BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
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- 飼った奴隷は不死身だった
- 日時: 2017/03/02 00:06
- 名前: Nagi (ID: XWukg9h6)
BLオリジナル作品となっております。
苦手な方はブラウザバック願います。
多少過激表現はいるかもしれません。
主人公
大宮勝之
成人男性。女医と社長の一人息子。
愛す代わりに倍愛し返して貰いたい。
奴隷
奏
本名 新見要
不死身。肌が切れれば速い再生力で元に戻る。
ごく普通の青年。怪しい人物を追って裏路地へ出ると拉致られ売られた。
- Re: 飼った奴隷は不死身だった ( No.1 )
- 日時: 2017/03/02 00:27
- 名前: Nagi (ID: XWukg9h6)
暇で退屈な人生。彼女も居なければ兄弟と呼べる存在も信用出来る友達と呼べる者すら居ない。もぬけの殻だ。
人混みの賑わう街を歩く。ビルが立ち並び衣料品店や飯屋のチラシ配り、ティッシュ配りもしてる。下を向いてズボンに両手を突っ込み歩く。
「お兄さん、お兄さん。ちょっと寄ってかない?」
「は?」
チリチリの黒髪に紫色のメッシュを入れた変なオジサンが声をかけてくる。捕まった。さっさと去りたいところだが、次の言葉に俺の気持ちは揺らぐ。
「奴隷、買ってかない?あ!見るだけでもいいからさ!ほらほら、寄ってって!良いのが入ってんの!」
ニマニマ笑いながら黙ってる俺の背中を押して店へ案内し出した。
こんな所で奴隷売ってる店があること自体知らなかった。大体奴隷って人間だよな?どういう仕組みで売られてるんだ?
興味があった。知らない事は知りたくなる。それに、退屈な日々が何か新しいもので変わるなら変えたかった。
黙ってついて行くと、オジサンは口を閉じない。
「いやー、お兄さん良い日に来たねー、ホントに良いのが入ったばっかりでね?お兄さんお金無いなら出直すのもアリだけどー、次に来た時は今日ほど良い子居ないかもねー」
金には困ってない。寧ろあり過ぎて大事な人間関係が掴めないことに困ってるぐらいだ。というより、そこまで言う程良い人が売られるのか?売春に慣れた女か?言ったら何でもしてくれる機械みたいな人間か?
ついたところは普通の建物というより倉庫だったかのような外装。白い何も書かれていない扉を開いて地下へ続く階段を降りる。薄暗いが奥から漏れる青い光があり階段は見える。降りれば降りて行く程、人の主に男の歓喜、歓声、雄叫びに近い声が聞こえてくる。そしてデカイBGMも。
- Re: 飼った奴隷は不死身だった ( No.2 )
- 日時: 2017/03/02 08:33
- 名前: Nagi (ID: XWukg9h6)
着いたら、小さいクラブのような所だった。
小さい舞台の中央に檻の中に入った人がいる。その檻の隣には紙を持って片手にマイクを持った男が陽気に説明をしている。
舞台の上にモニターがあって、それに檻に入ってる人物の顔やら様子がよく映っている。
売られているのは少年少女、青年、成人女性ばかりだった。
説明は動物ペットを飼う前に書かれてる説明文のようなもの。警戒心が強いだとか、人懐っこいだとか、従順だとか。
泣いてる人や怯えてる人、檻の中で暴れる人、買ってくださいと土下座する人等もいた。客は自分の飼いたい奴隷を小切手に書いてそれを上に挙げて声を出す。結構高値の者なら30万。安価な者なら5千円だった。
見ているうちに自分も飼いたくなって来た。
元々飼おうかと思って入店したんだが、飼う気が強まったという話だな。
周りがそろそろ目玉商品でるらしいと興奮している。先程までは後ろの方にいた変なオジサンが話していた良い子のことだろう。
マイクを持った司会者が暗くなった舞台にスポットライトで照らされて笑顔で紹介し、周りはそれを静かに聞く。
『それでは今夜は残念ながら最後の商品となりました。続いてご紹介しますのは、今回の大目玉!容姿端麗の青年でーす!』
紹介されて、舞台中央の檻にスポットライトが当たれば一気に「ウオオオォ!」という雄叫びがあがる。指笛を鳴らす者もいた。
- Re: 飼った奴隷は不死身だった ( No.3 )
- 日時: 2017/03/02 09:11
- 名前: Nagi (ID: XWukg9h6)
檻の中には白くて体に合わずブカブカの白い服を着た細身の青年。檻の柱に手枷を付けられ下を向いている。モニターを見れば右分けの明るい茶髪。少しチャラい感じの爽やかな顔つきで、確かに整っていた。無表情で動じなかった。
肌は白く、傷一つ見当たらない。
訳ありだとか司会者が言うも、値段交渉が始まればそんなものは言葉のあやにすぎない。次々に声が上がる。
〝100万!〟
『おおっと!今回初の三桁いきました!』
〝300だ!〟
『300万!300万出ました!』
