなのかよ!」
「や、そういう訳じゃなくて、だな……と、とにかく大丈夫か?」
「いやだから、なにがだよ。」
はぁー……と哲のため息が聞こえる。悪かったなバカで!お前も充分馬鹿だよ!と言いそうになるのをこらえる。
「お前昨日熱があるって言ってたじゃないか……!」
「……え?」
思い出した。と同時に体のだるさがぐぅと増す。目の前がチカチカする
「哲すまん、ちょっと無理かも……」
ばたりとベットに倒れ込む。体中が鈍くて、鈍痛がする。痛い。死にそう。助けて、哲。そう言いたいけど、口すらも動かない
「純?……純!?」
意識が飛ぶ直前で、ぶつりと電話の切れる音がした

🌙💫🔭昨夜

気付けば皆が寝息を立てて寝ていて、星が瞬いていた。
「水とお茶どっちがいいか?」
「水がいいな。ありがとよ」
少し水滴のついたコップを受け取り立ち上がる。と、同時に特有の腹痛が襲いかかる。
「〜っうっ……」
まだとても動ける状態とは程遠かった。
「あぁ、大丈夫か?」
心配そうに哲が顔を覗き込む
「あ、あぁ、大丈夫だ、もう少ししたら動けるさ」
にしてもいつもより体が重い。哲が優しくしてくれてるのに、だ。
「寒いか?具合悪そうだぞ」
と言って、コートを羽織らせてくれた。哲の匂いがして、なんだかくすぐったかった。
すると、哲自身が俺の背中とコートの間に潜り込んで、ぎゅっと抱き締めてくる
「…いきなりなんだよ、発情期かよ」
「そうかもしれんな」
ふっと哲が笑い、背中に息がかかってこしょばゆい。
「ちょ、哲、こしょばゆい、ばか」
もぞもぞと哲が動いて甘酸っぱい気持ちで満たされる
「純、いつもより体温高いな。熱あるんじゃないのか?」
コートの中から出てきて、徐にキスをする
「んむ、んっ……」
ちゅ、ちゅとリップ音が部屋に響いて静かだった夜を4番バッターのタイムリーヒットで外野席に飛ばしていく
息が苦しくなって、肩を押さえてぐいと唇を離そうとするが、哲の胸元に押し寄せられ更に強引に口の中を物色されていく。
「むふっ……っあ……んん……」
何回もリップ音が響きすぎてよくわからなくなってくる頃にようやく口が離れた。口の中が哲の唾液と混じってミントの歯磨き粉の匂いがほんのり香る。
「……うん、熱があるな」
「おっま……!散々人の口ん中探ったのそのためかよ!」
「あぁ、とりあえず熱測れ。」
たまにしか使わない体温計を開いていた口に入れられる。10秒としない内にピピピ、ピピピ。電子音が鳴り哲が出た数値をまじまじと見る。
「どうだ?ないだろ?」
「38度5分。普通にあるな」
「あるのかよまじかよ……明日小テストだよな?うーっわ……よっしゃ」
ボソッと歓喜の声を口にしてしまい、慌てて哲の方をチラと見る。今は俺の熱の事に心配で聞こえてないようだ
「すまんな……キツかったのに無理にやって……」
罪悪感そのものの哲が謝る
「大丈夫だぜ、心配すんな。熱のわりにはキツくねぇしさ。」
この言葉に嘘はなく、本当に熱がある感じではなかった
「……あ″!つか!!お前今のキスでうつってないか!?大丈夫か!?」
「ん?あぁ、大丈夫だぞ。平気だ」
「いや今は平気でもな……」
一応マスクをし、哲のおでこに触れる。ひんやりとしていて気持ちがよかった
「な?大丈夫だろう?」
「……おう」
納得したくなくて小さな返答をした
「納得がいかないようだな」
哲がこっちを見てふと笑う。その顔があまりにもカッコよすぎて、不覚にもキュンとしてしまった。今顔を野放しにすると真っ赤な顔がバレてしまうので顔を手で覆う。
「……哲、その顔誰にでもすんなよ…」
「ん?あぁ、こんなに心配するのはお前だけさ」
「まじなんなの……」
それから、早めに寝るんだぞと言い哲は出ていった。かたりとドアが閉まると同時にぷつんと糸が切れてそのまま深い眠りについた。


遠くで音がする。騒がしい音だし、それは充分認識できているはずなのに、どこか別の所で音がしている。声がしている。
俺を心配する声がする。愛するお前の声がするのに、それは相変わらず遠くで聞こえるし体は全然動いてくれなくて、目に映るお前も縦に揺れたり横に揺れたり散々だ。
「……すまん、お前のためだ」
それは突拍子にはっきりと聞こえてきて、ビックリして目がはっきり開くと触れるじゃ済まないレベルのキスをしてくる。
「ん、んふぅ、っ……あ、て、」
名前を呼ぶことすら許されなかった。でもそれがなんだか嬉しくて、涙が出てきそうで、慌てて顔が歪むぐらい目を閉じたけど涙は出てきてしまった。
……俺どんだけ哲を振り回すんだよ、バカ
「っあ、ふっ、ぁ……おい、お前授業は!」
「そんなの知らん。お前の方が大事だ」
「……なんだよそれ、なんだよ、なんなんだよぉ……」
胸が苦しくなる呼吸とはち切れそうな思いで怒鳴りたかったけど、こんなバカ見てたらしゃくりあげて泣くことしか出来なかった
「っ、ばかっ、バカ野郎っ……」
哲の胸に顔を押さえつけると我慢してた泣き声が止まらなくなって呼吸は余計苦しくなったけど、ずっとこのままでよかった。このままがよかった
「バカはお互いだ」
はっ、何だろうな。哲の顔見なくても笑ってることがわかる時点で哲の言う通り互いにバカなんだろう
涙が止まりかけると意識は薄れていき、脱力しきって寝てしまっていた

起きたのは夕食の時間辺りだった。ベッドに横になっていておでこを触ると少し剥がれてる冷えピタがあった。哲が貼ってくれたのだろう。ふと横を見ると哲がすぐ枕元で風邪の対処法の本を読んでいた
「うおっ」
「あぁ、起きたか。どうだ?」
「ずっといたのか?皆メシ食ってんのに?」
「当たり前だろう」
ほとんど無意識に哲が俺の頭を周期的に撫でる。
「なぁ、てつ」「どうした?腹減ったか?」
「俺さぁ、お前の優しさで息してんのかもしんねぇ」
「優しさ、だけで息してると思うが」
「……はっ、ならお前いなくなったら俺息できねぇな」
「俺も、純で息してるからお互いだな」
恋人達は幸せそうにはにかんで、変わることのない感情に溺れていった

❦ℯꫛᎴ❧


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