BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
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- 【GL】ゆりあつめ【オリ短編】
- 日時: 2017/06/17 18:58
- 名前: しらぬい (ID: tEZxFcMB)
はじめまして、しらぬいと申します。
完全なる趣味で、GLオリジナル短編を気まぐれにかきためていきます。
需要はかなり無視で書いておりますので、お気に召さないこともあると思われます。
また、小説初心者のため、表現などとても稚拙です。ご容赦ください。
無理な方は、そっ閉じしてお戻りくださいね笑
それでもよいというチャレンジャーな方は、ごゆっくりどうぞ。
(繰り返しますが、完全に私の趣味な百合です)
短編ですが、いくつかのレスに分けます。もし読まれる方がいらっしゃいましたら、タイトル下の数字をご覧ください。
- Re: 【GL】ゆりあつめ【オリ短編】 ( No.1 )
- 日時: 2017/06/17 19:18
- 名前: しらぬい (ID: tEZxFcMB)
** 傘 **
一
ちょっとだけ雨でぬれたような、でも雨上がりのかぎりない青空の色。
たとえ空が灰色でも、かかげられたその色はいつだってわたしをまもってくれた。
どうしていつもこうなんだろう。
教室の窓のむこうにさあさあと降りしきる雨を見つめながら、わたしはながいためいきをついた。
きのうも雨だったから、玄関に折りたたみ傘をひらいて乾かしたまま、かばんに戻すのをわすれていたのだ。いまごろはきっと、桃色の小花模様をからっとととのえて、わたしのことをわらっているかもしれない。それとも、もうお母さんがたたんでしまったのかも。
そんなことを考えていると、6時間目の終わりをつげるチャイムが鳴った。みんな、いつのまにか教科書を片付けはじめていることに気づいて、あわててノートを閉じる。きょうはたしか、掃除当番はわたしのうしろの班のはず。そうか、それならすぐ帰れるのか。
じゃあ。
あの、空の色の傘が、待っているかもしれない。
そう思うと、帰り支度がするする流れるようにすすんだ。授業中なんてあんなにぼんやりしていたのに、いまは視界があざやかですごく魅力的にみえる。
「さようなら」
学校の1日に別れのあいさつをすると、わたしはいちばんのりでとびらを開けた。カラララ、と小気味良い音がして、いっぽ踏み出す。そのままどんどん足をすすめて、わたしのほんとうの1日が、きょうもはじまるみたいなここちがした。
- Re: 【GL】ゆりあつめ【オリ短編】 ( No.2 )
- 日時: 2017/06/17 21:02
- 名前: しらぬい (ID: tEZxFcMB)
二
「「やっほお」」
下駄箱のそばに立つ人影と、わたしの声がかさなる。
ああ、ちょっと息が上がってしまって、声がかすれてしまったかもしれない。いつだって、あなたにはとびきりあかるいあいさつをしたいのに。でも、笑顔、笑顔。
「きょうも、傘わすれてきたんでしょ?」
「えへへ…、いつももうしわけないね」
「誰も入れてあげるなんて言ってないけど」
「ひどーい!」
肩につくくらいの長さできれいにそろえられた黒髪は、きょうもぬれたようにつややかで、つい目がいってしまう。それはさわやかなお日さまの下でも、どんなにゆううつな雨雲の下でも変わることはない美しさで、不思議だなあとつくづく思う。
あなたは、いたずらっぽいほほえみを浮かべながらうわばきをぬいで、下駄箱にしまう。その片手には、雨上がりの青空色の傘。
その傘の、あなたの笑顔と同じまぶしさが私をいっそうときめかせる。
わたしも同じようにうわばきをぬいでいたあいだ、ずっとあなたに目をうばわれていたことにふと気づいて、もっと胸がふわふわ落ち着かなくなった。
わたしとあなたが雲の下にでると、物憂げな灰色の空に、ぱっ、と青空色の傘がひろがった。
あなたはいつも、ごくあたりまえに傘を持って、左隣にわたしをひきよせる。
その手がわたしの肩にやさしくふれただけで、まるで世界も夢のようにひろがるのだ。
たとえあなたがなんとも思っていなくとも、こうしていっしょに歩ける帰りみちがある。そのことがしあわせでしあわせでたまらなくて、ついるんるんしそうな足元を、雨は容赦なく濡らしていく。
水たまりは、かくじつに跳んでよけないと。泥もはねないように、車からの水はねがあなたにかからないように…。わたしのこちらの1日は、とてもいそがしく過ぎていって、ぼんやりする暇もないくらいあっというまに感じる。
いつのまにか、さっきよりも雨がざあざあと強くなっていた。
「これは…、夜まで降るかもだね」
「そうだねえ。明日は傘、持ってきなよ?」
「はーい。絶対忘れない」
「「やくそくね」」
ごめんね。
その約束、あしたもやぶってしまうかも。
しずむ雨の夕暮れのなか、青空色にかくれたふたりの帰りみちはつづいていく。
FIN
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