司会者と客の値段交渉が続く。確かに良い奴隷なのかもしれない。何をさせるかも飼ってしまえば飼い主の自由だ。希望の無い目に自分を見ているようで、モニターの彼を眺めていると、ふと、彼の顔が上に上がる。
会場もざわつく。期待と興奮の交じる熱気、そして静まり返る。
彼は顔を上げて会場にいる客を右端から左端までゆっくり顔を動かして見る。皆が彼に注目する。ふと、彼と目が合い、彼は俺をじっと見つめた後、目を伏せた。
彼は何も言わなかった。だが、俺の胸には来るものがあった。コイツだ。コイツが俺を変えてくれる。そんな気がした。
『最後にでました900万で決まりですかー?』
〝1億5000万!〟
『おおっと!桁が一気に上がりましたー!他には居ませんか?…それでは、1億5000万で』
「3億」
『おおっ!?なんですか!?』
「3億だ。3億で買う」
『3億!3億でました!他に買う方はいらっしゃいませんかー!?』
周りは俺の言った3億にお手上げ状態だった。買い手は俺に決まり、店が閉まると裏で金と商品の取引をした。
普通は、後日という形になるらしいが、俺は早く彼を連れて行きたかった。気に入らなければ返品可能らしい。返品する気はないが、両手首を前で手枷により固定されているところを引いて歩き軽く下を向いている彼を車に乗せると隣に自分も座って俺の家へ向かった。
- Re: 飼った奴隷は不死身だった ( No.4 )
- 日時: 2017/03/02 22:13
- 名前: Nagi (ID: XWukg9h6)
家に着き、自室へ招き入れる。上衣を脱いでソファの腰掛にかける。着替えようとネクタイを取り、チラリと青年を見ると、青年はゆっくり辺りを見回している。ぼんやりしてるように見えるほど動作が少ない。
近くで見れば見る程綺麗な顔をしている。怯えてる様子もなければ逃げ出す様子もない。会話もする気もなさそうだ。
「なにか食べるか?」
声をかけても応答なし。反応を示さない青年に耳が聞こえてないのか問えばすぐにこちらへ顔を向ける。俺を見て呆れ気味に顔をそらせば重いため息をつく。それが返事なのだろう。
「無理にとは言わねぇがなるべく喋れよ?」
目に光が宿ってない。青年の手枷を自家製の手枷に替えて付ける。GPC付きの軽い手枷。片手首ずつ、合わせて2個付けてから青年の分に食事を作る。
「突っ立ってないで、その辺に座れよ。ここはもうお前の家だろ」
キッチンからリビングを見ると、先ほどの場所から1ミリも動いていない青年に座るように促せば外を覗ける窓際に寄って静かに外を見ていた。
やはり外に出たいんだろうか。正直、奴隷というものの扱い方をよく知らない。相手は人だ。性的行為、暴力行為、売春での金儲け等の為に飼った訳じゃない。そんなものをしてほしいとも思わない。ただ、俺の独りの寂しさを紛らわせる為の存在として傍に居てほしい。それだけを思った。
「ほら、出来たぞ。お前の分もあるから、食えよ?」
何故彼だったのかとか、深い事は後に回す。きっと誰でも良かったんだとその時は思っていたから。
- Re: 飼った奴隷は不死身だった ( No.5 )
- 日時: 2017/03/03 06:27
- 名前: Nagi (ID: XWukg9h6)
彼をテーブルのある席に座るように促し、目の前に向かい合うように座り先に自分で作った炒飯を食べる。毒が入っていないことを証明するために。
青年は俺の促した席に座っても目の前に置かれた食事に手をつけようとはせず、ただぼーっとテーブルを見ている。
「お前、話せないのか?言葉が通じないのか?耳が聞こえてないのか?」
痺れを切らして少し強めに聞けば、首を振って顔を逸らした。何が気に食わないのかは分からないが、文句が無いなら出された物もすんなり食べてほしいものだ。無駄にするのは気が進まない。
「だったらさっさと食え。先に風呂入るからな」
苛立った感情を全てぶつけるわけにはいかず、頭を冷やそうと、早めに炒飯を食べ終えれば食器を洗い場まで運ぶことなく、風呂場へ向かう。
シャワーに当たっている時、ふと青年に名前が無いことに気づく。そして、名前を考えて、腰にタオルを巻き、肩にタオルをかけ髪を拭きながら出る。
リビングに行けば皿がテーブルにない。洗い場に行けば彼は居ないし皿も綺麗に片付いてて、いつもの変わらぬ景色にさっきまでのは夢だったのかとすら思う。
ソファの腰掛にかけたスーツの上衣が無いことに気づき、ソファに近づけば彼を見つけた。ソファに横になって眠っていた。彼の存在を知って安堵する。
出したご飯も食べてくれたのだろう。皿も洗ってくれた。ソファの肘置きに座って俺の上衣を布団がわりに寝てるその顔を見つめる。
よく見れば隈もあった。長い睫毛に整った顔は美形だ。髪を優しく撫で、毛布を取ってきて彼にかける。
起こさないようにスーツの上衣を取れば、眠る彼に彼の名を言う。
「おやすみ、奏」
リビングの電気を消し俺も寝室へ向かいベッドで眠った。
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