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【BL松】なんかいろいろ書きためたもの
日時: 2017/06/11 22:52
名前: るお (ID: 0WV2matm)

サイト(消去済)とかにあげてたけど、なんか消すのもったいないなの根性で駄文さらしていきます。

学生だから遅いんだけどね、更新。

二次創作とか無理だから、荒しだよって人は回れ右して帰ってね。

速度松推しリバ民だから気をつけて。軽率にリバります。

まぁ、楽しんでもらえたらいいなぁ。

Re: 【BL松】なんかいろいろ書きためたもの ( No.1 )
日時: 2017/06/12 07:16
名前: るお (ID: 0WV2matm)

おそチョロ。








甘ったるい俺の幸福論。









「ひっ…ぐすっ、うー…んっ、うぅ…」
すすり泣く声が襖で閉ざされた子供部屋から聞こえてくる。押し殺したような泣き声。俺はやれやれ、とため息をついた。

襖に手をかけて少しだけ、開ける。見えたのはもぞもぞと動く明るい緑の物体。窓を開けたままなのか、四月のほんのちょっと冷たい風が、ゆうるりと頬を撫でた。

あーあ。窓開けっ放しだったら体が冷えるだろぉ。お前冷え性で寒いのは兄弟の中でも苦手な方なんだから。

グッ、と取っ手を掴む指に力を込めて静かに襖を開けた。緑色が部屋の真ん中で小刻みに震えている。

「チョロ松」

俺が呼ぶとそれは大きく震えた。こっちを向かないあいつの視線は絡まない。大方、涙でぐちゃぐちゃな顔を見られたくない、とかそーゆープライドが捨てきれないんだろう。

バカだねぇ。俺が、お前の泣き顔好きなの知ってるだろ?

「…チョロ松」

さっきよりも優しい声で、もう一度呼び掛けた。思った以上に優しくて甘ったるい声が出てしまったけど、そこは気にしない。

ゆっくりと部屋の中央で踞るそいつに歩み寄る。向けられた背中は兄弟一細くて頼りない。小さいって言うか、庇護欲と加虐心が一気に込み上げてくるみたいな。

「チョロ松、どした?」

そっと、可愛くて堪らない弟の綺麗に整えられた頭に触れる。じんわり暖かい頭を撫でながら、にこりとした笑みを浮かべて優しく、優しく。

「…お゛、そまづ、にーさっ…」

ゆっくりと、弟が顔をあげた。あーらら。予想通り涙でぐちゃぐちゃ。鼻水も出てるし。あーもう。可愛いなぁ、こいつ。なんて自然に上がりそうな口角を慌てて抑えた。

「おーおー。ぐっちゃぐちゃだなぁ。ほれ、顔拭け」

「うる、せー、ばか、あほ」

言葉にキレがないよ〜チョロちゃん。舌っ足らずな感じがいつもの滑舌お化けのギャップ出ててすごくいい。可愛い。あー、ほんと。可愛い。

近くにおいてあったティッシュ箱を手繰り寄せて鼻をかませて涙を拭う。それから、この細っこい体を柔らかく抱き締めて。

「ゆっくりでいいから、兄ちゃんに話してみ?」

そしたら楽になるかもよ?なんて甘く優しく囁けば。

「うっ、ん…おそまつにーさん、あのね…」

ほらな。鼻が詰まったままのか、たどたどしく話し出すチョロ松に、俺は見えないところで密かに笑みを浮かべる。



チョロ松がこんな風になるのはだいたい周期が決まっている。

大抵は一ヶ月に一回。やりたくもないファッション就活がうまくいかなかったり、お気に入りのアイドルのライブがとれなかったり。理由は様々だ。

こいつは他の兄弟と違って生真面目なところがあるから、ストレスもたまりやすいんだろう。俺たちみたいに適当に考えておけばいいのに、とか思うのだがこの弟はそうもいかないらしい。ま、そんなところが可愛くて放っておけないんだけどね。俺のチョロ松超可愛い。

「よしよし。ゆっくりでいいから、兄ちゃんに全部話しちゃいな」

右腕で頭を撫でながら、左腕でチョロ松の体を抱き締める。男のはずなのに、細くて力を込めたら折れそうな体。あぁ、こいつまた痩せたなぁ。たくさん食わせねぇと。

「あ、のね、僕さ、頑張ってるのにさ、みんな、ふっ、うぅ…」

「そーだなぁ、お前頑張ってるよなぁ。兄ちゃんは知ってるよぉ」

「なのにさ、みんな僕のこと、ばかにすんだ、僕、こんなに頑張ってるのにぃ…!」

「お前は頑張ってるのになぁ」

「就活、だって、僕がんばってるのに、ぜんぜん、しゅうしょく、できないし…!」

ぼろぼろとチョロ松の小さくて綺麗な瞳から大粒の涙が零れ落ちた。肩口が涙に濡れてじんわり熱い。ひっく、としゃくりあげ始めた体を苦しくない程度に強く抱き締めて、そっかそっか。と呟いた。

