BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
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- 大切な人
- 日時: 2017/09/03 00:56
- 名前: まる (ID: FOqQFS6Q)
「好きです!付き合ってください!」
高校一年生の春。人生初の愛の告白をした。
「ごめん、無理」
即答だった。俺と先輩の物語。
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BLオリジナル作品となっております。
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- Re: 大切な人 ( No.1 )
- 日時: 2017/09/03 01:28
- 名前: まる (ID: FOqQFS6Q)
小学六年生の頃、柄の悪い男の人達に金品目的と思われる絡みをされて路地裏に連れて行かれたことがあった。大人しく財布を出せば中身を見て喜んだ男達は財布に入ったお金を全て懐に収めればまだ持ってるだろと迫ってくる。初めて絡まれることに感じている恐怖なのか逃げ場のない恐怖と焦りなのか分からなかった俺は大声を上げて泣いて助けを呼んだ。
目の前の男達は慌てて、一人に口を手で押さえつけられた。溢れる涙は止まらなかった。
「なにしてんの」
男達の一人が顔面から地面に倒れた。視界が少し開けて顔を上げれば華奢な少年が片足を上げて立っていた。風に揺れるストレートの髪に白い肌黒い学生服を緩めに着ていた。
不良や柄の悪い生徒のチラつく中学校の制服だった。
彼に助けを求め、男の腕の中で必死にもがいた。男達は少年をも取り押さえようと数人がかりで少年に向かっていく。
少年は服を掴んできた手首を捻り男の後ろで纏め上げ、向かってくる男の股間に容赦なく蹴りを入れ、別の方から掴もうと伸びてきた腕を避ければ後ろ手に纏められていた男を少年を捕まえようとした男の前へ突き出す。男達は反動で止まることも出来ずに顔面を強打し合った。片方は額を抑え片方は鼻を抑えていた。
男の背を借りて軽く跳んだ少年は俺の前で反転して俺の後ろにいる男を顔から片脚で蹴り飛ばした。
初めて見た回し蹴りの美しさと傷どころか汗一つかかずに少年は俺の前に降り立った。二人負傷二人気絶。大の大人を少年はたった一人で表情変えずに倒した。
その日から彼は俺の憧れとなった。
- Re: 大切な人 ( No.2 )
- 日時: 2017/09/03 01:40
- 名前: まる (ID: FOqQFS6Q)
隙のない動きと軽快に飛び回る機動力、敵の攻撃を避ける瞬発力、一目惚れだったのかもしれない。
考えられないものを見た衝撃か、泣き疲れなのか、腰を抜かして動けなかった俺の片手を引いて少年は路地を出て少ししてから止まって手を離した。
「大丈夫か?」
少年は俺の顔を覗いてきた。色素の薄い茶色のクリクリした目に見られて、先程男達を見る目と違う事に気づく。鋭い目つきとは違う、子供らしい表情のようなものを感じて惹かれた。
「ありがとうございます」
「うん、次は気をつけろよ。それじゃあな」
頭を下げれば、無事そうだと呟いて腰に手をやる彼は片手を上げて歩いて行った。その後ろ姿に先程の戦闘中の彼を重ねて見蕩れてしまい、名前を聞くことを忘れ、声をかけようと思った時には彼の姿はなかった。
あれから、彼の着ていた制服の中学へ、彼を追うようにして入学した。
- Re: 大切な人 ( No.3 )
- 日時: 2017/09/15 12:55
- 名前: まる (ID: OAZcGWI8)
初めは不良の通う中学なんて目を合わせただけで殴られるかと思って怖かった。でも、自分が強くて強面なら殴りかかってくる人も少ないだろうと機転を変えた。
身長を伸ばすために牛乳と魚のカルシウムを摂り、筋トレも始めた。それ程頭は使わない学校だった為体づくりに励んだ。
そして中学に上がる頃にはチビで弱そうな俺じゃなく、強そうで頼もしい俺に変わっていた。
鏡を見て身だしなみチェックをする。
「早く会いたい」
鍛えた身体は自分の身を守る為とあの華奢な彼を守る為。その体を鏡越しに見てれば思い出す。俺の前に舞い降りた天使みたいな人。
鞄を片手に俺は家を出た。
- Re: 大切な人 ( No.4 )
- 日時: 2017/09/22 13:34
- 名前: まる (ID: OAZcGWI8)
意外にも入学式はしっかりしていた。髪の色が凄い人とか顔つきの怖い人は多かったけど。
入学式を終えて急いであの人を探した。人の波に押され気味になりながらも必死に周りを見渡した。あの人は見つからなかった。大人しく教室に戻って担任の話を聞く。
昼食の時間になればそれまでより騒音に近いぐらい周りは煩くなる。自分の緊張を解す為に始めた話は合う人もいたみたいで早くも友人は出来た。
昼飯は何処で食べるかという話し合いになった。中庭、ベンチ、体育館の外階段、屋上ーー・・・
「屋上はやめとこうぜ?」
一人が言った。この中学には屋上がある。もちろん解放はしていないらしい。屋上へ上がる階段に柵があり、鍵もかけられているから立ち入り禁止と書くまでもなくそこは立ち入り禁止と言われているようなものだ。けれどそこへ行きたくなるのが不良だろう。
でも何故?俺はソイツに疑問をぶつけた。
「なんでだ?」
ソイツは耳打ちするようにコソッと話した。
- Re: 大切な人 ( No.5 )
- 日時: 2017/09/22 13:58
- 名前: まる (ID: OAZcGWI8)
“この学校で一番強いグループが溜まり場にしている所”
それが屋上らしい。やっぱり不良にとって屋上は最高の景色を見られる場所だから取るのは理解しずらい話じゃなかった。
(でも一番強いグループかあ・・・)
ふと過ぎるのは彼の後ろ姿。黒髪でここの制服を着た華奢な少年。
仕方が無いので中庭で食べることにした。
ーーだが理由はなんにせよ、行ってみたい衝動にかられたのは俺だけじゃなかったらしい。
「弟子入りしてみたいな!行ってみないか?」
一緒に食べてたやつの提案を必死の形相で止めたのは屋上のことを教えてくれた生徒高橋大輔だった。
「やめとけ!あそこには近づかない方がいい。屋上に入ったら奴等にボコボコにされるのがオチだぜ」
ほら、と顎で屋上を示す高橋につられて屋上を見れば、屋上のフェンスに叩き付けられた一人の生徒。その前に立ってる金髪の男が生徒に近づけば振りかぶった拳を容赦なく振り下ろす。殴られてフェンスに体が跳ね崩れるようにしてしゃがみ込む生徒。
見ていられなくて目を逸らせば「怖ぇよな」と小さく呟く高橋。
あの生徒が何をしたかなんて俺にはわからない。分からないけど屋上に近づいただけで自力で立てなくなるまで痛めつけるのは酷い話だと思った。恐怖と同時に怒りが込み上げた。
(あの人がいればー・・・)
不意にそう思った。
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