「お前は頑張ってるよぉ、兄ちゃんが保証する。俺達の中で一番頑張ってくれてるんだからな、ありがとうな」

「ふっ、う゛…うぅ…」

「あー、ほらほら。泣くなって。目、腫れちゃうよ?」

「おそ、まつ、にーさ」

ぎゅう、と弱々しい力でチョロ松が俺にしがみつく。それがまるで俺にしかすがれない小さな子供みたいで。

あぁ、ほんと。ゾクゾクする。

「おそま、つ、にーさっ、みとめて、僕のこと、みとめて、褒めて…」

ぼろぼろと涙を流すチョロ松が、懇願するように、小さく呟いた。

こいつは承認欲求が強い。人に認められたくて、認められたくて、努力して。でも空回って認められないかわいそうな子。認められたい。そんなことのために努力して、ライジングして、ぶっ壊れる。

こいつはただ不器用なだけなのだ。

そして、その不器用さが、堪らなく愛しい。

「よーしよし、チョロ松。いつもすごいな。俺らには出来ないよ。俺らのために頑張ってくれてありがとうな」

チョロ松にとっては甘い甘い、自らを認める言葉。俺が頭をその丸っこい頭を撫でながら言う度に、嬉しそうに目元を緩ませてふにゃりと笑う。

「社会なんか、「当たり前だ」とか言って認めてくれないもんね。兄ちゃんは、俺だけはチョロ松のこと、認めてあげる。褒めてあげる」

「うんっ…おそまつにーさん…」

またぎゅうっと抱き締めた。俺の胸の中におさまるこいつがたまらなく愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて愛しくて。




なぁ、知ってる?俺ね、お前のこと好きなの。兄弟愛とかじゃなくて、ほんと性的に。ほんとなら社会にも出したくないし、なんならどこにも行かないように俺だけが知ってるところに繋ぎ止めて閉じ込めておきたいくらいに。

でもお前は「兄弟だから」とか「男同士だから」とか言って堕ちてくれないだろうから。

「チョロ松はいい子だね、いい子いい子。兄ちゃんは認めてるよぉ」

「おそまつ、にーさん…」

今、トロンとしたチョロ松の瞳には、俺だけしか映ってない。それだけで俺の中のどす黒い独占欲が満たされていって。

あぁ、早く堕ちてこないかなぁ。

それまでじんわりと蝕むような甘い甘い毒を。その細くて華奢な体にたっぷりと注いであげる。

それはじわじわじわじわお前の中で回って、やがて。


「いい子だね、俺のチョロ松」



 
これが、俺の愛情。絶対的な幸福論。

Re: 【BL松】なんかいろいろ書きためたもの ( No.2 )
日時: 2017/06/12 07:18
名前: るお (ID: 0WV2matm)

チョロおそ寄り、あんまり腐っぽくはない気がする。アリス松だよ。













夢の中。









「アリス。こんなところでどうしたの。迷子かい」

ふと、頭上からそんな声が聞こえた。

頭に着けた大きな赤いリボンを揺らしながら、アリスはゆっくりと上を見上げた。

「よぉ。イモムシさん」

にしし、と笑い鼻の下を擦るアリスに、声をかけた張本人であるイモムシはため息を吐きながら持っていた水タバコを燻らせた。大きな葉を生やした周囲に白く濁った煙が充満していく。

「…森の奥のお茶会に行ったんじゃなかったのかい、僕達のアリス」

「だって俺紅茶あんまり好きじゃねーんだもん。それに、あそこ退屈だよ。帽子屋は狂ったみたいに訳のわからないことを言うし。俺にはわかんねぇわ」

アリスが不満そうに鼻を鳴らす。傲慢なその態度に、イモムシはまたため息をついた。

「好き嫌いしちゃ、大きくなれないよ」

「俺はもう大人だよ」

「違うね。君はまだ子供だ。少しも成長しない、愚鈍な子供だ」

イモムシの細い目が一層細まった。アリスより少し高い位置にある葉に乗ったイモムシの吐いた煙が、アリスの顔をくすぐる。

「まーな。確かにお前の言う通り、俺は子供かもな」

やれやれ、と手を振りながら、まとわりつく煙を払うこともせずにアリスはくすりと笑う。それはもう意地悪く。悪ガキのように。実際にアリスは悪く言うと悪ガキだが。イモムシは再度ため息をつく。今日はため息の多い日だ。

「…ほら。行きなアリス。次の分かれ道をずうっと右に行けば、お茶会の会場に着くよ」

「えー?行かなきゃダメー?」

「アリスは僕らのアリスだからね。僕一人で独り占めしちゃいけないのさ」

実のところイモムシは一人になりたいだけなのである。体よく追い払おうとしたのを察したアリスが、柔らかな頬をリスのように膨らませた。
 
いや、イモムシとてアリスを独占したい気持ちが無いのかと言われれば嘘になる。それは彼もこの世界の住人だから。この世界の住人は皆が皆、アリスのことを愛している。

だってアリスはこの世界の「主人公」だから。アリスのための世界だから。アリスは愛されるし、何をしたって許されるのだ。

「ねぇねぇー、イモムシさん」

またアリスがイモムシを呼んだ。それはもう甘ったるい声で。子供が親にねだるような、恋人に甘えるような。そんな糖度を含んだ声。砂糖菓子のようだ、まるで。

「…なんだい、アリス。僕は忙しいんだよ」

「水タバコ吸ってるだけじゃん」

「僕は水タバコを吸うのに忙しいんだよ」

「つまらないなぁ」

「つまらないイモムシで悪かったね」

ふん、と不機嫌そうにイモムシが鼻を鳴らした。バカにされた子供のように。アリスがくすくす笑った。

「…なんで笑うんだよ、アリス」

「べっつにぃ〜?」

にやにやと笑いながらアリスがイモムシの乗る葉によじ登り始めた。イモムシはそれを止めることをせず、ただ黙って眺めていた。


アリスが、イモムシと同じ目線に立った。

「へぇ〜、ここ以外と高いね〜」

キョロキョロと辺りを見渡すアリス。それに合わせて頭のリボンが揺れた。

「そりゃ、葉の上だからね」

「なんで葉の上にいんの?」

「イモムシは葉の上にいるものだろう?」

「そーゆーもんなの?」

「そういうもの」

へー、と興味無さそうに相槌を打つアリス。聞いてきておいてこの態度はなんなのかと短気を自覚しているイモムシは苛立ちに少し顔をしかめたが、アリスはそんなことはお構いなしで、今度はイモムシの水タバコに手を伸ばした。

「なぁ、これ旨い?」

「子供にはわからないよ」

伸びてきたアリスの手を避けて、イモムシはまた煙を燻らせる。ふわりと漂う煙。アリスが不満そうな顔をして強引にイモムシの手から水タバコを取り上げた。

「何するんだよ、アリス」

「子供じゃないって言ってるだろ」

拗ねたような声音で呟いたその声ははっきりと聞こえた。

「返して」

「やだ」

「アリス」

「やだもん」

イモムシはまたため息をついた。拗ねたアリスはこれまた面倒くさいのだ。なんとかして葉の上の安寧を取り戻さないと。

「さっきは自分から子供だって言ったくせに」

「それとこれとは別なの」

変わらず拗ねたような顔でアリスが言った。イモムシはやれやれと首を振る。どうにもこうにも、アリスの怒りの沸点がイモムシにはわからなかったからだ。自分で子供と言うが、他人から言われると怒る。

傲慢でエゴイズム。アリスはそこのところがまだまだ子供だというのだ。

「…アリス」

「…なに」

「おいで」

イモムシは何回目かわからない小さなため息をついて、その両手を広げた。

「…子供じゃないもん」

「はいはい」

ぽすり、と自分の腕の中に収まったアリスをイモムシはあやす。感情に任せて泣き出しそうになる、これのどこが子供ではないのだろうか。イモムシにはほとほと検討がつかない。
「子供みたいに甘えるね、アリスは」

「…うっさい、バカ」

「ここの世界はみんなアリスが好きだからね、みんな構ってくれるよ」

「…何が言いたいんだよ」

「だからもっと子供みたいに甘えてもいいんじゃない?」

「…ほんとうのほんとうに子供じゃないもん」

「はいはい。聞き飽きたよ、アリス」

イモムシにしがみついた、子供らしかぬ多少がっしりした腕が、少しだけ震えた気がした。





ここはアリスの夢の中だ。なお、念のために追記しておくが、この世界のアリスは現実世界での松野家長男、松野おそ松のことである。

この世界はアリスが作り上げた、アリスのための、アリスだけのちっちゃな箱庭。

そう、僕らはそんな箱庭世界の住民、いわば幻想。可哀想なアリスを甘やかす、甘い甘い存在。

現実でどんなに辛いことがあっても、僕らがどろどろに甘やかしてあげる。

この世界はアリスを拒まないし、疎んだりもしない。

ただただ甘く甘く、麻痺するくらいに愛してあげる。

ねぇ、だからさ。

「僕らのアリス。少しだけおやすみ」





夢の中でだけは、僕だけのアリスでいて。

Re: 【BL松】なんかいろいろ書きためたもの ( No.3 )
日時: 2017/06/13 18:29
名前: るお (ID: 0WV2matm)

速度松だったらリクも受け付けたりしますよ(小声)


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